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レッド・ツェッペリン:ビカミング

普段映画は金曜夜にレイトショーで観るのだが、ワタシの住んでる地方では、本作の上映時間は朝10時台に一日一度だったため、通常の日曜日であればまだ寝ている時間にシネコンに出向くこととなった。

IMAX シアターは満席近く埋まっていた。もしかすると、この上映時間も高齢者シフトなのだろうか?

本作はレッド・ツェッペリンの初期にフォーカスしたドキュメンタリーなのだが、この手のドキュメンタリーなら入る、同時代の他のミュージシャンやレコード会社などバンドに近い人間の証言は完全に排されており、完全にジミー・ペイジロバート・プラントジョン・ポール・ジョーンズ、そしてジョン・ボーナムの4人の言葉だけで語られていく。

これはレッド・ツェッペリンというバンドが、誰一人として欠けることが許されない、この4人の化学反応であることを本作の作り手が理解していることの証左だろう。レッド・ツェッペリンは、ライブはもちろん、レコーディングでもサポートミュージシャンをほぼ入れなかったことで知られる("Rock and Roll" や "Boogie With Stu" でピアノ弾いてるイアン・スチュアートなどがその数少ない例外)。

もちろん、本人たちの証言に限定することは、バンド初期のツアーについて言われてきたスキャンダラスな話題を回避する意図もあったろう(その手の話は、ロバート・プラントの口から少し聞けるだけ)。何よりジミー・ペイジは、そんな話よりただただツェッペリンの音楽だけに集中してほしかったのだろうし、その気持ちは分かる。

時期的には1970年はじめの英国での凱旋ライブ、アルバムは 2nd までになる。そのため映画の中で同じ曲が複数回流れるのだけど、その分これまで公開されてなかった貴重な映像で補っている。個人的には、もっと後のトップバンド然とした Zep の全盛期のライブ映像も観たかったけど、初期のがむしゃらな4人にフォーカスした分、だらけるところがなかった。

ワタシにとってレッド・ツェッペリンは、ロックの規範というべき存在なのだけど、その偉大なバンドに相応しいドキュメンタリー作品ができたことを喜ばしく思う。

この映画で語られる言葉に、彼らに対する認識を一変させられるようなものは特にない。が、ジョンジーの「(ジョン・ボーナムの)右足に惚れた」といった良い言葉がいくつか含まれている。そして、そのボンゾが他の3人のメンバーについて語る貴重な音声、そしてボンゾの言葉にそれぞれ穏やかに耳を傾ける3人の姿が映るラストにグッときた。

GoogleのVP兼フェロ―のブレイス・アグエラ・ヤルカスが問う「知能とは何か?」

ブレイス・アグエラ・ヤルカス(ブレイス・アグエラ・イ・アルカス)について最初に知ったのは、彼がマイクロソフト在籍時に行った TED Talk だったと思う。

その後彼は Google に移籍し、深層学習を通じてコンピュータアートに携わるようになり、やはり TED Talk を行っている。

その彼が Berkman Klein Center で「知能とは何か? 進化、コンピューティング、精神について AI から学んだこと」と題した講演を行っており、久しぶりに名前を見かけて興味をもった。現在の彼の肩書は、Google の VP にしてフェロー、その他いろいろ。

調べていて知ったのだが、彼は今年 What Is Life? そして What Is Intelligence? という二冊の本を出しているのね。どちらも根源的な書名を持つ本である。

今回の講演は、刊行されたばかりの後者についての宣伝なのだけど、知能を生命現象と結びつける議論を行っており、進化や生命の視点から人工知能をどう位置づけるかを論じている。それから意識、自己認識、自由意志といった概念についても語っており、これって人間と人間でないものを分かつ一線につながる議論なので興味あるところ。

と思っていたら、彼は WIRED が主催する WIRED Futures Conference 2025 Collaborated with NTT でこないだ基調講演を行ったばかりだった。

ものづくりの祭典「Maker Faire Tokyo 2025」が今週末開催されるぞ!

