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「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」を見てきた

ambientkyoto.com

ブライアン・イーノによる音と光の展覧会「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」のことを知ったときは、これは行きたいぞ! という気持ちと、その頃コロナがどうなってるかねぇという気持ちが交錯したが、これに行かずして、何のための人生か! と自らを鼓舞してチケットをおさえた。

ワタシはこうしたヴィジュアルアートを賢しらに語る語彙を持たない人間なので、とりあえず行ったぞ、と写真だけはってお茶を濁させてもらう。ちゃんとした情報を欲しい方は Tokyo Art Beat のレポートなどをどうぞ。

京都中央信用金庫 旧厚生センターに来たのは初めてである。建物ごとイーノ展という趣向には唸った。もちろん、もっとでかい建物でもっといろいろ見たかった、という気持ちもあるが。

ワタシの iPhone では、なんとも茫洋とした写真しか撮れず、申し訳ない。これは「Light Boxes」だが、あとになって「77 Million Paintings」の写真を一枚も撮ってないのに気づいて頭を抱えた。

おおっ、これもイーノ先生の作品か! と思わず写真を撮ったが、冷静に考えて、そんなわけはない。

「Face to Face」が一番面白くて、実在する21名の人物の顔を、特殊なソフトウェアを使い、別の顔へとゆっくりと変化させていくもの。この変化時に顔が微妙にホラーっぽくなったり、さっきまで女性と思ってたものが男性に変わっていたりする。

左側がちょっとホラーっぽいでしょ。あと、中央はイーノ先生だよね?

「The Ship」は他と違い、ライティングがほぼない部屋で音と向き合うことになる。ワタシが入室して間もなくイーノ先生が歌うヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバー「I'm Set Free」が流れたので、もう一度「I'm Set Free」を聴くまで部屋で音に浸っていたら、一時間ほど経っていた。

こういう機会はそうそうない、と貧乏人のワタシも奮発してカタログを購入したが、「アーティストの希望で、袋はありません」と言われ、この日文字通り手ぶらで会場に来たワタシは、カタログを手で持ったまま移動することになり参った(笑)。

ここには写真を載せられないが、そのカタログの中に女性のヌードがあり、これが昔、渋谷陽一が『ロック―ベスト・アルバム・セレクション』で書いていた、イーノのビデオに延々女性の裸が写し出されるものがあるってのはこれのことか! という感慨があった(何も調べずに書いているので、違ってたらすいません)。

偶然にも個人的な事情が重なったのもあり、思い出深い機会となった。

ダニエル・J・ソローヴ先生が選ぶプライバシーについての本5冊

shepherd.com

ワタシも「社会的価値としてのプライバシー(後編)」で取り上げ、『プライバシーの新理論―― 概念と法の再考』(asin:4622077655)、『プライバシーなんていらない!?: 情報社会における自由と安全』(asin:4326451106)の邦訳もあるダニエル・J・ソローヴ先生が、プライバシーについての本を5冊選んでいる。

最近出た本では、まずは Neil Richards の Why Privacy Matters がある。

ソローヴ先生はこの本について、プライバシーは死につつあるとか不気味なものといった俗説を斥け、プライバシーが我々のアイデンティティや自由にいかに重要かを論じていることを評価している。

あともう一冊、Ari Ezra Waldman の Industry Unbound も昨年出た本である。

ソローヴ先生はこの本について、プライバシー法がどんどん可決され、企業によるプライバシープログラムが広まり、我々は一見プライバシーの黄金時代に生きているように錯覚するが、実はそうしたプライバシープログラムは骨抜きにされており、無意味な紙の記録を作るだけで、お粗末な現実の表面を覆い隠しているだけなのを論じていることを評価している。

ソローヴ先生が選んだ5冊の中で既に邦訳があるのは、ダニエル・キーツ・シトロンの『サイバーハラスメント』だけかな。

今年がカート・ヴォネガット生誕100周年なのを新刊情報で思い出した

というわけで、フィルムアート社からカート・ヴォネガット『読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」』が今月出るのを知ったわけだが、「生誕100年を記念し、待望の邦訳!」と書いているのをみて、今年がカート・ヴォネガットの生誕100年なのを思い出した。

カート・ヴォネガットといえば、彼の伝記映画『Kurt Vonnegut: Unstuck in Time』を昨年取り上げたが、生誕100年ということで、これの日本公開も実現しないかねぇ。

