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マイケル・ペイリンが北朝鮮に旅した「発見!北朝鮮の歩き方」が日本でも放送される

モンティ・パイソンマイケル・ペイリンは、最近では『スターリンの葬送狂騒曲』で久方ぶりにコメディ俳優としての仕事をしてくれたが、本国ではもはや旅行番組のプレゼンターとしてのほうが有名である。

その彼もさすがに高齢なので、もはや身体をはって旅行なんてしないのかなと思っていたのだが、今年 Michael Palin In North Korea という2回の番組を英国 Channel 5 でやってたんだね。今年の5月に2週間北朝鮮を旅行したとな。

それが2019年のはじめに「発見!北朝鮮の歩き方」として放送される。

マイケル・ペイリンの旅行番組が放送されると、その旅行先が人気になるのが "Palin effect" と言われたりしたが、さすがに今回の旅行先は難しいかも(笑)。

旅行先としての危険度だけを見るなら、これが最高ではないか? ともかく、マイケルもお元気そうでなによりである。

2019年秋には、この番組での経験を本にして出すみたい。

North Korea Journal

North Korea Journal

North Korea Journal (English Edition)

North Korea Journal (English Edition)

天才ネイサン・ミアボルドの驚異の料理科学本のコンパクト版(しかし、値段は規格外)の邦訳が出ていた

ネイサン・ミアボルドがマイクロソフト退職後に出した料理本のことは2011年に取り上げているが、その邦訳が9月に出ているのを知ってのけぞった。

Modernist Cuisine at Home 現代料理のすべて

Modernist Cuisine at Home 現代料理のすべて

しかし、よく見ると書名に at Home がついている。正確には知らないのだが、おそらくは全2400ページにもおよぶ原著のコンパクト版(家庭向け版)の邦訳らしい。

しかし、いくらコンパクト版とはいえ、456ページなのだから堂々の大著だし、値段が16,200円なのだから、料理本として規格外なのは間違いない。

いずれにしてもこれは大変なチャレンジであるし、その意気は買いたい。

『テクノロジーが雇用の75%を奪う』や『ロボットの脅威』で知られるマーティン・フォードがAI分野の重要人物へのインタビューをまとめた本を出していた

マーティン・フォードというと、ロボットに代表されるテクノロジーによって人間の雇用は奪われるよという話で名前を売った人という印象があり、ワタシもこのブログで何度か取り上げている(その1その2)。

テクノロジーが雇用の75%を奪う

テクノロジーが雇用の75%を奪う

『ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日』のほうは今年文庫入りしたのか!

さて、そうした指向性を考えれば、彼が AI をテーマにするのは自然なことなのだが、新作はそれで人間の仕事は奪われるよという話よりも、この分野の最前線で研究を重ねている研究者や政策立案者などにインタビューした本ということで、これも邦訳が来年出るのは間違いないでしょうな。

Architects of Intelligence: The truth about AI from the people building it

Architects of Intelligence: The truth about AI from the people building it

Architects of Intelligence: The truth about AI from the people building it (English Edition)

Architects of Intelligence: The truth about AI from the people building it (English Edition)

『データ・ジャーナリズム・ハンドブック』第2版のベータプレビュー版が公開されている&データジャーナリズムの第一人者の本の邦訳が出ていた

Yuta Kashino さんのツイートで知ったのだが、Data Journalism Handbook の第2版のオンラインベータプレビュー版が公開されている。

この Data Journalism Handbook のことを最初にここで取り上げたのは、2002年のことだが(同じ年にそれに触発されて「ネット×ジャーナリズムの歴史とその最新潮流としてのデータジャーナリズム」という文章を書いている)、ワタシも少しだけ翻訳に携わり2016年には日本語翻訳版が完成している。

第2版は2019年の春から夏の完成を目指している。第1版のときは、「データ・ジャーナリズム」という言葉自体が目新しかったが、あれから7年経ち、データ活用の突っ込んだ実践について論じるもののようだ。

編者は第1版のときと同じだが、今回は Google News Initiative が主催に名前を連ねているのが面白い。

これまで GoogleFacebook は、自分たちはニュースメディアではなくプラットフォームでしかないというのを逃げ口上に使ってきたが、Google は現代的なニュースジャーナリズムにコミットしようとしているのか。

