クリストファー・リーブの訃報を知ったとき、僕はリチャード・マシスンのことを想起した。なんで? と思われるだろうが、少し前にリーブが主演した『ある日どこかで』という映画のことを知り、その原作・脚本がマシスンであるのに驚き、機会があったら観てみたい、とずっと考えていたからだ。
いくらSF初心者とはいえ、ワタシだって彼が『地球最後の男』の原作者であることぐらい知っていた。が、彼がスピルバーグを一躍有名にした『激突』の脚本を手がけていたのを知ったのは比較的最近のことだったりする。
さて、マシスンの作品で絶対に忘れられないのが短編「終わりの日」である(『20世紀SF(2) 1950年代 初めの終わり』に収録)。倉田わたるさんは、久しぶりに再読した夜にこの作品世界と同じ夢を見、ishii-k さんも「読み終わって、涙が出てきた」と書いているが、ワタシも通勤電車の中で読んでいて、最後のところで唐突にこみ上げた涙を周りに悟られないようにするのに難儀した覚えがある。