クエンティン・タランティーノの新作は映画ではなく今年10月に出る本

www.indiewire.com

クエンティン・タランティーノは以前より、10本映画を作ったら監督は引退と公言しており、果たして10作目となる次作は何なのか気になるわけだが、その前に Cinema Speculation という本が10月に出るのを知る。新作は映画ではなく本というわけだ。

当代もっとも有名な映画監督というだけでなく、最大の映画愛好家としても知られるタランティーノの本なので、(少年時代の彼が観た)1970年代の主要なアメリカ映画を中心に構成された、映画批評、映画理論、ルポルタージュ、そして個人史でもある本ということで、彼が愛する映画について語り倒す、つまりは彼のファンが彼に書いてほしいと思っていた本ということで間違いなさそう。

来年には邦訳も出てほしいところ。

ジョン・ライドンと結婚しそこねたクリッシー・ハインドの話など

kingink.biz

ティーヴ・ジョーンズの自伝を原作とし、ダニー・ボイルが監督した(そして、ジョン・ライドンが訴訟を起こしたりして揉めた)Pistol をワタシは観ていないのだが、このドラマ評で「ヒロイン(?)役として登場するのがなんとクリッシー・ハインド」というくだりで思い出した話がある。そう、彼女もセックス・ピストルズ関係者の一人だったんだよな。

というわけで、1989年から2004年まで読者だった雑誌 rockin' on のバックナンバーから記事を紹介する「ロック問はず語り」、今回紹介するのは、1992年4月号(表紙はティン・マシーンのデヴィッド・ボウイ)に掲載されたジョン・ライドンのインタビューである。

このインタビューは、確か NME の記者のインタビューを受けるにあたり、ジョン・ライドンが君の部屋でやろうと言い出して本当に記者の部屋で大量のビールを飲みながら行われたものである。その放言だらけのインタビューの中でクリッシー・ハインドの名前も出てくる。

「クリッシー・ハインド! ひっひっひ!」(中略)
「全く強い女だよな、クリッシーは。おまけに結婚してやらなかったもんだから今でも俺につらく当たるんだよ。っていうのはまぁ、セックス・ピストルズをやっている時分に出会ってね、イギリスに住みたいって言うから、永住権を手に入れられるように結婚してやらぁってことになったんだ。でも、当日になったらやっぱり嫌んなっちゃってきてさ、それですっぽかしてシド・ヴィシャスを代わりに行かせたわけ。『シド、こりゃあやっぱり俺にはできんわ。ひとつよろしく頼むよ』って言ったら、あいつも『おう、まぁいいけど、俺着るもん持ってねぇよ』って言われて、それで俺が服借りてきてやったんだよ」

そんなことを友人、しかもシド・ヴィシャスに頼むって……しかも、シドもそれを軽く受けるなよ!

なお、クリッシー・ハインドの希望でジョン・ライドンと結婚しかけた話は本当らしいが、彼女側の証言とはかなり状況が異なるので、飽くまでジョンの話ということでご理解いただきたい。

この話を聞いた記者の感想も奮っている。

 それにしてもすごい話ではないだろうか。教会(というより役所)で花嫁が花婿の到着を待っていても現れないのである。でも、待てよ、鼻を鳴らしながら足を引きずってこちらに来るあの変なのは誰だ? シド・ヴィシャスだ!
 このあくどい企みの張本人はこの思い出に思い切り耳障りな笑い声を上げる。「かわいそうなシドニー!」と叫ぶその声はかつて世代をひとつまるごとひっくるめて震撼させたあの当時のままである。

このインタビューで、セックス・ピストルズを再結成すれば、短期間で大金を稼げるし、そのオファーも多いだろうに、と水を向けられたジョン・ライドンの発言は以下の通りである。

「それは徹底的に恐ろしく、シニカルで、低劣で、俺はきっと地獄のような罪悪感にさいなまれ、きっと鏡で自分の顔さえ凝視できなくなるだろうよ。それは俺の感情を破滅に招くようなことだよ。そういうわけだから、俺はもう誰のためにもあのジョニー"悲喜劇"ロットンっていうキャラクターを演じるつもりはないんだ」

しかし、現実にはご存知の通り、セックス・ピストルズは再結成した。ワタシとしては、上に引用したジョンの発言も理解できるし、これまで搾取された金を取り戻すために再結成した。パンクだから清貧なんておかしいだろ、という再結成時のジョンのコメントもやはり理解できるのである。

