いや、もちろん良い映画なのだと思う。しかし、正直現在どの程度価値が残っている映画なのかなと思ったのも確かである。
それは特撮に類する部分のしょぼさ云々の話でなく、映画としてのテンポ、ストーリーの脇の甘さなどである。もっとも、前者については本作がフランソワ・トリュフォーがはじめて英語で撮った作品というのもあるだろうけど。
とはいえ、本とともに焼け死ぬことを選ぶおばさんの場面、そして焼かれる本の映像はやはり素晴らしいものがあるし、ラストの森を歩く本となった人たちの「本を読むことの誇らしさと本を読むことの業深さ(呉智英)」を感じさせる表情は印象深い。あと何よりバーナード・ハーマンの音楽は常に格調が高い。
さて、当方が購入した DVD には、そのハーマンの音楽についてのインタビュー、原作者であるレイ・ブラッドベリのインタビュー(!)、そしてジュリー・クリスティによる音声解説が入っているのだが、そのどれも日本語字幕が出ないんだな! いくら廉価版だからってそりゃないんじゃないかい?