forest.watch.impress.co.jp

Make イベント事業の行方、具体的には運営のオライリー・ジャパンからインプレスへの継承については以前書いているが、それでイベントがかつてと全然別物になってしまうのではといった不安をお持ちの方がもしかしたらいるかもしれない。

そういう方は、Maker Faire Tokyo 2025 の開催を今週末に控え、その運営責任者を務める田村英男さんのインタビュー記事を読まれるとよいでしょう。

そう、事業が継承されただけでなく、その運営責任者である田村さんもインプレスに移籍されているんですね。

その彼が日本におけるメイカームーブメントにとってもっとも大きなイベントである Maker Faire Tokyo の歴史、そして現在を語るインタビューは必読である。これを読むと、本当に楽しみどころが多いイベントだと分かっていただけるのではないか。

なんとなく電子工作、あるいはアナログ/デジタルにかかわらずものづくりに興味があり、その流れで Maker Faire Tokyo の名前は知っているが、これまで行ったことがない人も読まれるとよいでしょう。田村さんも Young Makers ゾーンについて触れているが、学生の申し込みが大幅に増えているというのはすごい。

ワタシも近年では一昨年、昨年と足を運んでおり、もちろん今年も! と書きたいのだが、今年は本業の絡みで週末大きな動きが取れないため、残念ながら参加できないので、せめてできることということで、この優れたインタビュー記事(青山祐輔さんがインタビュアーだしね!)をお勧めさせていただく。

そうそう、Maker Faire Tokyo に行けば、ほぼ必ずお見かけする方が何人もいる。例えば、野尻抱介さん船田戦闘機さんだが、なんといっても高須正和さんがいる。

高須正和さんは、必ず Switch Science のロゴが入った赤い服を着ているから見つけやすい。高須さんに話しかければ、彼にとって今一番面白いものを語り倒してくれるはずだ。

後藤正文や柳樂光隆らと考える、まちづくりと芸術文化。「みんなの利益」「公共」とは

niewmedia.com

8月後半に長崎大学で行われたトークセッション「『あたらしいハコモノのカタチ』~地域における公共施設の可能性~」を取材して書かれた記事だが、実はこのトークセッションの会場にワタシもいた。

例年であれば、8月はやはりお盆の周りに帰省するので参加できなかったはずが、今年はそれがずれたため幸運にも行けた。

トークセッションの参加者は、やはり ASIAN KUNG-FU GENERATION(このイベントの翌日に Sky Jamboree 2025 に出演)のファンが多かったのだろうか。そうでもないかな。

ワタシはアジカンの熱心なファンではないとはいえ、もちろん好きで聴いているので Gotch の話に興味があったが、ワタシ的には柳樂光隆さん目当てで、トークセッションが始まる前にお時間をとっていただき、挨拶させてもらった。ありがたいことである。

「地域における公共施設」の話ってどうなんだろうと正直思っていたところもあるが、Gotch は NPO 法人アップルビネガー音楽支援機構としての、静岡県藤枝市に建設中の滞在型音楽制作スタジオの話、そして柳樂光隆さんは Ezra Collective を輩出したロンドンを拠点とする NPOTomorrow's Warriors など、UK ジャズの盛り上がりを支えてきたスタジオの話で、NPO にできること、公共施設の価値をしっかり語っていた。

この記事では、トークセッション後の登壇者4名へのインタビューも掲載されており、Gotch が語る、地域に通って歩いてみたり、歴史を調べてみると、意外と自分たちのやりたいこととのつながりが見えるという話、柳樂さんが語る、ジャズの歴史を教えるときに三角貿易フェミニズムの話から始める方法もあるという話、いずれも実践者ならではの言葉である。

特に以下の言葉が重要だと思った。

柳樂:日本人はあまり得意じゃないかもしれませんが、「自分たちの活動には公共性があって、社会のためになっているんだ」と言い張ることと、それをロジックとして組み立てること。そのうえで社会からの理解を得ていくプロセスが大事だと思います。

後藤正文や柳樂光隆らと考える、まちづくりと芸術文化。「みんなの利益」「公共」とは | カルチャーメディアNiEW(ニュー)

そうそう、柳樂光隆さんといえば、前作から実におよそ5年半ぶりとなる『Jazz The New Chapter 7』が出た、のかな?

