当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

YAMDAS更新(山形浩生『訳者解説 新教養主義宣言リターンズ』)

yomoyomoの読書記録山形浩生『訳者解説 新教養主義宣言リターンズ』を追加。

訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書)

訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書)

速水さん、引き合いに出してすいません。

ちなみに速水さんに「信者」呼ばわりされたのに対し、ワタシは「グルーピーと呼んで下さい」と答えています。

英国でネット著作権保護法案が可決されてしまった

Digital Economy Bill(DEB)として知られるイギリスのネット絡みの経済関連法案というか、著作権保護の強化を主眼とする法案が可決されてしまった。

なんというかあっという間に可決されてしまってなんだそりゃと思っていたのだが、的確にまとめる記事があがっていたので紹介しておく。

この法案の何が問題なのか。

  • 3ストライク・スキームとなるものが含まれている。
  • 15条には、「(パイラシー対策として)正しい技術的対策を講じなかったISPには罰金」というラインが。その次の16条では、技術的対策の費用は著作権保持者ISPsで折半して捻出するとあります。
  • 「高裁が著作権侵害を行うウェブサイトをブロックできる」とする、最も問題視されていた18条は、本当に直前に政府によって削除されました。しかし、似たような文面が10条に盛り込まれており、言葉を換えて18条が残っているという状態です。
  • Orphan works(著作権者不明作品)に関して言及した43条もドロップされ、Orphan workの扱いに関する未来も絶たれることに。
Green Sound from Glasgow (追記有)Digital Economy Bill、法律化へ その1

こんな重要な法案を簡単に決めてしまっていいのかと呆然となるが、RO69 に掲載された NME の記事によると、総選挙に備えて議会が消化期間に入ってしまったため、ばたばたとほとんど審議に時間をかけぬまま可決されてしまったらしい。

こんなんで可決された法律を盾に「イギリスもこうなのだから日本でも〜」なんて言われると困るし、今の日本の政権与党のどうしようもなさを鑑みるに、同じ感じで影響範囲の多い、しかも問題のある法案がなし崩し的に可決される危険性を考えてしまう。

「シャーキーの法則」と日本が抱える閉塞感

この翻訳は特にありがたかった。クレイ・シャーキーの The Collapse of Complex Business Models という(例のよって)長文のエントリのエッセンスを語っていると思ったからだ。

そしてシャーキーの元エントリを読んで思ったのは、社会のプロトコルや仕組みが複雑になりすぎるとその社会は崩壊するって話は今の日本に当てはまるんじゃないか、ということ。

このあたりについては他の人がいろんな視点で語っているのでワタシが特に付け加えるところはないが、ところでシャーキーの文章で紹介されている Joseph Tainter の『The Collapse of Complex Societies』って邦訳出てないのかな。

Collapse of Complex Societies 1ed (New Studies in Archaeology)

Collapse of Complex Societies 1ed (New Studies in Archaeology)

それはそうとクレイ・シャーキーの新刊が楽しみだ。前作『Here Comes Everybody』は邦訳が出るという話を小耳に挟んだが、新刊の刊行とどっちが先になるのだろう。

Cognitive Surplus: Creativity and Generosity in a Connected Age

Cognitive Surplus: Creativity and Generosity in a Connected Age

ビフォア サンライズ 恋人までの距離

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]

ユーロートレインの車内で出会ったアメリカ人の男と大学生のフランス人女性が、ウィーンで途中下車して一日街を歩きながら語り合う映画である。

リチャード・リンクレイターの作品としては『スクール・オブ・ロック』が好きで、あの映画にも地味に長回しが使われていたが、本作のように登場人物二人の会話が中心の本作だと二人のワンカメラでの掛け合いがいきる。

背景となるウィーンの街並みの(余所者目線かもしれないが)美しさが印象的だし、音楽もそれにあわせた落ち着いたものになっている。

しかしなぁ、やはり三十代も半ば過ぎてみると、こういう映画を観ても何か甘いと感じてしまうんだよね。少々むずがゆかった。

ビフォア・サンセット

ビフォア・サンセット [DVD]

ビフォア・サンセット [DVD]

『ビフォア サンライズ 恋人までの距離』には今ひとつ乗り切れないものを感じたが、折角なので続編も借りてみた。

前作のラストで半年後の再会を誓う二人がどうなったか、その9年後という設定の本作を見れば分かるのだが、ワタシ的には本作のほうがずっと良かった!

これはやはり主人公の二人の年齢に本作のほうが近いのが大きいのかな。二人とも30代となり、大人の余裕も一種のズルさもワタシには見ていて心地よかった。

二人の自然な会話だけで話が進む構成は前作と同じで、本作では主演の二人も脚本にクレジットされており、この方法論を突き詰めた作品なのだろう。パリの街並みの映像も印象的。

前作より本作を好きというのはおそらく少数派だろう。設定ではこの二人はワタシより二つくらい年上なのかな。まぁ、同年代である。『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』のときにも書いたが、このような同世代を描いた作品はリアルタイムに観たほうが良いと思うし、もしそうしていたらどう感じただろうと想像して少し切なくなった。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)