- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2010/08/27
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ワタシが住む街では一つの映画館でしかやってない。ハリウッド大作とインディー系の中間をいく作品ではあることは分かるが残念。
一年のうち322日は出張で飛び回り、空港を「我が家」と呼ぶ根無し草な主人公は、独身貴族という古めかしい言葉が似合うジョージ・クルーニーのはまり役だし、あと鼻っ柱の強い新人を演じるアナ・ケンドリックがすごくよかったな。
演出がとても気が利いていてよくできた映画である。上映中何度か客席から笑いが漏れていた。が、ワタシは途中まで正直あまり入り込めなかった。
それはリストラ通告人の仕事を描いた本作の内容が、このご時世個人的に洒落にならないというのがあるだろうし、ワタシ自身本作の主人公とは違った理由ではあるが未だ結婚ひとつできない人間で、その負い目を感じたからかもしれない。
感情の水位がぐぐっと上がったのは主人公が後半思い切り打ちひしがれるところからで、最後再び旅に出るラスト、空港の掲示板を前にした主人公はキャリーバッグから手を離し、その顔が大写しになる。もちろんジョージ・クルーニーは今も男前だけど、その顔には老いが浮かび、所作に以前の軽快さはない。そして自分が何者か悟ったことを告げるモノローグにワタシは震えた。
本作には空港でクルーニーを中心に据えた良い画がいくつもあったが、このラストシーンは特にぐっときた。しかしそれに感じるのは高揚感ではなく、確か柳下毅一郎さんが『アバウト・シュミット』を指して言っていた黒沢清のような虚ろさに近いものがある。
本作の監督は『サンキュー・スモーキング』や『JUNO/ジュノ』を撮った人なのか。両方とも評判を聞いて観ようと思いながら未見だったので、時間を見つけないと。