来月出る宮崎智之選『精選日本随筆集 孤独』が楽しみだ

宮崎智之さんの投稿で、彼が選者を務めたアンソロジー『精選日本随筆集 孤独』が来月出るのを知る。

宮崎智之さんは以前より随筆復興を訴えているが、その宮崎さんがセレクトしたアンソロジーなら、面白い随筆が揃っているはずだ。最初から文庫というのも財布に優しい。早速予約を入れたが、楽しみである。

正直なところ、ワタシは「AIに小説は書けてもエッセイは書けない」とは思っていない。(それが面白いかは別として)今の AI にも書けるでしょう。

それでも、確かに「孤独」が表現できるかと言われると分からない。どのように人間の「孤独」が随筆として語られているのか読ませてもらいましょう。

スティングのライブに行ってきた

www.setlist.fm

正直、「STING 3.0」というフレーズを目にしたときは、反射的に「ダセェ!」と思ったし、今更トリオ編成でのツアーと聞いても、単にバックバンドの経費削減策じゃないかねと思ったくらいで、あまり期待するところはなかった。トリオ編成なら、再結成ポリスを体験しているわけで(もう17年前になるのか!)。

いきなりネガティブなことを書いたが、ワタシはスティングのことが80年代、中学生のときに中古レコード市でポリスの『白いレガッタ』を買った頃からずっと好きなんですね。自分でも不思議になるくらい。そのスティングが、近年洋楽アクトが滅多に来なくなった福岡に来てくれるとなれば、そりゃ行きますよ。

かくして、昨年11月のトム・ヨーク以来のライブとなった。オアシスの来日公演には抽選が外れているので、今年はこれ一回のみで、出不精にも程がある。スティングのライブ自体は、2019年秋にベスト・ヒッツ・ツアー(My Songs Tour)を大阪で観て以来となる。

スティングのことは一貫して好きなのだが、近年の活動には不満も多かった。再結成ポリスを除けばクラシック音楽の影響が強い時期もほぼ聴くことはなかったし、ポップフィールドに復帰した2016年の『ニューヨーク9番街57丁目』が実に抜けが良いアルバムで、ようやく彼も通常の作品リリースサイクルに戻ってくれるのかと思ったら、シャギーとの共演とか、今更のベスト・ヒッツ・ツアーとか、散漫というかフォーカスを失ってると感じた。連想したのは、晩年のルー・リードだったりする。

今回のツアーにしても、それに先立つ作品があるわけでもなし(新曲を1曲やってたが)、彼の新たなチャレンジというよりは、前述の迷走の延長に思えたわけである。

で、ここからライブ本編の感想になるのだが、結論を先に書くと、予想に反して素晴らしいライブだった。

なお、ワタシはほぼ右端の席だったのだが、確か再結成ポリスのときも同様にほぼ右端だった覚えがあり、どうもスティングとはそういうめぐり合わせにあるようだ。

思えば彼も73歳で、関係ないが渋谷陽一と同年の生まれなのだが、声がよく出ていて、ワタシが観た彼の過去2回のライブのときよりも良いと思ったくらい。ただ、これはワタシの事前の期待値が低すぎたせいでそう思えただけかもしれない。

前回はホールの二階席からゆったり観たが、この日の会場は客席に高低差がないため、自然とオールスタンディングのライブとなった。スティングは数曲椅子に座ってベース弾いて歌っていたのにな(笑)。

ギターが長年のコラボレーターであるドミニク・ミラーなので安心感があるし、クリス・マースのドラムも良かった。それでも、3人だけでこれだけの客に対峙するのは立派なものだ。3人でどうやるんだという曲もうまく料理していた。今回はベスト・ヒッツ・ツアーではないが、元々彼はそうした意味で出し惜しみするタイプではないので、客も聴きたい曲はほぼ聴けただろう。