第1版はクリエイティブコモンズの表示 - 継承ライセンスで公開されたため自由に翻訳できたが、第2版のライセンスもそれに倣うのかが注目される。

さて、「データ・ジャーナリズム」という言葉を聞いて、ワタシ的に最初に浮かぶ名前はサイモン・ロジャース(Simon Rogers)なのだが、5年前に出した本は結局邦訳されず、その後どうしてるんだろうと久しぶりに調べたら、彼の本は既に何冊も邦訳出てるんだね。

ライオンはなぜ、汗をかかないのか?―絵と図でわかる「動物」のふしぎ (創造力と直観力のインフォグラフィックス)

ライオンはなぜ、汗をかかないのか?―絵と図でわかる「動物」のふしぎ (創造力と直観力のインフォグラフィックス)

人類は宇宙の果てを見られるか?―絵と図でわかる「宇宙」のふしぎ (創造力と直観力のインフォグラフィックス)

人類は宇宙の果てを見られるか?―絵と図でわかる「宇宙」のふしぎ (創造力と直観力のインフォグラフィックス)

脳の指令は新幹線よりも速い!―絵と図でわかる「人体」のふしぎ (創造力と直観力のインフォグラフィックス)

脳の指令は新幹線よりも速い!―絵と図でわかる「人体」のふしぎ (創造力と直観力のインフォグラフィックス)

データジャーナリズム本流の本ではなく、その手法を応用した小学生向けのインフォグラフィックスの手法を使った本みたい。

キング・クリムゾンの来日公演に2日行ってきた

キング・クリムゾンのライブは、1996年、2003年、そして2015年と見ているのだが、3年ぶりの来日公演行ってきました。出不精のワタシがライブに行くこと自体まれなので、感想を書き残させてもらう。日本でのすべての公演が終わったので好きに書かせてもらう。

今回は2回行ったのだが、これは実ははじめからそのつもりではなかった。(前回2015年のときもそうだったのだが)チケットの発売日をうっかり忘れていて、慌てて予約をしたら意図しない日のチケットを押さえてしまい、後でそれに気づいて元々行くつもりだった日も予約をした。

意図しない日のチケットは合法的に売り払うつもりだったが、それも面倒くさくなり、それに今回が最後かもしれないじゃないか(前回も同じようなことを書いているが……)、ロバート・フリップ先生の雄姿を目に焼き付けようとスケジュールを調整して二日続けて行くことにした。

以下、箇条書き。

12月9日、グランキューブ大阪セットリスト

  • 何しろ結成50周年のバンドであり、基本的に客は自分より年長なのがデフォなのだが、意外に自分よりも若い人が多かった。実は新陳代謝している?
  • メンバーがステージに登場し、『アイランズ』ラストの SE が流れる中楽器を軽く鳴らし、1曲目は「太陽と戦慄パート1」で、これは3年前に観た大阪公演とまったく同じ。メル・コリンズが途中で「君が代」を挟むのも同じで、思わず失笑(誤用)
  • 60年代、70年代の曲を多くやるようになった3年前のライブでも期待できなかった『リザード組曲、というか「ボレロ」をやってくれたのが嬉しかった
  • ジャッコ・ジャクスジクがヴォーカルをとるようになり、80年代以降の曲は前回の来日公演は皆無だったが、今回やってくれた「インディシプリン」もどうも違和感しかないなー、と思っていたら、最後の「I like it!」がまったく違うフレーズになっていて、なんだ? と思ったら、「イイね!」と日本語でシャウトしてたのに気づいて脱力。Facebook かよ
  • ずっとライブで聴きたいと願っていた、クリムゾン史上もっとも美しい曲だと今も思う「アイランズ」を聴けた
  • 40年以上たって昔のバンドに再加入と書くとなかなかすごいメル・コリンズは、3年前のライブでもよくやってると思ったが、今回は一曲の中でもフルートやサックスをとっかえひっかえ吹きまくり、まれに入りを間違えたりしていて存在感を発揮していた
  • この日は一階席のほぼ最後尾だったためライブ中は気づかなかったのだが、「コンストラクション・オブ・ライト」の途中、フリップ先生が文字通りお手上げのポーズをとったらしい。フリップ先生でも演奏できなくなることがあるんだ
  • クリムゾン・キングの宮殿」は当然盛り上がり、大歓声……と思ったら、通常省略することが多いコーダ部分をやったのに驚いた
  • フリップ先生のギターから始まるものだから、最初よく分からなかったラディカル組曲から「レベル5」改め「太陽と戦慄パート5」が竜巻のようなすさまじい演奏で、曲が終わったときに客席から「おおっ……」と声がもれていた。ここで本編終了
  • アンコールは「スターレス」1曲だけだったが、これがこの曲があるべき壮絶さだったので満足
  • 終わってみれば、「太陽と戦慄パート2」「レッド」「21世紀の精神異常者」という定番曲をやってないのだが、それでこの満足感はすごいことである。しかし、思えば「太陽と戦慄パート2」「レッド」をやらないライブって長らくなかったのでは
  • ライブが始まる前に何人もの係員が脅迫的に「スマホの電源をオフにしろ」と延々繰り返すので、ワタシは意地でも従わないのだが、演奏が終わってトニー・レヴィンがカメラを取り出す瞬間からスマホでの撮影が可能になるという理不尽な設定である。前述の通り最後尾の席のため、トニーがカメラを取り出したのがよく分からずに撮影するタイミングを逃してしまった

