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アウトレイジ

北野映画を映画館で観るのは実は初めてだった。

オレたちひょうきん族」を見て育ったワタシにとってビートたけしは端的に言って「神」に近い存在だったが、映像作家としての北野武は必ずしも相性が良くない。なかなか評判が良い本作についてもどう感じるか正直不安だった。

で、すごく良くできた暴力映画だった。

本作について言われる登場人物全員が悪人という点は、ワタシからするとだから何? という感じで、こんな世界に住んでいてそれは前提条件であって、実は善人とか、実は人を裏切れないとかなら映画が始まる前に始末されてるっての(まぁ、警察まで悪徳というのは問題なんですが…)。

本作の良さは、それを前提とした上で様式美と表現したくなる威圧表現、暴力表現が堪能できること。歯医者の場面などユニークな暴力描写とその後に来るユーモアの組み合わせもあるが、右手をすっと伸ばし拳銃を構える型がきれいに撮られていたな。

そして、本作はタイトルバックが印象的だが、黒塗りの車が実に官能的に撮られている。特に終盤車を使った惨殺場面、そして夜が明けやはり黒塗りの車が死体を確認する朝の場面など車とセッティングが見事な画を形作っていた。

ワタシは過激な暴力描写は苦手で、そうした意味で本作は何度も繰り返し観たいとは思わない。しかし、唐突な展開による衝撃よりも、仁義とか関係なくどうでもいいような面子の問題が収拾のつかない殺し合いになるストーリーをまとめあげる手腕には満足感を覚えた。

役者では結構ヘコヘコしていた國村準がよかった。

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