元々彼は冗長な MC をする人ではないが、この日のライブも同様であり、特に最後に5曲くらいメドレーみたいに畳みかける構成になっており、無駄のないタイトさが貫かれていた。

ワタシが観たライブは、16時開場、17時開演という高齢者シフトがなされており、ライブ終演後、会場を出た時19時前だったのは初めての経験だった(笑)。

「AI革命を準備した第三の男」にしてAI悲観論者を代表するエリーザー・ユドコウスキーの新著『誰かがそれを作ったらみんな死ぬ』

wired.jp

キーチ・ヘイギーの『サム・アルトマン:「生成AI」で世界を手にした起業家の野望』のことは今年の5月に紹介しているが、遂に来月刊行される。

この WIRED の記事は、その抜粋を引用して「AI革命を準備した第三の男」としてエリーザー・ユドコウスキーのことを紹介している。日本では、少なくともサム・アルトマンやピーター・ティールほどの知名度がないので、タイムリーな記事だと思う。

エリーザー・ユドコウスキーは AI 悲観論者(doomers)の代表的存在だが、性格の悪いワタシがこの記事を読んで感じるのは、楽観論者、悲観論者に関係なく TESCREAL バンドルの薄気味悪さである。

これらが単なるリバタリアンの思想を超えている、と思った人は正しい。実際そうなのだから。『WIRED』の記事の冒頭に、エクストロピー主義者の会合の様子が書かれている。ある参加者は「国家」のコスプレで現れた。ビニールのビスチェにミニスカート、メタルチェーンの上着を身につけて、乗馬の鞭を持ち、四つん這いになって首に鎖を付けた「納税者」を引きずっている。

サム・アルトマン、ピーター・ティールと共にAI革命を準備した第三の男──エリーザー・ユドコウスキー | WIRED.jp

それはともかく、エリーザー・ユドコウスキーとピーター・ティール、あとシェーン・レッグやデミス・ハサビスDeepMind の共同創業者)のつながりが分かって興味深い。

books.macska.org

今回の WIRED の記事がタイミングいいなと思ったのは、(なぜか記事では触れられていないが)ちょうどエリーザー・ユドコウスキーの共著 If Anyone Builds It, Everyone Dies が今月出たばかりだから。

「誰かがそれを作ったら、みんな死ぬ」という書名がいかにも AI 悲観論者のユドコウスキーらしいが、ここでの「それ」は人工超知能(ASI)のことである。

AI 加速主義者も AI 悲観論者も同じ穴の狢というワタシ個人の見解はどうでもいいとして、これは来年あたり邦訳出るんじゃないですかね。

「スマートフォンは不幸を引き起こす」論者の代表的存在の新著『ハイテクな世界で子供を育てる10のルール』

wired.jp

さて、少し前にワタシは以下のように書いた。

若年層のソーシャルメディア(やスマートフォン)の利用規制を動かしたのは、昨年欧米で大ベストセラーとなったジョナサン・ハイトの(なぜ未だ邦訳が出ないのか理解できない)『The Anxious Generation: How the Great Rewiring of Childhood Is Causing an Epidemic of Mental Illness』、そして今年Netflixで配信が開始されるや世界71カ国でストリーミング1位となったドラマ『アドレセンス』の影響が大きいでしょう。

つながりのテクノロジーはまたしても我々を引き裂く – WirelessWire News

えーっと、これ何度も書いてるけど、ジョナサン・ハイト『The Anxious Generation』の邦訳いつ出るの?