12月10日、グランキューブ大阪セットリスト

  • ステージで前列にドラムキットが3つ並び、それ以外が後列という構成は前回同様だが、今回は後列組にビル・リーフリンが加わり人数が奇数になったのに、リードボーカルをとるジャコを中央にせず飽くまで自分の隣に置いておくフリップ先生(多分)は強情だ
  • 2曲目でいきなり「ディシプリン」が聴けて満足。あとは「Fracture」におけるフリップ先生の運指運動が見れれば言うことなかったのだが、残念ながらそれはかなわず
  • 「太陽と戦慄パート2」が始まる際に「トーキング・ドラム」のコーダ部分を SE で流していて、逆に違和感があった。「21世紀の精神異常者」のイントロも SE を使っていたが、これはあまりよいことと思わない
  • 昨日は第2部のラストだったラディカル組曲で第1部が終わったのだが、フリップ先生が退場する際に客席に向かって指で「それはやるな」という感じの合図をしたのが気になった。誰かスマホで写真でも撮ったのだろうか(伏線)
  • アンコールは「21世紀の精神異常者」だったが、間奏部でメル・コリンズがまだソロをとっているのにフリップ先生がいきなりヒステリックなまでのけたたましいギターを弾き始めてびっくりしたのだが、よほどエキサイトしていたのか
  • この日は終演後の撮影タイムでちゃんと写真が撮れた。これでも前日よりは遥かに前の席だったのである


  • ワタシは気づかなかったのだが、この撮影タイムに最前列の席に結構な器材を持ち込んで録音していた爺さんがセキュリティに3人がかりで取り押さえられていたらしい。その話を知り、第1部終了後のフリップ先生のジェスチャーの意味が分かった。あれだけ脅迫的にライブ中の録音撮影録画はやるなと大連呼されるライブでやらかすジジイの神経が分からんよ
  • ライブが終わって気づいたのだが、完全インプロビゼーションの「Providence」を除くアルバム『レッド』の全曲をやってくれたことになる。これは貴重なライブかも
  • 前日はやらなかった「太陽と戦慄パート2」「レッド」「21世紀の精神異常者」をやってくれたので、前日と補完関係にあるこの日の選曲だった。あとは「Fracture」さえ聴けていたら……

今回は20分の途中休憩を含む3時間のライブとは聞いていたが、2日間ともオンタイムに始まり、80分したら第1部終了、20分の休憩、そしてその後アンコール含め80分とかなりきっちりしていた。休憩時間を除いても2時間半のライブ、またその中では各人のソロパートも含むライブでこの時間管理は驚異とすら言える。

そういうわけで思わぬ形で2日連続でライブに行くことになったが、上述の通り2日セットで満足できる内容だった。高校二年生の夏休みにアルバム『太陽と戦慄』を聴いて衝撃を受け、以来キング・クリムゾンを聴き続け、またライブに行けて本当によかった。

Meltdown: King Crimson, Live In Mexico (3CD+Blu-Ray)

Meltdown: King Crimson, Live In Mexico (3CD+Blu-Ray)

アメリカにパブリックドメインが帰ってくることを祝してインターネット・アーカイブに寄付した

これを読んではじめて気づいたのだが、1998年に制定されたソニー・ボノ著作権延長法によって、アメリカで著作権の保護期間が20年延びて、20年が経とうとしているのだな。

つまり、2019年にアメリカには新たなパブリックドメインが加わることになる!

