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Wikipediaコミュニティ文化考察本『Good Faith Collaboration』の日本語訳が完成に近づいていた

Wikipedia を支えるコミュニティ文化を考察する Joseph Reagle の『Good Faith Collaboration』のことは、5年前くらいにここでも取り上げているが(その1その2)、その日本語訳が、およそ5年のときを経て、徐々に完成に近づいているのに今更気づいた。

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ワタシも翻訳を少しやるから分かるのだが、よくぞ根気が続いたと思う。訳文の問題の指摘や、未訳部分の翻訳など貢献できる方はお願いします。

Good Faith Collaboration: The Culture of Wikipedia (History and Foundations of Information Science)

Good Faith Collaboration: The Culture of Wikipedia (History and Foundations of Information Science)

  • 作者: Joseph M. Reagle Jr.,Lawrence Lessig,Jonathan Furner,Michael Buckland,Markus Krajewski PhD
  • 出版社/メーカー: The MIT Press
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: ペーパーバック
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ウィキペディアの15年の歴史上もっとも多く編集されたページは何か?

15周年を迎えたウィキペディアだが、その歴史上もっとも多く編集されたページは何か? という話題を取り上げている。

こないだ2015年にウィキペディアでもっとも編集されたページは何かを取り上げたが、上のリンク先にはこの15年の各年でもっとも編集されたページを取り上げていて面白い。

やはりアメリカの大統領選挙の年になると、それ関係の編集が多くなるんやね。

で、「その歴史上もっとも多く編集されたページ」は何かというと、答えは George W. Bush だった。うーん、それってどうなんだろう。現在の大統領である Barack Obama も9位に入っている。

あとこれは英語版の話なので、日本語版だとどういう結果になるのかは気になるね。関係ないが、ウィキペディア15周年イベントが開かれるみたい。

2015年にウィキペディアでもっとも編集されたページは何か

2015年にウィキペディアでもっとも編集されたページ20選というわけだが、果たしてどんなページが入っているか興味あるところである。

1位は「2015年の故人」というわけで、やはり「2015年の○○」なページがいくつも入っていて、言われてみればそうなのか。

2015年ならではの事件では、シャルリー・エブド襲撃事件パリ同時多発テロ事件が入っていてなるほどと思わせるが、10位以内でも2位とか10位とか正直謎である。

映画で唯一『ジュラシック・ワールド』が入っているが、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は意外にも入っていない。

なお、この『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ページの編集については Wikimedia ブログで別の記事になっているのでそちらを参照くだされ。

Open Source Initiativeがウェブでセミナーを開催

Open Source Initiative のジェネラル・マネージャである Patrick Masson が寄稿しているのだが、要は OSIOSIdeas と題した Webinar をやるよとのこと。

Webinar とは Web と Seminar を組み合わせた造語で、ウェブ上でセミナーを行うウェブカンファレンスということですな。

これも OSI の目的であるオープンソースのプロモーションの一環なのだろうが、アリソン・ランダルが代表になってフットワークが軽くなったのかな。

OSIdeas のページを見ると、今年9月に始まっているが、XWikiWikiToLearn とか Wiki がテーマの講座がいくつかあって興味深い。

今年もWikimedia財団に寄付をした

例によって例によってだが、今年も Wikimedia Foundation に寄付をした。

しかしなぁ、Creative Commons電子フロンティア財団と違い、寄付してもTシャツとかもらえないから少し張り合いがないんだよな。

あと、Wikipedia に強制的に表示される「お前がちょいと寄付してくれればよぉ」的メッセージがワタシが使用する端末すべてで出なくなるとかそういう特典もないのも残念である。

とはいえ、毎年変わらずお世話になっているわけで、その sustainability に貢献するために寄付はせんといかんよなと思うわけである。

コミュニティマネージャーJono Baconが勧めるWikiは何か

Ubuntu の……いや、今は確か XPRIZE 財団のコミュニティマネージャーである Jono Bacon が、現時点で「一流の」コミュニティツールを10個挙げている。

