Boing Boing の David Byrne hearts PowerPoint というエントリで、デビッド・バーンが UC バークレーで行った講演のことを知る。題目は PowerPoint についてで、デビッド・バーンは相当にパワーポイント好きなようだ。
PowerPoint のような超メジャーな、しかもマイクロソフトの製品への好意を表明するのはあまりクールでない……という態度はくだらないと思う。バーンは PowerPoint に対する批判をちゃんと踏まえた上でそれに対する効用を語っていて微笑ましい。
件のエントリのリンク先の記事を読むうちに胸が熱くなった。理由は二つ。
一つは、バーンの講演に Bob Gaskins と Dennis Austin が招かれていたということ。この二人が果たした役割については、かの「PowerPoint 絶対主義」に詳しい。このようにソフトウェア開発者が称えられるというのは素晴らしいことだ。
そしてもう一つは、記事のそこかしこにバーンが在籍したトーキング・ヘッズの歌詞が引用されており、その遊び心から記事を書いた人の Talking Heads への愛情が伝わること。さらにいえば曲名や歌詞が引き合いにされている "This Must be the Place (Naive Melody)" が、ワタシが一番好きなヘッズの曲であるというのもある。
以前『Little Creatures』をAmazon980円劇場で取り上げたときにも書いたが、一般にヘッズというと『Remain in Light』の実験性やエキセントリシティ、バーンにしてもインテリ的文脈で語られることが多い。しかし、実際にはバーンの本領はむしろナイーブさすら感じる楽曲にあるとワタシは思う。
その良い例が、"This Must be the Place (Naive Melody)" である。タイトルにある通り、ナイーブで、そしてとても美しい。歌詞も同様で、上で取り上げた LyricsWiki に収録されている。
Home - is where I want to be
But I guess I'm already there
I come home - she lifted up her wings
Guess that this must be the place
ポップミュージックにおいて、「家庭」というものをこんなにチャーミングに歌った歌詞をワタシは他に知らんね。