そういえば、樫原辰郎さんはこのピストルズの再結成を以下のように評している。

つまり、セックス・ピストルズの再結成とは、セックス・ピストルズの完全否定だったわけである。ロックの歴史上、ここまで完璧に伏線回収したバンドはおそらくない。見事である。歴史上、ロックは死んだという発言をした人は何人かいるのだが、ライドンは具体的にロックが死ぬところを演劇的に再現し、それをワールドツアーで公演して回ったのである。

第15回 文明化と道徳化のロックンロール – 晶文社スクラップブック

それからも時が流れ、ジョン・ライドン「アナーキーはひどい考えだ」、スティーヴ・ジョーンズが「俺はスティーリー・ダンが好きなんだ。悪いか?」と語るのも、時の流れを感じる。

このインタビューは後に『ROCK GIANTS 80’S』という本にも収録されたが、当然ながらそちらも絶版である。ジョン・ライドンの自伝は読んでいないので、クリッシー・ハインドの件がどう書かれているのかは知らない。

WirelessWire Newsブログ更新(Web3の「魂」は何なのか?)

WirelessWire Newsブログに「Web3の「魂」は何なのか?」を公開。

月一のペースを考えると少し早めの復帰2回目の公開だが、それには理由がある。今月から来月にかけてひどく忙しくなるのが見えており、書けるうちに書いておかないといけないと思った次第である。

なので、次回の WirelessWire 原稿はひと月後といかない可能性が高く、最悪一回飛ばしになるかもしれない。

タイトルは、ルー・リードの "Coney Island Baby" の歌詞からとった「Web3のサーカス、もしくは下水道」としていたのだが、編集長から長いタイトルを提案され、それが嫌だったので、提案されたタイトルの前半部だけにしてもらった。はっきりいってまったく気に入ってないが、元々の案が認められなかった以上どうしようもない。

正直に書くと、2007年に「Web 2.0は満員の洞窟」と書いた小関悠さんに倣って「Web3は~の洞窟」というタイトルにしたかったのだが、うまいのを思いつかなかった。このように不本意なタイトルになるくらいなら、この方向でもう少し考えてみるべきだった。

ウィキメディア財団が手がける13のプロジェクトをすべて言えますか?

wikimediafoundation.org

この記事自体は、ウィキペディアの技術をもっと公平なものにしようという取り組みの話で、この関係ではワタシもウィキペディアのバイアスの問題についての文章を訳したり、黒人や多様な歴史に光を当てるプロジェクトについて既に取り上げている。

が、ここでワタシが注目したのは、本筋から離れたところ。

In my early years at the Foundation as a Technical Program Manager, I became familiar with the breadth of 13 Wikimedia projects spanning 300 languages, edited by hundreds of thousands of volunteers from all over the world.

The journey to make Wikipedia’s technology more equitable – Wikimedia Foundation

ここでリンクされている「13のウィキメディア(財団)のプロジェクト」を、リンク先に飛ぶ前に挙げてみようと思ったわけである。Wikipedia をはじめ、Wikimedia CommonsWikibooksWikinewsWikiquote、あと MediaWiki の開発もそうだよな……と挙げていったが、13個全部は言えなかった。

具体的には Wikispecies の存在自体知らなかった。あと、Wikivoyage のことは開始当時ブログで取り上げていたのに忘れてしまっていた、など。

皆さんはどうだろう?

デヴィッド・グレーバーの遺作(今度こそ)『海賊の啓蒙、もしくは真のリバタリア』が来年はじめに出る

yamdas.hatenablog.com

このとき「デヴィッド・グレーバーの遺作」と書いたのに、調べものをしていて、Pirate Enlightenment, or the Real Libertalia という本が来年のはじめに出るのを知る。

「The final posthumous work」とあるので、この本が今度こそ最後の遺作になるはずである。

最初、これまで書籍に収録されていない短い文章をかきあつめた本じゃないかと思ったのだが、グレーバーは大学院時代にマダガスカル民族誌的な現地調査を行い、それを基に博士論文を執筆している。彼の人類学者としてのキャリア初期の仕事の書籍化ということかな?

