本当に重要なのは、過去の芸術家風の新作ではなく、質的に新しいものを生み出せるか? ということだ。この文章の副題にあるように「創造性とは、既にあるものの模倣ではなく、何か新しいものを作ること」であり、さらに言うと、人間の芸術家は過去の作品から「盗み」、新しいものを作り出す。こういう「再解釈」は AI には可能だろうか。
日本のメディアの悪いところに、一度評価されたものがずっと棚上げになり、それがおかしくなってもそれをちゃんと批判されない(から、正しく「再評価」もできない)ところがあるとワタシは思っている。それは例えばポール・グレアムといった IT 系の偉人にも言えることで、この場合は彼が変節したのではなく、以前と主張は変わらないのだけど、それを受け取る側の潮目が変わったことはちゃんと示しておきたいとあえて書いた文章なので、それを評価していただいたのは嬉しい。
旧聞に属するが、ローリング・ストーンズが1989年にアトランティック・シティで行ったライブを収録した『Steel Wheels Live – Atlantic City, New Jersey』がリリースされた。
このときのツアーを収録したライブ盤は過去にも出ており、特筆すべき内容ではないのだが、このアトランティック・シティでのライブには、トレーラー映像にも出てくるようにエリック・クラプトンが客演しており、昔キースがこのときのことをインタビューで語っていたな……と思い出したので、1989年から15年くらい読者だった rockin' on をひっぱりだす「ロック問はず語り」を久しぶりにやろうと思う。
ただし、今回引用するのは rockin' on ではなく、雑誌 CUT の1990年5月号のキース・リチャーズのロングインタビューで、要は東京ドームで10回公演を行ったストーンズの1990年初来日時のものだ。インタビュアーは渋谷陽一。
上記の通り、ワタシが初めて聴いたストーンズは1981年の "Start Me Up" だが、当時はバンド名も知らなかったし、洋楽を聴くようになった頃、ミックとキースの不仲の影響でストーンズの活動は停滞していた。このときの『スティール・ホイールズ』がワタシが初めて買ったストーンズの新譜であり、初めて観たライブが初来日公演のテレビ放送だった。
ルキダスがまず指摘するのは、多くの AI システムについて、我々が AI を「神託(oracle)」みたいに見ていること。つまり、人間が入力を入れたら、AI が答えを出力してくれる、みたいな。しかし、そうした片方向の情報モデルには問題が多く、例えば医療分野で AI の導入が進まないのも、医師はメンツを AI に潰されることを恐れるからという側面がある。
ルキダスは、ソフトウェア開発者と顧客の共同作業に、上に書いた「神託としての AI」の先にあるものを見ている。つまり、我々に必要なのは AI にコーディングの指図をされることじゃなくて、AI の提案を人間のプログラマが磨きをかけ、両者が解決策に向けて協力するような双方向の情報モデルである。
そのソリューションはおそらく IDE に組み込まれるだろう。プログラマがやりたいことを、不正確で曖昧な英語でざっと記述することで始める。AI はその解決策がどんなものになるか、おそらくは疑似コードみたいなスケッチでそれに応える。それを受けてプログラマは、豊富なコード補完機能(つまりそう、GitHub とかそうしたものにあるすべてのコードを学習したモデルに基づく)を使って実際のコードを埋めて書き継ぐわけだ。