Amazon980円劇場二本立て。
さて、一般にはトム・ウェイツの最高傑作は『Rain Dogs』とされる。ワタシ自身それに異議を唱えるつもりはないが、その前作にあたる本作のほうが、アルバムとしての凝縮度が高く、ワタシは好きである。つまり、これが一番好きなアルバムということ。
本作はウェイツが長年在籍したアサイラムを離れ、アイランド・レコードに移籍して心機一転を図った作品である。音的にもウェストコーストのシンガーソングライターという枠にははなから留まらず、試行錯誤していた無国籍なサウンドが非常にパーカッシブな形で具現化されており、つまりは現在にいたる彼のスタイルが確立されたアルバムといってよい。
ワタシが本作を好きなのは、上に書いたアルバムとしてのコンパクトさもあるが、本作が都市のノイズをも音に取り込みそれに成功しているからだ。楽器構成もフリーフォームで、フェリーニの『道』を意識したビデオクリップが話題となった "In The Neighborhood" がよく挙げられるが、個人的には "Frank's Wild Years" から "Swordfishtrombone" への流れが何度聴いてもゾクゾクくる。特に "Swordfishtrombone" のベース二本とマリンバがおりなすユニークな音は、彼以外には作れないものだろう。
ただ、あと以前から思うことなのだが、トム・ウェイツのアルバムって一曲目が何かヘンな曲が多いんだよな。