内容的には彼が遭遇したの海賊の子孫の混血からなる民族であるザナ・マラタ族を研究したものらしいが、「海賊」という存在が長年フィクションでファンタジー化してきた理由である、その自治オルタナティブな社会形成は、いかにもアナーキストとしてのグレーバーが興味を持ちそうに思える。

なお、書名にある「リバタリア」だけど、てっきりリバタリアンの誤記かと思いきや、『海賊史』に登場する海賊のユートピアの名前なんですね。

海賊についての本というと、一年近く前にここでも取り上げたティーブン・ジョンソンの『世界を変えた「海賊」の物語』があるが、こちらは「グローバル資本主義の誕生」の話である。

ページ数は200ページちょっとで短いので、『The Dawn of Everything』よりもこちらの邦訳が出るほうがもしかすると先かもしれない。

デヴィッド・クローネンバーグがビデオショップで愛する映画について語り倒す動画

www.openculture.com

フランスの Konbini というサイト(日本語の「コンビニ」から名前をとったのかな?)がやってる、著名な映画監督がビデオ店で愛する映画について語り倒す動画シリーズが既に話題になっている。本文執筆時点でデヴィッド・クローネンバーグが最新で、これが実にいい。

こういうのって、やはり最初に挙げる映画が一番グッとくるね。ざっと訳してみる。

私が子供の頃、住んでたトロントでは毎週土曜に子供たちが大勢劇場にやってきて映画を観てたんだ。映画館の名前は「Pylon」で、子供向けにカウボーイ映画やディズニー映画とかやってた。

ある日「Pylon」を出ると、通りの向こうにも映画館があって、名前は「Studio」なんだけど、そこはイタリア映画しかやってなかった。「Studio」から出てきた人達は、全員で大人で子供は一人もいなかったんだけど、涙を流して泣いてたんだ。すすり泣いていた。私はそれに衝撃を受けた。だって、子供の頃、大人が通りで泣いてるのなんて見たことなかったから。

これはすごいと思い、私は通りを渡って、彼らがどんな映画を観たのか確かめに行ったんだ。それはフェリー二の『道』だった。

これが、映画の力を知った最初の映画なんだ。子供向けの娯楽作品や冒険活劇でなく、感情を揺さぶるとてもパワフルな映画だった。だから、『道』やフェリー二が、私にとって映画作りの入り口になったんだ。

ありがちかもしれないが、ワタシにとっても『道』は、一番泣いた映画なんですよ。

他にもイングマール・ベルイマンポール・バーホーベンリドリー・スコットから息子のブランドン・クローネンバーグにいたるまで、いろんな映画(と自分の作品の関係)について語ってるよ。

さて、デヴィッド・クローネンバーグというと、新作『Crimes of the Future』がかなりの衝撃作らしい。

上の動画でもクローネンバーグは、ジュリア・デュクルノーの『TITANE/チタン』を賞賛しているが、こうした奇想と変態美の映画のオリジネーターである彼が本領を発揮してそうで楽しみである。

cakesのサービス終了に寄せて

cakes.mu

先週、cakes のサービス終了のニュースが、同日に発表された SlowNews のサービス停止とあわせてネットユーザの波紋を呼んだ。

たとえば、今回のサービス終了に関しても、書き手が真っ先に思うのは「自分の原稿はどうなるの?」っていうことで。そこへのアナウンスが「追記」としてなされている(たぶん問い合わせが沢山舞い込んで慌てて対応したんだと思う)ということにも、「えー?」と思ってしまう。普通に考えたら、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ことをミッションに掲げ「クリエイター支援」を標榜する会社が、まず大事にすべきは書き手が安心して参加することのできるブランディングであると思うのだけれど。それを毀損してしまってない?とも思ったり。

cakesサービス終了と、この先の不安 - 日々の音色とことば

やはり、閉鎖後に記事はどうなる? というのは真っ先に出る疑問である。西田宗千佳さんの「「Web上に記事が残らない」ことは何が問題なのか」も改めて参考になる。

そしてクローズアップされるのは、クリエイターが作品を守るために必須の機能としてのエクスポートだが、これに関して note は意図的に目を背けていると言われても仕方ないと思っており、特に期待はしていない。

cakes にはワタシも「ネット×ジャーナリズムの歴史とその最新潮流としてのデータジャーナリズム」を寄稿している。これ一本だけだし、手元にテキストデータは残っているので、自分のサイトに原稿を復元するのは全然難しいことではない。(10年前の文章で、今更読む価値がある文章かは考えないことにして)いずれやります。

yamdas.hatenablog.com

これを書いてから10年になるんだね。ワタシ自身は加藤貞顕さんが好きだし、経営者として尊敬もしている。cakes にも面白い文章をいくつも読ませてもらったという感謝の気持ちがあるので、上にいろいろ書いたが、今は良い思い出だけ考えることにしたい気持ちがある。

