インターネット・アーカイブの Live Music Archive が20周年を迎えたことを祝している。その URL から推察される通り、etree.org コミュニティに端を発し、2002年7月に Jonathan Aizen がブルースター・ケールにライブの録音音源のアーカイブをもちかけた。ケールも乗り気だったので、彼は etree.org コミュニティに「永久無料の無制限のストレージ、無制限の帯域幅」の提供をもちかけたところ、「とても信じられないが、本当にそれが可能なら、それは我々の夢そのものだ」が返事だったそうな。そうして始まった、と。
この曲には何重にも皮肉がある。この曲はマーク・ノップラーとスティングの共作だが、スティングが歌う "I want my MTV" というフレーズは MTV 開局時のキャッチフレーズで、この曲自体 MTV 批判だったりする。しかし、その曲が MTV アウォードで「ビデオ・オブ・ジ・イヤー」賞をとってしまったという第一の皮肉。そして、いまこのビデオを見ると、当時斬新と言われたコンピュータアニメーションが全然すごく見えないという第二の皮肉。
上でこの曲は MTV 批判と書いたが、曲の歌詞は家電を配達する労働者の視点から書かれている。そして、その中で faggot という単語が複数回出てくる。この単語があるため、現代イギリスでもっとも人気のあるクリスマスソングである "Fairlytale of New York" のオンエアが近年問題となる話は、北村紗衣さんの文章に詳しい。
"Fairlytale of New York" に登場する faggot は、北村さんが解説するように、この曲が書かれた当時のイギリスでは同性愛者に対する差別的な表現では必ずしもなかったのが議論をややこしくしているのだが、それより前に発表された "Money for Nothing" における faggot は、はっきり同性愛者差別的な用法だとワタシは考える。