この7月でウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』が刊行されて25年ということで、あの作品に書かれた近未来と現在の比較を行なっている。
ワタシが訳したコリィ・ドクトロウの「現在を予言する」(『Make: Technology on Your Time』日本版 Vol.5 に収録)において、ウィリアム・ギブスンが『ニューロマンサー』で「サイバースペース」という言葉を発明して起こらなくなった種類のフレームウォーがあることを書いている。
「何だって?」と僕は言った。「彼らはBBSの議論が、そのコンピュータがある部屋で行なわれていると思ったわけ?」ジェニングスはしっかりうなずいた。「でも、それおかしいよ!」
そこで僕はそれについて少し考えてみた。フレームウォーはどこで起こるのだろう? 「彼らはサイバースペースという言葉を知らなかったんだ!」我々は共に勢い良くうなずいた。それだ! サイバースペースという言葉が広がることで、「俺の家の客」フレームウォーはなくなったわけだが、これは一度その言葉を知ってしまえば(結局のところ、2054年でなく1984年の話をしてるわけで)、フレームウォーが自分たちの家の中で起こっているわけでないのを理解したからなのだ! フレームウォーは外の世界、純粋な思考からなる想像上のネットワークで起こっていた。それは輝く論理の格子ではないにしろ、十分なサイバーと十分なスペースがあったわけだ。
かくも大きな影響力をもった作品なわけだが、そういえば少し前にこれの映画化について書いたっけと調べたら、二年以上前の話だった! ちゃんと制作は進んでいるのだろうか。
- 作者: ウィリアム・ギブスン,黒丸尚
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1986/07/01
- メディア: 文庫
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