シン・ウルトラマン

考えてみれば、ワタシは初代ウルトラマン直撃世代ではなく、かろうじて「ウルトラマン80」を見てたかくらいかな。子供がいないのもあり、平成になってからのシリーズもノータッチである。

そんなワタシがなんで本作をわざわざ映画館に観に行くのかというと、『シン・ゴジラ』の夢もう一度というのがやはりあった。

公開翌週の平日夜にレイトショーで観たのだが、それまでは基本的には特報動画しか観ずに、できるだけ情報をシャットアウトしていた……のだけど、とはいえ Twitter を毎日眺めるだけでどうしても目に入るものがあり、期待値を下げておいたほうがよいのかと思った。

結論から言うと、『シン・ゴジラ』の夢もう一度とはいかなかったし、なんというか今の日本映画の貧しさもどうしても感じてしまったが、ワタシは楽しく観ました。

外星人にしろ怪獣(本作では禍威獣)にしろ劇中に流れる曲にしろ、基本的に過去のウルトラマンシリーズに登場したものが採用されており、シリーズに詳しい人は、ちょっと見るだけでこの場面のこれは過去のあれの――と楽しめるのだろうが、ワタシは上記の通りそうした話はいっさいできない。ただ、本作における禍威獣の立ち位置って、エヴァにおける使徒だよね。

役者では、メフィラス役の山本耕史がすごく良かったな。彼がウルトラマン役の斎藤工と居酒屋で飲んでるだけで笑えた。

『三体』の例のモチーフを連想させるところや、本作にも登場する「マルチバース」のコンセプトといい、上記の貧しさも含め、これが令和の日本のウルトラマンなんだなという感慨はあった。おそらく批判もあるだろう話の詰め込み具合を含め、なんとか現代 SF 映画になっているが、『シン・ゴジラ』がゴジラに人類が初めて対峙する作品である構図は本作にも当てはまるものの、『シン・ゴジラ』を「シン」たらしめていたパワーは本作にはない(ので、『シン・ゴジラ』のときみたいに2回目の映画館鑑賞はない)。

あと情報をシャットアウトしながらもどうしても目に入った単語に「セクハラ」があったのだけど……匂いに関するアレは、(本作の製作、企画、脚本、撮影の)庵野秀明的演出という意味で、設定としてアリじゃないの? というのが正直な感想。別に強硬に擁護するつもりもないけど。ただ長澤まさみがやたらと自分や他人の尻を叩く映像的な効果が分からないし、やたらと台詞に出てくるバディ関係の演出にも全然なってない。というか、はっきり言って本作は編集が下手。あと、長澤まさみが(あの場面だけでなく)常に斎藤工よりも顔がでかく撮られているのはどうなのか。

さて、次の『シン・仮面ライダー』で、竹野内豊三部作が完結するわけですね(違う?)。

ジェイミー・バートレットの新刊は暗号通貨で21世紀最大の詐欺をやらかした「クリプトの女王」がテーマ

『闇(ダーク)ネットの住人たち デジタル裏世界の内幕』(asin:4484151197)、『操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(現在は草思社文庫に入っている)、そしてこのブログでは取り上げ損ねた『ラディカルズ 世界を塗り替える』(asin:4575314668)の邦訳があるジェイミー・バートレットの新刊 The Missing Cryptoqueen が来月出るのを知る。

「10億ドルの暗号通貨詐欺とそれを持ち逃げした女」という副題が興味をそそるが、この「クリプトの女王」とはルジャ・イグナトバ(Ruja Ignatova)のことですね。

日本では(OneCoin 詐欺の被害者がほとんどいなかったのか)彼女の知名度はさほど高くないので、以下のブログ記事が参考になるだろうか。

この新刊は、元々ジェイミー・バートレット自身が BBC で手がけた同名のポッドキャストが元になっている。

本当に最近は猫も杓子もポッドキャストだが、「テック×犯罪(とりわけ詐欺)」は特にドラマとして盛り上がる話題のようで、「テック企業(の強烈な個性の創業者)の隆盛と凋落がたて続けにドラマ化されている」で取り上げたように、そうしたポッドキャストが映像化されたり、本書のように書籍化されるわけだ。

これは過去作に続いて邦訳出るやろうね。ルジャ・イグナトバは今も失踪したままで、今年になってユーロポールが彼女を最重要指名手配者に認定しているが、果たして存命なのだろうか?