Jono Bacon は FLOSS 方面の人なので、選ぶツールは WordPressLibreOffice といったフリーソフトウェアが多くなるのだが、Wiki について次のように書いている。

Wiki を構築している人たちに失礼なことを言いたくないのだけど、Wiki って一見すると単純なタスクに使うには、世界で最も紛らわしいツールに思えるんだよね。僕はそのツールの持つパワーと使いやすさの魔法の組み合わせを求めてたくさんのいろんな Wiki を試したものだよ。

うーん、なんか歯切れが悪いがなんとなく分かる気はする(笑)。そうした上で彼がチョイスしているのは、もっとも簡単に使えるという理由でホスティングサービスの Wikispaces、そして自力でサーバに設置したい人向けに DokuWiki を挙げている。

Jono は MediaWiki の大ファンだったけど、今は DocuWiki のほうが勝っていると考えているようだ。

Wikiがドキュメンテーションに適した5つの理由

なんというか、こちらもいまどき珍しく直球な Wikiドキュメンテーションへの利用のススメである。

果たしてその根拠は何か。

  1. Wiki は簡単な記法を提供するので、貢献者はほとんどマークアップを覚える必要がない
  2. 貢献者は専用のツールをインストールする必要がなく、ウェブブラウザがあればいい
  3. ホスティングサイトによってはサービス内容に Wiki が含まれるものもある
  4. Wiki には大概バージョン管理が組み込まれているので、編集のロールバックも数クリックで可能
  5. 一部の Wiki プラットフォームには「Talk」ページがあり、メタ議論が可能

うーん、理由もやはり直球だけど、日本から生まれた Wiki エンジンの多くは、バージョン管理や「会話」ページを持つにいたらないまま進化が止まってしまった、と書いてよいのだろうか。

というか新たに Wiki を単独でサーバに立てるというより、モダンな開発環境に Wiki も含まれてる、というので利用する開発者のほうが多いだろう。

Wiki Way―コラボレーションツールWiki

Wiki Way―コラボレーションツールWiki

ウィキペディアにおける知の社会的構造

First Monday の今月号を見たら、いまどき直球だなと思わせるタイトルの論文を見つけた。

著者は Noriko Hara という方で、日本人なのかな。インディアナ大学School of Informatics and Computing の準教授とな。

面白いのは、ウィキペディアにおける知の社会的構造を分析するにあたり、2011年の東日本大震災における福島原発の災害を事例として扱っていること。福島第一原発の被害についての Wikipedia の英語版と日本語版の両方、それも「Talk」ページ(日本語版では「ノート」ページ)まで含め差異を分析しているが、これはやはり日本語も読める人でないとできんよな。

そういえば Noriko Hara さんは Wikipedia についての本も編集しており、今回の論文はごく自然な方向性なのだろう。

Global Wikipedia: International and Cross-Cultural Issues in Online Collaboration

Global Wikipedia: International and Cross-Cultural Issues in Online Collaboration

OpenStreetMapの人道的活動がネパール地震の復興支援

自由に利用可能で、利用者が共同で作り上げる OpenStreetMap のことはここでも何度も取り上げているが、OpenStreetMapHumanitarian OpenStreetMap Team という NGO を設立していて、先ごろ大地震があったネパールにおけるチームの活動を紹介している。

要は彼らが得意とする地図サービスにデータ提供を結びつけることでネパールの復興を支援しようというものである。自然災害に対する OpenStreetMap の活動については東日本大震災の後に書いた文章でも取り上げているが、やはりずっと前からの取り組みの蓄積があるからこそ、迅速な協力ができるんだろうね。

この文章では、他にも関連するプロジェクトがいくつも紹介されている。

ウィキペディアの編集をリアルタイムに「聞ける」サイト

Wikipedia の変更と成長を聞く」ってなんだ? と思ったら、Hatnote というサイトがそれで、まさに Wikipedia の編集をリアルタイムに視覚的聴覚的に表現するサイトである(iOS 用アプリもある!)。

はてなブックマークを見ると、2013年夏に日本でも話題になったようだが、まったく知らなかったな。

編集だけでなく、新たな登録ユーザ情報なんかも表示されるなど細かいのだが、これ自体ははっきりいって何かの役に立つサービスではない。しかし、このサイトをぼけっと見ながら音を聞いているだけで、微妙に人間の仕事につながっているような不思議な気持ちになる。

ウィキペディアを使ったゲーム:WikiWarsとは何ぞや?