個人的には『The Anxious Generation』にはどうかとところも多々あるが、それはともかく WIRED の記事で、サンディエゴ州立大学の心理学教授ジーン・トゥエンゲの名前が出てきて、ワタシも『Generation Me』など彼女の仕事をこのブログで取り上げていたなと懐かしくなった。

ノア・スミスも「やっぱりもしかしてスマホがわるいのかも」で「「スマートフォンはふしあわせを引き起こす」説を主張している中心人物である心理学者のジーン・トウェンギ」と彼女を紹介していたが、この WIRED の記事にもあるように、ジョナサン・ハイトがジーン・トウェンギの仕事を称賛しているのは不思議ではない。

で、なぜかこの WIRED の記事では触れられていないのだが、ジーン・トウェンギは 10 Rules for Raising Kids in a High-Tech World という新刊を今月出したばかりなんですね。

「16歳までソーシャルメディア禁止」みたいなルールを含む『ハイテクな世界で子供を育てる10のルール』という書名が、スマートフォンを肌身離さず、ソーシャルメディアに依存する子供たちに不安を覚える親たちにアピールするのは間違いない。こういう書き方をすると怒られるだろうが、商売上手だと思う。もちろんハイトも推薦の言葉を寄せている。

トウェンギの本は、『自己愛過剰社会』(asin:4309245765)くらいしか邦訳が出てないが、これはキャッチ―な題材だし、邦訳出るんじゃないですかね。

ハリウッド御用達の偽たばこブランドの話から、映画やドラマに登場する架空の企業を集めたWikiを知る

boingboing.net

アメリカで作られる映画やドラマやゲームの多くに登場する、モーリ―・シガレッツ(Morley Cigarettes)という架空のたばこブランドの話である。

20世紀のはじめ、喫煙はクールだった。たばこが命を奪うなんて誰も知らなかったし、映画やテレビでは誰もが皆たばこを吸っていた。しかし、奇妙なことに、キャメルやマルボロが許可なくそうした映像に映ると著作権侵害と見なされる可能性があった。無料の宣伝になるんだから、たばこメーカーは喜ぶのかと思いきや、そうではなかったのだ。

で、訴訟リスクを回避するため、ハリウッドの小道具会社は1960年代に、映画やテレビ番組で使える偽のたばこブランドをでっち上げた。それがモーリ―・シガレッツというわけですね。それが初めて登場したのは、ヒッチコックの『サイコ』だったとな!

その後、数々の映画やドラマに登場した「モーリ―」だが、今では宣伝目的でなければ本物のタバコを画面で使用できる。のだけど、訴訟をおそれてか、未だに映画などで「モーリ―」がよく使われるとのこと。

調べてみると、そのあたりについて解説する動画があった(当然ながら『サイコ』への言及がある)。

Morley Cigarettes って、絶対 Wikipedia 映画版に項目があるよなと調べてみたが、意外にも単独の項目にはなっていなかった。でも、その名前で検索していて、Fictional Companies Wiki という WikiMorley のページに行きついた。

この Fictional Companies Wiki だが、映画やドラマで登場する架空の企業を集めたサイトで、そういう情報のまとめはまさに Wiki が適している。

本当にいろんな架空の企業があって、ACME などは特に有名ですね。ACME の話は昔「お笑いパソコン日誌」というサイトで読んだ覚えがあったな……と調べてみたら、2002年6月(5日 AM 4:36)だった。20年以上前かよ!

他にもクエンティン・タランティーノロバート・ロドリゲスの映画に何度も登場する Big Kahuna Burger もある。特に『パルプ・フィクション』に出てくる場面が有名か。

この後、サミュエル・L・ジャクソンが「エゼキエル書25章17節」を暗誦して殺しをする名場面になるのはご存じの通り。

この動画にも説明があるが、ここで暗誦される「エゼキエル書25章17節」が fictional なのも、この話題にリンクしていると言えるかも。

ザ・ザ・コルダのフェニキア計画

役者がカメラに正対してしかめっ面だったり無表情で喋り出す、ああ、まさにウェス・アンダーソンだなぁ、という画になるとほぼ間もなく、映画の半分くらいまでずっとうつらうつら状態での鑑賞になった。

よって、この映画の感想を書くことすら適当ではないのだが、精巧な箱庭の中で豪華キャストを無駄遣いする文句なしのウェス・アンダーソン映画だった。役者でよかったのはマイケル・セラくらい。

WirelessWire News連載更新(今こそ「弁護士国家」米国は「エンジニア国家」中国に学ぶべきなのか?)