これを祝うイベントをインターネット・アーカイブクリエイティブ・コモンズが共催するのだが、エルドレッド裁判で著作権保護期間延長と戦ったローレンス・レッシグはもちろん、作家のコリィ・ドクトロウ、ずばり『The Public Domain』という著書もあるジェームズ・ボイルなど、このブログでもおなじみの著名人が参加するとのこと。

しかし……これって、今年著作権保護期間の50年から70年に延長がなし崩し的に決定してしまった日本から見ると、なんだか皮肉な話だよね。

ともかく良い機会なので、パブリックドメインの流通に大きな役割を果たしているインターネット・アーカイブに少額ながら寄付させてもらった。

Free Culture

Free Culture

マイクロソフトのEdgeがChromiumベースになることによりウェブから多様性が失われることを懸念するのでモジラ財団に寄付した

先週、マイクロソフトIE の後継として(ゴリ)押してきたブラウザ Edge が Chromium ベースになることが話題になった。

Chromiumオープンソースであることを考えると、これをオープンソースの勝利ととらえることもできるが、それよりも Google Chrome と合わせて、ブラウザ市場における Chromium ベースの支配が強まることになる。これについては、大喜びの声と多様性が失われるウェブへの懸念の両方があったが、個人的にはただただしさんと同意見である。

ブラウザの一極支配の問題というと、ワタシは jwz の文章「ネットスケープと aol/time-warner, パート2.」を思い出す。かなり長くなるが、以下引用させてもらう。

もしネットスケープ (または AOL、またはだれでも) が人気あるフリーのブラウザ製品を持っていたら、その製品はその企業にとってすさまじい価値を持っている。そしてそれは別に、人がデフォルトのホームページを変えられないほどグータラだなんてことのせいじゃない

 価値は、現実世界の多くの人がそのブラウザを使っているということで、これはつまりマイクロソフトが、相互運用性のメリットを考えてオープン規格にしたがわざるを得ないというところにある。

 要するにこういう仕組みだ。もしウェブサイトを運用している人が、顧客の70%があるブラウザを使って、30%が別のブラウザを使うと知っていたとしよう。この二つの競合の間の共通部分が標準規格になる (デファクトだろうとデジュレだろうとどうでもいいよ)。

 でももしウェブサイトを運営している人が、顧客の 99.9% が一つのブラウザしか使っていないと思ったら、そのサイトが別のものできちんと動くか確かめたりはしないだろう。そしてマイクロソフトが新しいおもちゃをくれたら、それで何かクローズドで独占的なものに囲い込まれているなんてことは気がつきさえしないだろう。

 この最終的な結果は、マイクロソフトが単独で標準規格を決めて、そしてすべての領域でますます競合しにくくなるということだ。

 これは AOL (ブラウザメーカーとしての)だけに関係することじゃなくて、マイクロソフトと競合することになるすべての人に関係あることだ(ということは成功しようと思うすべての人にってことだ。マイクロソフトは自分があらゆるビジネスに参入するつもりだから)。

 もしマイクロソフトが標準規格をコントロールするなら、気まぐれで変えられるし、これは競合相手にとってすさまじく強力な武器になる。

 もちろん AOL は、オープン規格の仕様と準拠についてはマイクロソフト並にひどい実績しか持っていない。だから、ぼくたちの多くにとっては実に自明なことを連中が理解できるとは思えない。つまり、オープン規格がインターネットの機能にとって
きわめて重要だってことを。これらすべてをそもそもに可能にしたのは、オープン規格なんだ。

netscape and aol/time-warner, part two-j

この文章が書かれて20年足らずで、そこで警戒の対象だったマイクロソフトオープンソースの軍門に下るなんて当時はまったく想像すらできないというか歴史の皮肉を感じるが、当時とは違った形でブラウザ分野における独占の問題がまた頭をもたげているわけだ。

これはワタシ自身にとっても切実な問題である。というのも、ワタシは長年の Firefox ユーザだからだ。ひとつお断りしておくと、ワタシが Firefox を使い続けているのは、単にワタシが怠惰で病的なものぐさだからで、Firefox が他ブラウザより優れているだからというのはまったくない。

今では Firefox もすっかり斜陽だが、思えば jwz がこの文章を発表した当時、Mozilla の状況は現在よりもはるかに絶望的だった。それをここまで押し戻したのである。モジラ財団の奮起を期待して、少額ながら寄付をさせてもらった。