スマートフォンにまつわる10の神話(ただし真実ではない)

www.makeuseof.com

ありがちなネタかもしれないが、一応自分の認識がズレてないか確かめるためにも取り上げておこう。

  1. バックグラウンドで動作しているアプリは、バッテリーを節約し動作速度の低下を避けるためにクローズすべき
  2. 再充電の前にバッテリーを完全に空にすべき
  3. Bluetooth/Wi-Fi Direct はバッテリーキラー
  4. ハイスペックなら性能もよい
  5. 充電に使っていいのは、買ったときについてくる充電器だけ
  6. 一晩中充電するとバッテリーをダメにする
  7. Google PlayApple App Store からダウンロードするアプリは完全に安全
  8. 電話の電源を切る/SIMを抜く/機内モードにすると追跡できない
  9. 自動輝度設定はバッテリーの節約になる
  10. Androidオープンソースなため、脆弱になりやすい

各「神話」の詳細については原文をあたっていただきたいが、うーん、正直なところ、そうかもと思っていた項目は少しあるね。

そういえば8番目に関して、携帯電話の電源を切っても政府は追跡できるので、バッテリーごと抜かないと駄目という話は、グレン・グリーンウォルド『暴露――スノーデンが私に託したファイル』で読んだっけ。

それとは少し違うが、iPhone だと電源をオフにしても「探す」機能が使えるのを逆手にとって、電源オフでもマルウェアを送り込める話が少し前にあった。

バッテリー関係、つまりは消費電力についての項目が多いのは、やはりこれが未だ多くのスマホユーザにとっての重要関心事ということか。

多くのウェブアプリは実はFrontPageとDreamweaverを必死に再発明しようとしている?

ワタシは Scripting News 経由で知ったが、Wordpress の開発者、そして Automattic の創業者として知られるマット・マレンウェッグのツイートがなんとも味わい深い。


かくもたくさんの開発、スタートアップ、そして資金が Microsoft FrontPageMacromedia Dreamweaver をウェブアプリで復元せんと突っ込まれているのってすごいよね(Gutenberg もまた然り)

お前らが必死にやってるのって、FrontPageDreamweaver を再現してるだけじゃん……あ、うちの Gutenberg もそうなんですけど(てへぺろ)、という感じか。でもな、お前な、Wordpress の新しいエディタである Gutenberg、公式には↓のように謳っているのにそりゃないんじゃないか(笑)。

「Gutenberg」は、WordPress での制作におけるまったく新しいパラダイムのコードネームです。ヨハネス・グーテンベルクが印刷業界に果たした影響と同じように、パブリッシング体験全体の革新を目的とします。

Gutenberg – WordPress プラグイン | WordPress.org 日本語

このツイートを受けてデイヴ・ワイナーは、「Dreamweaver こそ我々が置き去りにした進化の跡」とぶちあげているが、実はワタシ自身は FrontPageDreamweaver もちゃんと使ったことがないので、マット・マレンウェッグのツイートの真偽は分かりかねる。

しかし、Dreamweaver はまだ Adobe のサイトにページが残っていたAdobe Creative Cloud の一部になってるわけか。

なんかこの手の話って、ワタシも「早すぎたHyperCardの上昇と下降、そしてモバイルから来たカードの群」で昔書いた HyperCard の話に近い感じがするのだが、かつてバリバリ Dreamweaver を使っていた、そして現在もウェブ開発に携わる方にマット・マレンウェッグのツイートの感想を聞いてみたい気はする。

経済学101でアダム・トゥーズのSubstackの翻訳も取り扱うという密かなビッグニュース

econ101.jp

「経済学101」がコロンビア大学のアダム・トゥーズ教授の Substack である Chartbook の翻訳取り扱いの開始が告知されている。

それを見てワタシは「これビッグニュースですよ」と書いたのだが、やはり現在のアダム・トゥーズの立ち位置が分からないとピンとこない話だろう。

横着して他の人のツイートの引用で済ませるが、そういうわけなのです。経済学に疎いワタシがバシバシ繰り出される彼の文章を原語でガシガシ読んでついていくのは難しいわけで、経済学101での取り扱いはありがたい話である。

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