WikiWars と言う言葉は初めてみたが……いや、ウィキリークスのドキュメンタリー番組のタイトルで見たことがあったか。しかし、これは Wikileaks とは関係ないようだ。この場合の WikiWars とは何だろう?

これはブラウザで行う対戦型のゲームで、Wikipedia 上でランダムに開始ページと目的ページを選択し、開始ページから Wikipedia 上のリンクを辿り、目的ページに早くに到達したほうが勝ち、というゲームらしい。

Wikipedia を見ると、Wikiracing という項目ができている。Wikiwars の他に、Wikipedia Game とか Wikipedia Maze とかいう呼び名も使われているらしい。

なるほど、これならインターネット回線さえあれば誰でも無料でプレイできる知的(?)ゲームですわな。

「Wikipediaをwikiって略すな」に敗北した我々の負けられない戦い「GitHubをGitって略すな」

期間限定公式サイト「村上さんのところ」で、村上春樹Wikipediawiki と略しているっぽい記述を以前見かけた。

僕もすぐにものを忘れてしまいます。最近はwikiがあるのでなにかと助かりますが。

村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

これだけ読んで彼に「Wikipediawikiって略すな」と噛み付いてはいけないのだが(本当にミュージシャンの情報を集積した Wiki サイトを指しているかもしれないし)、これを読んで、もはや村上春樹までそうするなら、「Wikipediawikiって略すな」というのはもう諦めなければならないのではないかと思ったりした。

そういえば日清焼そばU.F.O.における保健室の美月先生のプロフィールページにも、「趣味:ネットサーフィン(主にwiki)」とあったな。関係ないけど、このシリーズの山本美月はそれほど魅力的に見えない。

しかし、それよりもっと深刻かもしれない省略が起こりつつあるのを知った……って大げさか?

ワタシ自身この両者を混同した文章を書いたことがあるので偉そうなことは言えないのだが、これはいかんよね。

この問題と少し関係しそうで実はあまり関係ないのだが、高橋征義さんの「GitHub と自由なソフトウェアをめぐって」は、今読んでも考えるところのある文章である。

GitHub実践入門 ~Pull Requestによる開発の変革 (WEB+DB PRESS plus)

GitHub実践入門 ~Pull Requestによる開発の変革 (WEB+DB PRESS plus)

永井荷風『断腸亭日乗』をWiki化しようという試み

永井荷風の日記にして彼の傑作とする人もいる『断腸亭日乗』を Wiki 化しようという試みで、これは久しぶりに見た面白い Wiki の活用法である。

最初えっと思ったが、とっくに永井荷風は死後50年が経ち、著作権が切れてたんだね。

単なる電子化なら既に青空文庫が着手しているが、日記に登場する(固有)名詞にリンクがはられ、現代人には分かりにくい言葉の意味が分かる仕組みである。これは有意義な Wiki の使い方である。

「ご協力してくださる方々を募集しています」とのことなので、興味のある方はどうぞ。

摘録 断腸亭日乗〈上〉 (岩波文庫)

摘録 断腸亭日乗〈上〉 (岩波文庫)

摘録 断腸亭日乗〈下〉 (岩波文庫)

摘録 断腸亭日乗〈下〉 (岩波文庫)

ウィキペディア編集をリアルタイムに見れるWikiwash

誰もがブラウザでWikipedia の編集の歴史をリアルタイムにたどることができるオープンソースツール WikiWash が紹介されているのだが、これはすごいね。

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これも WikipediaAPI を公開しているからなのだが、WikiWash のサイトにおいても Wikipedia の URL を入力することで、それがリアルタイムに体感できる。

これだけ巨大なデータセットにアクセスできるサービスなんてそうそうないわけで、Wikipedia から生まれるウェブサービスもまだ余地がありそうだ。

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