半年ほど前に取り上げたジェームズ・ブライドルの本の邦訳『ニュー・ダーク・エイジ テクノロジーと未来についての10の考察』が出ていた

半年ほど前にジェームス・ブライドルの新刊『新たな暗黒時代:テクノロジーと未来の終焉』がキャッチーで面白そうだと書いたのだが、熊谷朋哉さんのツイート経由で、その邦訳『ニュー・ダーク・エイジ テクノロジーと未来についての10の考察』が NTT 出版から出ているのを知った。

ワタシがブログで取り上げた時点で原著が出るのもまだだったはずで、NTT 出版はよほど早くから目をつけて版権を押さえていたのだろうな。

ニュー・ダーク・エイジ テクノロジーと未来についての10の考察

ニュー・ダーク・エイジ テクノロジーと未来についての10の考察

2018年のもっとも重要なAI研究論文トップ10を要約して紹介

2018年に公開された AI 研究の論文でもっとも重要な10本を選定し、その要約をしてくれているありがたい文章なのだが、すべてについて以下の項目を挙げているのが親切だし、客観的である。

  • 元論文のAbstract
  • 執筆者による要約
  • 本論文の核となるアイデア
  • 本論文の重要な成果
  • AI コミュニティは本論文をどう評価しているか
  • 今後の研究領域は何か
  • どんなビジネスへの応用が可能か

ワタシなど恥ずかしながらここに挙がる論文をどれも読んでないのだが、これくらいなら目を通してみようという気にさせてくれる。

これを書いている Mariya Yao という人が只者ではないことが分かるが、Metamaven の CTO にして、今年 Applied Artificial Intelligence という本を共著しているのだね。邦訳は出るかな。

Applied Artificial Intelligence: A Handbook for Business Leaders

Applied Artificial Intelligence: A Handbook for Business Leaders

ネタ元は Four short links

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その17

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、以前にも感想を取り上げた @cetacea さんが改めてボーナストラックについて書かれているので取り上げさせてもらう。

これは著者として喜ぶべきかどうかという問題はある。ワタシ自身この文章を書いたことで本当にひどい目にあったというのもあるのだが、それはともかくウェブ連載を大方読んだ人にも、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を買う理由を与えているとポジティブに考えたい。のだが、実際にはだから売れている、ということはまったくなさげなのが実情である。

あと個人的には、前著『情報共有の未来』も併せて購入してくださった方がいたのはすごく嬉しかった。

ここまで自分の文章を誉めてもらえると、最近ひたすら落ち込むことばかりだったので、ただただありがたく思う。

ヘレディタリー/継承

ヘレディタリー 継承 [Blu-ray]

ヘレディタリー 継承 [Blu-ray]

以下、作品の内容にも触れるので、未見の方はご注意ください。

すごく嫌な映画だった。存分に怖いのだけど、作品の質とは別にこの映画が好きになれない。そうした種類の映画である。

本作では特に音の演出がうまかったな。そう、あの音! あの音ってあまり行儀が良くないというか、ワタシなど少し生理的嫌悪感を催す種類の音なのだが、それをよくもうまく使いやがって。あの音が鳴っただけで登場人物がびくっとなるのだが、それもこの映画の嫌さに貢献している。

役者では、誰もが書くだろうが、家族の多くを死に追いやった精神疾患が子供たちに受け継がれる恐怖を抱える母親を演じるトニ・コレットの驚異の顔芸ぶりがすごかったな。

ホラー映画の系統としては『ローズマリーの赤ちゃん』に通じるのだけど、近年観たものとして『イット・フォローズ』『ゲット・アウト』なんかも連想した。

ただ最終的なオチは凡庸というか期待外れに思えた。それはエンディングに、本編に感じる禍々しさが足りないことにもつながっている。いずれにしても第一級に嫌な映画である。

『ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix(仮)』の刊行が楽しみだ

ワタシにとって2018年の一番の変化は、Netflixアメリカのドラマを見るようになったことだ(今メールを検索したところ、実際に Netflix と契約したのは2017年10月だが)。遅ればせながら、ようやくワタシもアメリカにおける「テレビドラマのルネサンス」の一端を享受できるようになったわけだ。

