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YAMDAS更新、もしくはAppleやGoogleもブログをやるべき理由

Technical KnockoutAppleやGoogleもブログをやるべき理由を追加。Dave Winer の文章の日本語訳です。

ここ一二年、派生作品可能なクリエイティブ・コモンズライセンスのついた文章ばかり訳していたので、原著者に翻訳公開許諾メールを送ったのは久しぶりだった。今回は相手が Dave Winer だったので少し緊張したが、快諾いただいた。彼の文章を訳すのがはじめてだったので感じがつかめず、また例によって時間がなくて慌てて訳したので間違いがあるかもしれない。よく分からなかったところは訳者ノートとして(+原文も)コメントアウトしているので間違いに気付いた方はメールしてくだされ。

AppleやGoogleの社員がブログをやらない理由についてのワタシなりの考察

さて、今回のAppleやGoogleもブログをやるべき理由を訳したのは、一つには少し前にあったニホンの大企業の人間もメリケンに倣ってもっとブログを書きましょうみたいな言説に違和感があったところに本文を読んだからというのがある。そうそう、往々にしてそうした方々が賞賛する Google にしても Apple にしてもブログやっている社員はあんまりいないじゃないか!

それはなぜなのか。Doc Searls の説が素晴らしい。「勝ち組ならばブログをやる必要はない」(笑)

ただ個人的には本文で紹介されている意見、並びに Winer の解釈には甘いところもあると思った。

例えば、Google 社員がブログをやらない理由。Google は確か社員が社内向けのブログをやり(ツールはもちろん Blogger)、社員同士の情報交流に役立てているという話が『Bloggers!』にあったと思う。社内向けで十分利用しているというのが本当なら、家に帰ってまた公開ブログをやるかね? ましてやブログでクビになった社員という実例があるなかで。

さらにいえば、Google という企業の情報秘匿志向がある。「グーグルが成長の痛みを感じるとき」から引用すると、

Googleのある社員が内緒で教えてくれたのだが、同社の幹部らは法律で求められないかぎり(特にせんさく好きなマスコミとは)情報を共有するつもりはないそうだ。

とのことで、トップがこうなら、その下で働く社員も自分の専門分野に特化したブログでどんどん情報公開していこうや、というようにはならないのではないか?

Apple の秘密主義については言わずもがな。最近も新製品情報を掲載したニュースサイトを訴えるなど社内情報リークに神経質であるのはご存知の通り。

ワタシはそれ自体がダメだと言いたいのではない。GoogleApple に見られるように企業文化の影響が社員に及ぶのがアメリカでも日本でもそれなりにあるのを考えろということ。

マイクロソフトChannel9 や Sun の Sun Bloggers のように大企業がポータルを作り、そこで社員にブログさせる例はある。その試みはもちろん素晴らしいし日本の大企業にないものだが、でもこれには会社が社員のブログを目の届く範囲に囲い込み、管理しやすくするという側面は絶対あるはずだ。

あと本文に戻ると、Google にはブログ界との仲介者がいないという Tim Bray の意見もどうだろう。Evan Williams 退社後スポークスマンを務める Biz Stone『Who Let the Blogs Out?』『Blogging』の著者。Google 入社前からブログをやっている)がいるわけだし。

ラジオ業界を震撼させる「Mr.ポッドキャスティング」

さて、AppleやGoogleもブログをやるべき理由でも Dave Winer の「Podcastを作ったのは俺」的自画自賛が炸裂していたが、Adam Curry インタビューの以下のくだりに笑ってしまった。

--Dave Winerといえば、彼は最近、自分のブログで、ポッドキャスティングに関するあなたの功績を批判する発言をしています。最近、彼とはうまくいっていないのですか。

 彼にはポッドキャストのプログラムを書いてほしいと頼んだのですが、応じてもらえませんでした。そこで、自分で書くことにしたわけですが、私はプログラマーではないので、プログラムの書き方を学ばなければなりませんでした。これには時間がかかりました。完成したプログラムは、オープンソースとして公開しました。これは私が書いたプログラムであり、iPodderという名前を付けたのも私です。iPodderは既存のさまざまな技術をベースにしています。このプログラムは多くの人々、特にDave Winerと折り合いの悪かったソフトウェア開発者の間で注目を集めるようになりました。彼らはiPodderをもとに、自分のバージョンを開発するようになり、私は彼らのために「Daily Source Code」を立ち上げました。きっと彼らの気に入ると思ったのです。

「特にDave Winerと折り合いの悪かったソフトウェア開発者」って……。やはり彼はなかなか難しい人のようですなぁ。

Global Voicesによる匿名ブログをやるための技術ガイド

なんだかブログに飽きちゃったらしい伊藤穣一のブログで、Global Voices による匿名ブログをやるための技術ガイドの second draft が Wiki 上に公開されているのを知る。

EFF の匿名ブログ指南では足りなかった技術面の問題を掘り下げているとのこと。

ただこれに関しても例として挙げられているのが「内部告発」な話なのはちょっとげんなり(全然一般的じゃないじゃない!)。でもここで語られている手法は広く利用できるものであるとは思う。

オライリーの近刊『Open Sources 2.0』

Open Sources 2.0: The Continuing Evolution

Open Sources 2.0: The Continuing Evolution

Ian Murdock のブログで知ったのだが、オープンソースムーブメントを象徴する書籍だった『オープンソースソフトウェア―彼らはいかにしてビジネススタンダードになったのか』の続編にあたる『Open Source 2.0』が刊行されるとのこと。

前回は大御所大集合な「出口王仁三郎と中山みきと池田大作と庭野日敬と麻原彰晃が一堂に会したような本」だったわけだが、今回は誰が執筆しているのだろうか(オライリーのサイトにまだ情報が載っていない?)。

Ian Murdock が寄稿した文章 Open source and the commoditization of software はオンラインで全文が読める。

しかし、最近は2.0ばやりだな。Web2.0ブログ2.0、そして今度のオープンソース2.0。ついでにはてな2.0(←お前が勝手に書いただけ)。

「ビデオゲームは人を賢くする」と説く新刊書

以前にも取り上げたティーブン・ジョンソンの新刊『Everything Bad Is Good For You: How Today's Pop Culture Is Actully Making Us Smarter』のなかなか苦い書評の翻訳が HotWired に掲載されている。

この本については山形浩生査読を行っている……が、リンク切れてますぜ、旦那!

山形さんは『Anarchist in the Library』の査読も行っているが、「レッシグエピゴーネン」でしたか。実は、この本を編集者に教えたのはワタシだったりする。貴重な時間をムダにしてしまって申し訳ない。

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