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キル・ビル Vol.1

DVDジャケット

ようやく観てきました。否定的なレビューがいくつも目に入ったし、褒めてる人もその前に盛大なエクスキューズ(もしくは「俺は映画をこれだけ知ってるからこれを褒められるんだぜ」という示威(自慰))をしていて、観る前から期待値下がりまくりだったのだが、いや、面白いじゃない。ワタシ的には満足だったし、絶対Vol.2も観に行く。…と書きつつ、やはりエクスキューズも要るわな、と思うのも確かである(笑)。

他の人も書いているが、まさしくタランティーノが観客側から撮りたかったアクション映画を撮っちゃったというものであり、つまりこうあってほしいという脳内妄想を順々に映像化したようなもの。だから青葉屋はあれでバッチリ。いや、タランティーノは日本通で、あれは分かって撮っているんだよ、などという擁護はまったく無駄。たとえタランティーノの日本の認識がミシマ、ハラキリ、ショーネンナイフで、実はマイケル・ベイのような差別野郎だろうが、評価はあまり変わらない(とは言いすぎか)。テリー・ギリアムの夢を映像化した『未来世紀ブラジル』のデ・ニーロ消失場面を論理的な整合性がない、と怒るか? 結局はそのヴィジョンがちゃんと映画になっているか、そしてそれが面白いか、つまんないか、基本はそれでしょ。で、ワタシには面白かった。それに腰砕けになるくらいバカで楽しめもした。そのバカさが許せないというのはまだ分かるが。

そして逆に言えば、観客側に監督がいてどうよ、そんな映画、限界が丸分かりじゃない、という批判はもっとも。確かにこれは、『パルプ・フィクション』とは始めから比較できるもんじゃない。しかし、復讐もののアクション映画なんだし、それ以上のものにはなりようがない…というのが最初に書いたエクスキューズですね(笑)。当方はB級アクション映画の類に詳しくないので、元ネタがどうこうという薀蓄は語れないが、その程度の知識レベルの客も楽しめるエンターテイメントにはちゃんと仕上っていた。途中退席した一つ後ろの列に座っていた女性二人組はそう思わなかったようですが。

個人的にはユマ・サーマンを魅力的だと思ったのは『パルプ・フィクション』のときだけで、最近は露骨に衰えたなとしか思わないが、この映画での彼女は割りと好き。殺陣について腐す人がいるが、ワタシは見事だと思うし、彼女ぐらいがちょうどいいんじゃなかろうか。ただ、タランティーノが彼女を「ミューズ」と呼ぶ理由はやはり分からなかった。

あと千葉真一が台詞とちってるのをそのまま使うなとか書いている人もいたが、何でそんなのが気になるのかよく分からない。だって、それ以前に死ぬほど大根役者じゃないか! 彼については、先達へのリスペクトもいいが、あまりまぶしいスポットライトをあてても老醜が目立つだけという意見に賛成。日本絡みでついでに書いておくと、途中のアニメをやたらと持ち上げる人がいるが、正直特に傑出しているとは思わなかった。つーか、あれで及第点なの。そういう意味で千葉さん、あなたちょっとひどいよ。あとね、字幕の人も千葉真一のどうでもいい英語に字幕入れなくてもよいから(「グッド」ぐらい分かるわい!)、女二人の不明瞭な日本語にちゃんと字幕を入れなさい。

で、本番はここからだ! 栗山千明 as GOGO夕張! 正直なところ、彼女の出演作品は、『死国』など観ているが、特に印象に残っていない。しかし、本作の宣伝番組で非常にカッコ良い姿を拝めたので期待していたのだが、軽くその期待を超えてくれた。「ハァ〜ィ」の一声に、一瞬嬌声を上げそうになったくらいである。無茶苦茶かっちょいいやないか。Vol.1において、敵方で紛れもなく最強なのも素晴らしいし、唯一きれいな(?)死に方だったのも好感度高し。

ほそのひでともはエージェント・スミスを主人公としたマトリックス外伝、m@stervision さんはルーシー・リューを主人公とした「極道の妻たち まむしのおれん地獄花」の製作を希望しているが、ワタシはやはりキル・ビル外伝「GOGO夕張 鉄球にかける青春」を期待したい(なんやそれ)。あと余談であるが、m@stervision さんは「台詞が「現地語」から英語に切り替わるときに丁寧にその旨をことわってから喋った俳優がいままで1人でもいただろう か!?」と書かれているが、モンティ・パイソンにおいてジョン・クリーズがやってます(ただルーシー・リューのあの台詞には、座席から落ちそうになるくらいの破壊力があったのは確か)。

さて、ホースから盛大に吹き出る血がやたらと印象に残る映画であったが、タランティーノ映画における無闇な血まみれさ加減に慣れているワタシも、元々スプラッター関係が好きじゃないというのもあり、本作の流血演出は、あまりにB級過ぎてちょっと何だかなと思ったのも確かである。が、トランクに詰めたジュリー・ドレフュスの腕を日本刀で斬る場面には興奮を覚えた。それまで以上に泣き叫ぶジュリー・ドレフュス、カメラに飛び散り覆う血、嗚呼、もう最高(うっとり)。最後に良いもの見せてもらった。ありがとう、タランティーノ(念のために書いておくと、ジュリー・ドレフュスに特に敵意はありません。敵意だったらルーシー・リューの方に百倍あります)。

是非、これもVol.2で再演してほしい場面である。あ、でも、もう切り取る腕がありませんね、残念でした。

…と読者の不愉快を煽るブラックユーモアでしめてみました。

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