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2004年極私的映画ベスト5

2004年もしめくくりの時期ということで、今年公開された映画から。

  1. スウィングガールズ
  2. ビッグ・フィッシュ [Amazon]
  3. スクール・オブ・ロック [Amazon]
  4. 華氏911 [Amazon]
  5. キル・ビル Vol.2 [Amazon]

まあ、凡庸ですが。つーか、今年映画館で観た映画はこれでほぼ全部なのだが、これでも出不精のワタシにしては映画館に足を運んだほうなのだ。逆に言えば、今年映画館で観た映画は全部「当たり」だったということか。

ただ『永遠のモータウン』や『LIVE FOREVER』といった絶対観ようと思いながら見そこねた音楽映画がいくつかあったのが心残りである。やはりこういう映画(に限らないのだけど)は映画館で観ないと!

唯一上のリストから漏れたのはスパイダーマン2で、ワタシ自身はかなり楽しんだのだが、一緒に観に行った女友達が居眠りした上に逆切れという惨事があったため。

「発明と報酬」問題と味の素知財センター長の見解

日経産業新聞に「発明と報酬」という連載がある。内容は職務発明の対価を巡る技術者・研究者と企業の訴訟を含む対立を扱ったものである。

この問題については、今年もいろいろなところで取り上げられた。以前の話になるが、ひらばやしさんのインタビューも掲載されていた月刊化学2004年5月号の特集は「緊急特集「中村裁判」ショック!!」で、それを読んでなんとも切ない心持ちになったのだが、当方は技術者の端くれなので、やはり技術者・研究者側に肩入れしてしまうところがあるだろう。

また個々の事例をひとまとめにできるわけはなく、単純に「企業は研究者にもっと報いろ」式の結論を導き出せるものでもなく、慎重に語らなければならないというのも承知している。

ただそれとは別に、個人的に以前から気になっていることがあり、それは研究者が語れば語るほど DQN に見える場面があることだ。これは中村修二氏に顕著……というか主に彼なのだが、最近になればなるほどその傾向が強まっているように思える。メディアの伝え方の問題もあるに違いないのだが、一体どうしたものかと思うときがある。

12月17日の日経産業新聞は、甘味料「アスパルチーム」の特許の対価を求めた訴訟を取り上げており、味の素株式会社から和解金一億五千万円を受け取った元エンジニアの成瀬昌芳氏のインタビューは、「折り目正しい口調で今の心境を語り始めた」という文章で始まるのだが、これは前述の風潮を踏まえたものかと勝手に気を回したほどだ。

ただ、被告の味の素は、和解金一億五千万円を発明の対価と認めてはいない。まあ、それはよい。しかし、知財センター長杉崎宏光氏の以下の発言は容認しがたい。

彼はこれだけ処遇を受け、長年ご奉公した会社に弓を引くようなことをした。人生も友達も失ったはずだ。もっと不遇な研究者であれば同情されるかもしれないが。まねをするような人は少ないと思う

「長年ご奉公した」とはいったいいつの時代の話か。それとも味の素の社員にとっては、こうした認識がごく一般的なのだろうか。

ブルース・ペレンス編のオープンソース本シリーズ

Prentice Hall がこんなシリーズをやっていたとは。刊行されてから一定期間経つと、書籍の PDF ファイルが Open Publication License日本語訳)の元で公開されるようだ。

結構前からぼちぼち刊行されているようだがまったく知らなかった。どの本もかなりのボリュームだが、日本語訳が刊行されたものはあるのかな。

82歳のノーベル賞科学者が28歳の学生と再婚へ

年齢の組み合わせといい、女性の苗字が「翁」がつくことといい、これが CNN でなかったら絶対ネタだと思っただろう(おいおい)。

さて、ノーベル賞受賞者の老いらくの恋というと真っ先に思い浮かぶのは、1950年のノーベル文学賞受賞者バートランド・ラッセル(論理学者、数学者、哲学者)の逸話である。以下、バートランド・ラッセルのページ(分館:Cool Online):加藤尚武「全数学の論理学化」から引用。

...最後の結婚をした時、ラッセルは八十歳だった。相手は大学教授をしたこともあるイーデス・フィンチで、端正な感じの人である。
 ラッセルがイーデスと恋をしている頃、ヴィトゲンシュタインは癌の病状が悪化して、放浪生活の足を洗ってイギリスに戻って来ていた。
 ――ラッセルの『偽叙伝』にはこう書かれている。ヴィトゲンシュタインを見舞ったラッセルは、話のついでに、イーデスとの恋を告白し、そして、
 「私はもうそろそろ八十歳だが、二十歳ほど若く見せる方法はないだろうか」
 と老いらくの恋の悩みを打ちあけた。病的なほど潔癖なヴィトゲンシュタインは、その言葉をきくと、怒りに燃えたような目でラッセルを見すえた。ラッセルはパイプをくゆらせている。その手には、深いしわが刻まれている。「ああ、ラッセルも老いた。自分も死の床にある。」 ウィトゲンシュタインの心が少しやわらいだ。そして言った。
 「貴方は数学者でしょう。答えはすぐに出せるはずです。八十歳の貴方がイーデスに二十歳若く見られたいなら、「自分は百歳だ」と言えばいいのです。」

あ、これラッセルというよりヴィトゲンシュタインの話ですね。デレク・ジャーマンのほぼ最後の映画である『ヴィトゲンシュタイン』におけるラッセルは、さほど精力的な人物に描かれてなかったが。

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