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佐渡秀治さんの渾身の退職エントリ「日米OSDN離合集散、苦闘の21年史」の書籍化を希望する

shujisado.com

本当はブログの更新予定ではなかったのだが、感想を書くつもりの本を読み終わるのに思ったより時間がかかりそうなのと、何より佐渡秀治さんの渾身の退職エントリがすごかったので、予定を変更してこちらを取り上げておきたい。

ワタシが佐渡秀治さんのツイートに乗っかったのが、およそひと月前。

一昨日、佐渡さんに「書きましたよ」と言われてなんだと思ったら、冗談抜きで感動スペクタクル退職エントリであった。

ワタシの名前を引き合いに出していただいて嬉しかったのだが、いつの日か、日本のブログ史が書かれる場合、「退職エントリ」に一章割かれるとワタシは思うのだが、「全17章、特別コラム2本」という破格の量に加え、21年に及ぶ苦闘の歴史を凝縮した質、資料性の高さの意味でもこれは歴史に残るエントリに違いない。

このブログの読者で読んでない人はいないと思うのだが、もしや見逃していた人がいたら、これを機にご一読いただきたい。

時は1999年に始まり、その前年の1998年の Linux Conference の話が出てくるが、ワタシはそれが開催された Internet Week に参加しており、1999年2月にウェブサイトを立ち上げ、雑文書きを始めた。つまり、佐渡さんの「苦闘の21年史」は、yomoyomo としてのワタシのネット歴にぴったりと重なる。

もちろんネットへの貢献という点でワタシは佐渡さんの足元にも及ばないのだが、佐渡さんが VA Linux Systems Japan~OSDN Japan でなされた仕事は、ワタシも主に Slashdot Japan 改めスラドを中心にずっと触れてきたわけだ。

その点、佐渡さんが以前に書かれた米 VA Linux の崩壊シリーズに比べると身近なのだが、当たり前だが外から見ているだけでは分からないところが多く、実際その内実を把握していた佐渡さんの文章をもって、ようやく事情が掴めるところが多い。やはり(GitHub になれなかった)SourceForge の話がもっとも興味深い。

読んでいて浮かぶのは「薄氷」という言葉が相応しく、頻繁にトップ、体制、そして方針が変わる米国側との駆け引きの大変さに読んでいて、こちらが頭を抱えたくなるくらいだが、日本側で一貫性を持たせてきた佐渡さんの仕事はとても重いものがある。

自分の側に話を引き寄せるなら、ワタシは『情報共有の未来』『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』という二冊の電子書籍を発表したが、連載名はずっと「情報共有の未来」だった。

情報共有について書くとき、それは例えばブログであったり Wiki であったりのツールの話である場合もあるが、その土台にあったのはフリーソフトウェアオープンソースであった。そうした意味でこの文章を読み、日本におけるオープンソースのエコシステムを支え続けた(ご本人の表現を借りれば「様々な尻拭いを続けてきた」)佐渡秀治さんに改めて深い感謝の念が湧く。

今後は、Chris DiBona(彼が編者を務めた『Open Sources 2.0』は結局邦訳出なかったねぇ……)という懐かしい名前、そして Slashdot.org の創業者の一人 Jeff Bates らと仕事をされるとのことで、上で引用したツイートによると「さらにオープンソースにコミットする役割に就いていますので、社長時代よりは外に出てくる機会が多くなるかも」とのことで、今後のご活躍に期待します!

そして……今回の退職エントリ、そして米 VA Linux の崩壊シリーズを組み合わせて書籍化してほしいなとやはり思うのだ。それが実現すれば、オープンソースの歴史におけるとても重要で貴重な本になるはずだ。名乗りを上げる出版社はないものか……達人出版会の高橋さん、いかがですか?

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