WirelessWire Newsで「今こそ「弁護士国家」米国は「エンジニア国家」中国に学ぶべきなのか?」を公開。

はっはっは、デジタル人材のためのブックレビューの公開と前後してしまい、二日連続のフルスペックブログ更新となってしまった(笑)。なんだ、今でもこれくらいできるじゃん!

さて、今回も例によって3回分の内容を一度にぶち込んだ文章だが、これだけの分量を費やしても抜けてしまった話がいくつもあるんだよな。

Pluralistic 経由でヘンリー・ファレルのニュースレターを読んで『Breakneck』を知り、ブログのエントリになるかなと思っていたら、これが各所で話題になっているのを知り、これは連載原稿で取り上げようと方針変更し、結果『Breakneck』に加えて『Abundance』と『Apple in China』という、今年出たベストセラー3冊に言及できた。

この3冊はすべて、来年には邦訳が出るんじゃないでしょうか!

中でも『Breakneck』は、是非とも高須正和さんに書評を書いてほしい、できれば翻訳もしてほしい本である。

Abundance

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Abundance (English Edition)

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Mozillaの誕生とNetscapeの最期に密着したドキュメンタリーがあったのか

kottke.org

2000年に作られた『Code Rush』というドキュメンタリーだが、NetscapeMozillaソースコードオープンソース化する裏側に密着取材したものである。それは AOL に買収されてしまう Netscape の末期をとらえたものとも言える。

いやー、恥ずかしながら存在自体知らなかったな。

このドキュメンタリーのオンライン公開にはトラブルもあったようだが、監督のデヴィッド・ウィントンの決断で Creative Commons の BY-NC-SA 3.0 US ライセンスの元で YouTube で全編公開されている。

字幕は英語の他にフランス語やドイツ語や中国語などはあるが、日本語はなし。だが、YouTube の自動翻訳機能でほぼ意味はとれるぞ!

Netscape の CEO だったジム・バークスデールをはじめとして、Mozilla初代リーダーだったジェイミー・ザウィンスキー、JavaScript の生みの親にして後に Brave ブラウザを手がけるブレンダン・アイクなどが登場する。

Netscapeマイクロソフトにブラウザ戦争で敗北したのが明らかになり、主要製品のオープンソース化という当時はかなりありえない選択肢に活路を見出すも、Mozilla 公開の無理なスケジュールに追われる中、悲観的な言葉を口走る登場人物が多いのは時期がら仕方ないとして、それでも希望を捨てずに開発を進める様が描かれている。

しかし、ドキュメンタリーの後半で、前述の通り Netscape は AOL に買収されてしまうんですな。

マーカス・デュ・ソートイが新著でシェイクスピア、レディオヘッド、ピクサーの作品に隠れた数学を明らかにする

boingboing.net

数学教授が新著でシェイクスピアレディオヘッドピクサーの作品に隠れた数学を明らかにする、ってこれは面白そうやなと思ったら、オックスフォード大学数学研究所教授にして数学に関する啓蒙書の著者として知られるマーカス・デュ・ソートイの新刊 Blueprints の話だった。

「いかに数学が創造性を形作るか」という副題だが、ジャクソン・ポロックのペインティング、モーツァルトの曲、ザハ・ハディッドの現代建築などを題材に、人間の創造性を支える数学的構造を解き明かし、アートと数学が補完的な関係にあることを解き明かす本とのこと。

マーカス・デュ・ソートイの本は、『レンブラントの身震い』を5年前くらいに取り上げているが、その後も『数学が見つける近道』(asin:4105901877)が出ているし、今年の11月には『世界のエリートが学んでいる数学的思考法』(asin:4815630445)といういかにもなタイトルな本が出るようで、今回の新刊も再来年までには邦訳出るんじゃないですかね。

