リベラルという言葉が蔑称となったアメリカについて書かれた広く読まれるべき文章だが、読むと間違いなく暗い気持ちになる。このポピュリズムは、日本にも広がりつつあるものだからだ。
そこに通底するのは、階層化社会とそれに伴い蔓延する無知と傲慢ではないか。ワタシは、八木の野郎が書いた Roger & Me 評の中の文章を思い出した。
下層階級であるとはどういうことか。それは、選択肢がない、あるいは自由に選ぶことができないということだ。では流動性のない階級社会とは何か。それは、上層階級の所有物を下層階級が自分たちもそれを所有していると幻想し、自分の欲望をそこに反映させている状態だ。貧乏人には手が出せないと考えることを止めれば、ゴルフコースは素晴らしい。だが、たいていの愛国心、愛郷心がそうであるように、人々はただ自分たちの富みを吸い上げた連中の持ち物を誇らし気に指差すだけで満足しているのだ。
そうした意味で、件の文章と「小沢健二 / トン・ゼー / マイケル・ムーア」と並べた八田真行さんの感覚が、なんとなくであるが分かる気がする。