- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2009/11/20
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長年脇役専門だったリチャード・ジェンキンスが主役を務めた作品で地味な映画であることは予想できたが面白そうなので見て正解だった。確かに地味だったし力を入れて誉めるほどではないが、ワタシが好きな地味な映画だった。
リチャード・ジェンキンスというと最近では『バーン・アフター・リーディング』のキャストの中で唯一常識人にして、でもやっぱり最後暴走してしまう小心者を演じていたが、彼の存在が本作にはぴったりで、それも単に静かなだけでなく彼の顔がアップになると何をしでかすか分からん不穏さも感じるんだよね(笑)。
本作に9.11後に移民への締め付けが厳しくなった米国政府への批判があるのは間違いないが、それを声高に言い立てる映画ではなく、映像で端的に見せる演出も言葉を抑えた脚本はよく出来ていると思った。
物言わぬ権力に主人公がなすすべはないのだが、唯一主人公が感情を露にして食ってかかる場面は、以前町山智浩さんがアメリカ映画特電のサム・ライミの『ドラッグ・ミー・トゥ・ヘル』の回で語っていた話につながるものがあると感じた。
最後空港で主人公に移民青年の母親がかける「ハビティ」という言葉にぐっときた。