今年に入って「“Web 2.0″という言葉は死んだ」なんて言われているが、それ以前から「○○ 2.0」という表現は恥ずかしいものというコンセンサスができていたように思う。
Docomo 2.0 が「今更2.0かよ!」と一部にバカにされたのが2年前だったが、ワタシが「2005年は「2.0」の年だった」を書いたのが2005年だから随分経つわけだ。
しかし、そうしたコンセンサスは飽くまで IT 系の話であり、一般層には今でも「2.0」は目新しいキャッチーな意匠なのかもしれない。
そういうわけで、昨年末以降に刊行された「○○ 2.0」な洋書をざっと紹介しておく。言っておくが以下がすべてではないよ。当然ながら IT 系の書籍は外している。
経済2.0
Economics 2.0: What the Best Minds in Economics Can Teach You About Business and Life
- 作者: Norbert Haering,Olaf Storbeck
- 出版社/メーカー: St Martins Pr
- 発売日: 2008/12/23
- メディア: ハードカバー
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wrong, rogue and booklog で知った本で、これを見て今回の企画を思いついた。評判は良いようなので邦訳は出るのかな。
不況2.0
Depression 2.0: Creative Strategies for Tough Economic Times (Process Self-reliance Series)
- 作者: Cletus Nelson
- 出版社/メーカー: Process
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: ペーパーバック
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これは Boing Boing で知った本。
10年ほど前にニューエコノミー論が能天気にもてはやされたが、今は「ニュー不況論」が求められているのだろうか。イヤな世の中だ。
ワタシ2.0
Me 2.0: Build a Powerful Brand to Achieve Career Success
- 作者: Dan Schawbel
- 出版社/メーカー: Kaplan Publishing
- 発売日: 2009/03/31
- メディア: ペーパーバック
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これはこないだ紹介させてもらった本で、id:keitabando さんが著者に連絡を取った模様。
知恵2.0
Wisdom 2.0: The New Movement Toward Purposeful Engagement in Business and in Life
- 作者: Soren Gordhamer
- 出版社/メーカー: HarperOne
- 発売日: 2009/04/01
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ここらへんから何でも2.0言えばいいってもんじゃねーんだよと言いたくなるが、書名から推測するに昔ながらの知恵を現代に活かしてみましょうという温故知新な本みたい。
感情知性2.0
- 作者: Travis Bradberry,Jean Greaves,Patrick M. Lencioni
- 出版社/メーカー: TalentSmart
- 発売日: 2009/06/01
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ここから下はこれから刊行される本。
Emotional Intelligence についてはwikipedia:心の知能指数を見ていただくとして、ひところ「これからは IQ でなく EQ を重視すべきだ」とやたら言われたあれですね。しかし、その指標が簡単にバージョンアップするものなのかね。
中国2.0
China 2.0: The Transformation of an Emerging Superpower? And the New Opportunities
- 作者: Marina Yue Zhang,Bruce W. Stening
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2010/01/19
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おいおい、国までバージョンアップさせるかよ! 欧米でも中国を読み解く本が売れているのだろうが、書名で目をひかないといけないのか。『日本2.0』みたいな本を誰か企画しなかったのかな。
十代2.0
Teen 2.0: Saving Our Children and Families from the Torment of Adolescence
- 作者: Robert Epstein
- 出版社/メーカー: Quill Driver Books
- 発売日: 2010/02/24
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ここまで来ると何でもアリだなという感じもするが、子供たちの気持ちが分からん親御さんや教師向けの本なのかしら。
社会変動2.0
Social Change 2.0: A Blueprint for Reinventing Our World
- 作者: David Gershon
- 出版社/メーカー: High Point
- 発売日: 2009/09/15
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マジレスすると、社会変動論的にはこれまで工業化、情報化など何度もバージョンを重ねてると思うけどね。
セレブ2.0
Celeb 2.0: How Social Media Foster Our Fascination With Popular Culture (New Directions in Media)
- 作者: Kelli S. Burns
- 出版社/メーカー: Praeger Pub Text
- 発売日: 2009/10/22
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セレブも2.0かよ! 日本で言う「セレブ」ほど本来の意味から離れたもんもないと思うけど、欧米での「セレブ」という言葉が指すものもそりゃ変わっているのかね。
衝突耐性2.0
Crash Proof 2.0: How to Profit From the Economic Collapse
- 作者: Peter D. Schiff,John Downes
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2009/09/22
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こうやってみると「2.0」が冠せられた本の特徴が見えてくる。一つの軸として経済、さらに書けば昨今の経済危機があるのは間違いない。そうした経済に対する不安をターゲットとする本が多いようで、真面目な話、上に書いた「ニュー不況論」が求められているのかもしれない。
グローバリゼーション2.0
Globalization 2.0: A Roadmap to the Future from Leading Minds
- 作者: Raschid Ijioui,Heike Emmerich,Michael Ceyp,Jochen Hagen
- 出版社/メーカー: Springer
- 発売日: 2009/11/02
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ちょうど山形浩生が週刊ビジスタニュースで『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』(asin:4757141653、asin:4757142188)という本を紹介していたが、そういうグローバリゼーションの普遍性を示すと本と比べるとこの本はどうなんだろうね。