気ちがいじみた考えが、ビリーの頭に浮かんだ。そこにある真実は彼を驚かせた。それはビリー・ピルグリムにふさわしい墓碑銘となるにちがいない――また、わたしにとっても。
以前にも書いているが、カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』は、ワタシにとってレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』や色川武大の『狂人日記』に匹敵する特別な作品である。
ヴォネガットが既に80台半ばなのに気づいたとき、彼が死んだら悲しいだろうなと思った。その彼が死んだ。とても悲しかった。そういうものだ。
上の挿絵を見直したときはちょっと泣きそうになった。
「何もかもが美しく、傷つけるものはなかった」
そうあってほしい。さようなら、カート・ヴォネガット。
スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302)
- 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,和田誠,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1978/12/31
- メディア: 文庫
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