「シティ情報ふくおか WEB歴史館」で痛感するアーカイブの重要さ

Threads を見ていて、驚く投稿があった。

つい最近知ったんだけど、福岡のタウン誌『シティ情報ふくおか』が1976年創刊号から2003年分くらいまで結構な数をWEB上に無料アーカイブ化してて、特集やインタビューはもちろん 当時の広告もラテ欄もほぼ全ページ読めるようになってて、03年以降の発行分も随時更新してるって史料として結構優秀よな。つか狂ってるよな。

https://www.threads.com/@masudahiroshi/post/DOLISq7AU6b

そんなサイトあるのかよ! と思ったら本当だった。

backnumber.fukuoka-navi.jp

福岡の代表的なタウン誌である『シティ情報ふくおか』の20何年分をウェブ上で無料公開しているのがすごい。もちろん表紙のみとかでなく、まるごと読めてしまうのである。

 当館は、福岡の40年以上の歴史を、ともに生き抜いてきた《シティ情報ふくおか》本誌によって振り返ろうという歴史館です。
 しかも、ここに並べられる《シティ情報ふくおか》は、全て無料でご覧いただけます。創刊号から順次公開していきますのでみなさんの懐かしい!こんなのあった!をたくさん発見してください。

シティ情報ふくおか WEB歴史館 | シティ情報ふくおか WEB歴史館のWEBサイトです。当館は、福岡の40年以上の歴史を、ともに生き抜いてきた《シティ情報ふくおか》本誌によって振り返ろうという歴史館です。 しかも、ここに並べられる《シティ情報ふくおか》は、全て無料でご覧いただけます。創刊号から順次公開していきますのでみなさんの懐かしい!こんなのあった!をたくさん発見してください。

今年のはじめにワタシは「アーカイブの危機とメンテナンスの大事さ」という文章を書いているが、これを見るとアーカイブの大事さがよく分かる。こういうタウン誌の内容を辿ることで、福岡の街の変遷が分かるわけだ。

しかし、これは確かに「狂ってる」とも言いたくなるな。こういうサイトを見ると、ウェブもまだ捨てたものではないと思えてしまう。

Netflixが良質な映画を作れない理由? 今年これから配信される作品に目を向けろよ

www.statsignificant.com

今年のはじめに Netflix が公開した『エレクトリック・ステイト』が、3億2000万ドルものべらぼうな予算を費やしたにもかかわらず、批評的にも視聴者数でも大失敗に終わったことを受け、なんで Netflix は良質な映画を作れないのかを分析した記事である。

実際は Netflix は十分優れた映画を作ってることを認めながらも、そうした作品は例外なんだとこの記事は数字とともに示す。

そして、Netflix はキャリアの下降線にあるベテラン俳優を起用しがちとか、(マーティン・スコセッシアルフォンソ・キュアロンなど)一流の映画製作者と組んでもそれは単発で終わってるとか、それ以外の雇われ監督はより大きな予算で仕事しているにもかかわらず評価が低く、興行収入も低いとか、他のスタジオに落札で負けているとか腐している。

もちろん、当たっているところも多いだろう。しかしね、今年これから公開される映画は期待の作品揃いだぞ。

まず、10月はキャスリン・ビグローの『ハウス・オブ・ダイナマイト』ですよ。

www.netflix.com

続いて11月はギレルモ・デル・トロが『ピノキオ』に続いて古典に取り組む『フランケンシュタイン』だが、ヴェネチア国際映画祭で13分のスタンディングオベーションで迎えられたというニュースに期待が高まる。

www.netflix.com

そして、年末はダニエル・クレイグが名探偵ブノワ・ブランを演じるシリーズの3作目になる『ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン』が控えている。監督はもちろんライアン・ジョンソンである。

www.netflix.com

『エレクトリック・ステイト』が壮絶な失敗だったため(もちろんワタシは観ていません)、今は Netflix がけなす格好の対象なのだろうが、これだけ期待の新作の配信が予定されていて、質が低いもないもんだよ。

ネタ元は Slashdot

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