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ミッドナイトクロス

最新作『ブラック・ダリア』が普通に傑作らしいブライアン・デ・パルマの代表作のひとつ。というより、近年ではタランティーノが激賞したことで知られているのかもしれない。本作がなければ、『パルプ・フィクション』におけるジョン・トラボルタの復活もなかったのかな。

大昔にテレビでやったのを一度観たきりで、非常に後味の悪い(しかし、ワタシはこの上なく好きな)エンディング以外大方忘れてしまっていたのでレンタルしてみた。

それにしてもよくできたサスペンス映画である。デ・パルマらしい映画のための映画というか、原題(Blow Out)はアントニオーニの『欲望(Blow Up)』を意識したものなんだろうが、とにかくエンターテイメントに徹して魅せてくれる。トラボルタは若々しく、ジョン・リスゴーの凶悪さも見事。

しかし、である。超B級というべきデ・パルマによる脚本は破綻がなく、ちゃんとつじつまのあった出来を前にして、またデ・パルマらしい達者なカメラワークを存分に楽しみながら、この人には映像作家として決定的に欠けているものがあるんじゃないかという思いがちらりちらりと頭をよぎった。

それが何であるかはワタシには分からないが、星条旗をバックに叫ぶナンシー・アレン、そしてその後彼女を抱くトラボルタのバックに打ち上がる花火という流麗というより出来すぎな映像をみながら、余計なことを考えてしまった。

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