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深夜のアイデア

実家で、久しぶりに『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』を読んで大層面白かったのだが、ヒッチの話でひっかかるものがあった。以下、第13章 p.269-270から引用(ワタシが持っているのは、初版第……ごめん、書き留め忘れた)。

ところで夢といえば、こんな小話がある。むかし、ひとりのシナリオライターがいた。彼の頭の中には、真夜中になると、すばらしいアイデアが浮かぶ。ところが、朝、目がさめると、すっかり忘れてしまっている。たしかに夢のなかでいい話を思いついたはずなのだが、どうしても思いだせない。そこで、ある日、彼はこう考えた――「そうだ、枕元に紙と鉛筆を置いといて、真夜中にアイデアが浮かんだら、すぐ起きて書いとけばいいんだ」。そう心に決めて、彼は眠りに就いた。いつものように、深夜になって、すばらしいアイデアが浮かんだ。彼は起き上がって、忘れないうちに、そのアイデアを書きとめた。そして、安心して、またベッドに入った。翌朝、彼は目をさましたとき、何もかも忘れていた。(中略)だが、すぐ、それを書きとめたことを思いだした。彼は寝室に走りこみ、枕元のメモ用紙を取った。たしかに、そこにはすばらしい〈深夜のアイデア〉が書きとめられていた――「ボーイ・ミーツ・ガール」とね!

ワタシはこの話を著名な映画監督、脚本家の体験談として複数バージョン聞いた覚えがあるのだが、ヒッチコックがおよそ30年前に昔話の小話として語っているということは、要は映画界の古典的なフォークロアということなのだろうか。

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