最初 Netflix と契約して、観れる映画の貧弱さに呆れたが、今はそれはない。というか、観たいドラマを追うだけでもういっぱいいっぱいだからだ。

そうした意味で、Netflix についての視聴者向けのガイド本が今までなかったことが意外なのだが、その需要を満たす本が出るようで、これは良いことだと思う。

 本書では、世界最大手の定額制動画配信サービスNetflixが製作・配信する、“これだけは絶対に観ておくべき”オリジナルドラマ・シリーズ11作品を8000字超えのボリュームでレビュー。エミー賞の獲得や130億ドルにのぼる破格の予算を投入するなど、評価と規模の両面において、ハリウッド映画にも引けを取らないネットフリックスのオリジナル作品だけを取り上げた初の書籍となっている。すでに作品に親しんでいる人には、映画鑑賞後のお楽しみであるパンフレットの代わりに、未見の人にとっては新たな作品との出会いの入り口となるだろう。

https://realsound.jp/tech/2018/11/post-285021.html

執筆者も宇野維正さんをはじめとして、真魚八重子さん(id:anutpanna)、伊藤聡さん(id:zoot32)、辰巳JUNKさんなどワタシが好きな書き手が多く参加しており、これは楽しみである(もうすぐはてなダイアリーも終わるので、特に意味なく id コールをしてしまった)。

ちなみにこの本で紹介されているドラマでワタシが既に見ているのは、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」、「ブラック・ミラー」(ただし、3rd シーズン以降)、「ベター・コール・ソウル」、「マスター・オブ・ゼロ」、「The OA」、「13の理由」である。

どれも面白いのだけど、個人的には(『アナザー プラネット』のブリット・マーリングのドラマというので観た)「The OA」の最後にはさすがに呆然となったな。長谷川町蔵さんはあのドラマについてどんな文章を書くのだろう。

ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix

ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix

電子フロンティア財団とMcSweeney'sがタッグを組んだ『The End of Trust』が無料ダウンロード可能

電子フロンティア財団と McSweeney's と組んで The End of Trust という本を出したとのことで、テーマはテクノロジーとプライバシーと監視という今時なものである。

寄稿者の名前を見ると、エドワード・スノーデン、コリィ・ドクトロウ、イーサン・ザッカーマン、ブルース・シュナイアーなど、ここでもおなじみの名前が並んでいる。

Mcsweeney's 54: End of Trust (Mcsweeney's Quarterly Concern)

Mcsweeney's 54: End of Trust (Mcsweeney's Quarterly Concern)

実は洋書を買わなくても、クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際(CC BY-NC-ND 4.0)自由にダウンロード可能なんですね。

既にブルース・シュナイアー先生が寄稿した文章の日本語訳が公開されているが、これを読むとシュナイアー先生が「プライバシーの不変の価値」を書いた頃から一貫していることが分かる。

オープンソース・ハードウェア協会の新理事に『3Dプリンティングと著作権を考える』の著者が加わる

オープンソース・ハードウェア協会(Open Source Hardware Association)の理事選挙の結果発表だが、誰が何パーセント支持されたかまでオープンにしているのは偉いね。

さて、新理事の顔ぶれを見て、ワタシが知ってる人が入っているので紹介しておく。

エリック・パン(Eric Pan)は、ワタシも「メイカームーブメントの幼年期の終わりと失敗の語り方」で取り上げた高須正和さんの『メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。』の読者なら見覚えがある人じゃないだろうか。Open Source Hardware Association に深圳人脈が入るのは自然なことだ。

あと一人、マイケル・ワインバーグ(Michael Weinberg)は、ワタシが訳した『3Dプリンティングと著作権を考える』の原著者である。

3Dプリンタもすっかり当たり前の存在になりつつあるが、そうした今現在も3Dプリンティングと著作権は考えておくべき問題だと思うので、これを機に読んでみてはいかがでしょう……と書くと宣伝かよ! と言われそうだが、もちろん宣伝ですよ!

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その16

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』特別版がSTORES.jpで人気アイテム入りしている話は10月末に取り上げているが、本文執筆時点で未だに人気アイテムのトップなようで、本当に売れているのだろうか。

正直いぶかしく思うが、実際特別版を購入されている方はいるようで、ありがたいことである。

さて、個人的に驚き、嬉しく思ったのは武藤健志さんが『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を読まれているのを知ったことだ。

それこそ武藤健志さんのウェブ日記を下手すれば20年近く前(当時はトップスタジオのサーバー上で公開されていたっけ)から読んでいたのである。正直、自分とはレベルが違う世界の人だとずっと思っていたので、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を読んでくださっているのを知っただけで感無量、と書くと大げさだが、それに近い感覚がある。

KeN's GNU/Linux Diary にもちょろっと書名が出てくる。

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