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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

シネ・リーブル博多駅のクロージング上映に行ってきた。

このクロージング上映ではいろんな映画が上映されているが、そのリストを見て『ゆれる』『パプリカ』をこの映画館で観たことを思い出したりした。

本作のことは以前から名前はたまさか耳にするものの、なにしろ日本でソフト化されていないため未見だった。今回のような機会を逃すわけにはいかない。

しかし、こんなキワモノを観に来るのは少数だろうと出向いてみたら開演15分を前にしてかなりの数の客が待機していて、『ゆれる』以来の立見かと呆然となった。もちろん満員で、しまいにはパイプ椅子まで客席脇に並べていた。

灰色の部屋にはじまるケレンミたっぷりのオープニングが実は物語的には特に意味がないのにあとで気付いておかしかったが、ストーリーはしかめっ面の吉田輝雄をよそにテキパキと進む。事前に予想していたほどのグロさはないが、とにかく怪作と呼ぶに相応しい。

世の中いろんな映画があって、それらを一つの基準で語れるわけがない。要はいろんな種類の映画があるわけだが、本作は何より「見世物」としての映画で、その点においてよくできている。「こまけぇこたぁいいんだよ」とばかりなご都合主義的な展開もそれに奉仕しており、客の微苦笑を誘っていた。

後半になって変態性をあらわにする小池朝雄も、唐突に推理を喋りまくる明智小五郎役の大木実も良い味出してるが、特筆すべきはどういう場面でも常に爪先立ちで手先をしならせる土方巽で、この人たち、そして何より監督の石井輝男がどういうつもりだったか、どこまでマジなのか計算してたのか分からないし、知りたいとも思わない。

本作はカルト映画として知られており、ワタシにしてもこの映画がどのような台詞で終わるのか事前に知ってしまっていた。しかし、それでも本作の終わり方はまったく予想外で、ここまで来ると満場の観客も大笑い、そして客電がつくとともに惜しみない拍手喝采がまきおこり、それは一つの映画館の幕切れを飾る感動的で幸福な光景だった。

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