この数年「Web 2.0」を冠した書籍が数多く出たが、今年その役割を担うのは「クラウド(・コンピューティング)」で間違いないだろう。バズワード、バズワード言われるが、ワタシ自身はそれだけの内実のある動きだとは思うけどね。
- 作者: ニコラス・G・カー,村上彩
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 単行本
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調べてみると、この言葉を最初に使ったのはこの本のようだ。「クラウド化する世界の憂鬱」にも書いたように、この本自体にはクラウドという言葉はほとんど出てこない。しかし、本の内容はまさにクラウドなわけで、それを打ち出した邦題の勝利ということか。
- 作者: 学びing
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2008/12/24
- メディア: 単行本
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翻訳以外では、学びingによる『Amazon EC2/S3クラウド入門』が一番乗りみたい。本書については同社が立ち上げているクラウドコンピューティング情報発信サイト CLOUD news に詳しい。本書の主著者は、日本における P2P 界の重鎮、日本を代表する人気ニュースサイトであるスラッシュドット・ジャパンの編集者、あすなろブログ寄稿者、人気ポッドキャスターなど多彩な顔をもつ物心ついた頃からのトレンドウォッチャー横田真俊さんである。
クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)
- 作者: 西田宗千佳
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/01/13
- メディア: 新書
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遂にクラウド・コンピューティングは新書のタイトルにもなった。副題も示唆的である。本書の内容については著者の西田宗千佳氏のブログエントリを参照ください。
- 作者: 野村総合研究所城田真琴
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/02/06
- メディア: 単行本
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それにしても「IT史上最大の創造的破壊」とは大きく出たものである。このように後から読み返して恥ずかしくなるようなタイトルがつくのもバズワードならではというべきか。
- 作者: 小林祐一郎,できるシリーズ編集部
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2009/02/21
- メディア: 新書
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本書に関しては著者である小林祐一郎氏の「Web2.0が終わり、クラウドコンピューティングが始まる」を読むのがよい。やはり著者もクラウドを Web 2.0 と差別化して考えている。
Web2.0は「事例の分析結果」。クラウドコンピューティングは「スタイルの提案」。
という分析はもう少し掘って考えてみる必要がありそう。
なお、「できるポケット+」シリーズは書籍を買えば全文PDFが無料で手に入るのもポイントだ。
- 作者: 林雅之
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2009/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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これも相当に副題が派手である。著者のブログエントリで見られる帯の「オバマ新大統領はすでに使っている!」という煽りもいかにもである(オバマが使ったのはむしろ Web 2.0 ツールだと思うのだが……)。
クラウド グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図
- 作者: 小池良次,石田 晴久,國領二郎
- 出版社/メーカー: インプレスR&D(インプレス)
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 単行本
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概要と目次は著者による紹介を読んでいただくのがよいだろうが、著者である小池良次さんのこれまでの仕事を考えると、おそらくは本書がもっともしっかりした分析と未来予測が読めるのではないかと思うが、著者によると「技術解説じゃなく、トレンド分析」とのこと。
それにしてもこの2月だけで4冊なんてすごいね!