今月久方ぶりに来日公演を行う R.E.M. なのだが、事情があって見にいけなくて悔しいのでAmazon980円劇場で取り上げよう。
R.E.M. は一貫して大好きで、昨年発表された『Around the Sun』もよかった。これが素晴らしく地味なアルバムで、懸念した通り過去数作同様セールス的に振るわなかったが、内容の充実した新譜を聴けたのは嬉しかった。そういえば年末の MOK Radio で「R.E.M. の新譜なんて、もう AOR じゃないすか」みたいな発言があったが(パーソナリティによるものではない)、クソくらえである。
R.E.M. をはじめて聴く人にはやはりこのアルバムを勧めるのが良いのだろうか。90年代の作品では、ワタシは『New Adventures in Hi Fi』が一番好きなのだが、本作には彼らの最大のヒットシングル "Losing My Religion" が入ってるしね。
例えば最近の作品と比較すると本作は明らかにポップだが、上に挙げた "Losing My Religion" にしてもマンドリンがフィーチャーされていて単純なロックナンバーではないし、"Low" と "Shiny Happy People"(これも大ヒットしたが、マイケル・スタイプ自身大嫌いと公言しており、セサミストリートで替え歌を歌ったとき以外、ライブでは一度も演奏していない)が同居する全体に躁鬱症なつくりを "Half A World Away" という文字通り中庸な楽曲がバランスをとっている。
先日ラジオを聴いていたら、このアルバムに収録されている "Contry Feedback" が流れたのだが、歌詞カードを見ないでも今でも歌えるのに自分でも驚いた。『Around the Sun』の "Final Straw" もそうだが、彼らがカントリーブルーズ風の曲を演ると、マイケル・スタイプの抑えた歌い方が実にセクシーなのである(何とも彼に似つかわしくない形容詞だが)。
この曲については、最低の精神状態を歌ったと確かマイケルは言っていたが、この恋人達の別れを描写した歌詞は素晴らしく……と歌詞を引用しようとウェブを検索して愕然とした。これはワタシが知っている "Country Feedback" じゃない!
つまりこういうことだ。ワタシは最初本作の日本盤を購入したのだが、それについていた歌詞、並びに訳詞を覚えこんでいたわけである。しかしファンならご存知のように、彼らは基本的に歌詞をブックレットに掲載しない主義なので、それは日本のレコード会社が聞き取りで作成したものである。そしてそれに掲載された歌詞は、ウェブで検索してひっかかる歌詞サイトに掲載されているものと結構違いがあるのだ。それらのサイトが正しいかもこの場合分からないのだが、何か呆然としてしまった……