当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

前田悟氏の「エアボード」「ロケーションフリー」開発秘話が面白い

今月に入って第5回目が公開されたところで初めて前田悟氏(@MaedaSatoru)の連載の存在を知り、第1回から読み始めたらとても面白かった。

最新回を読むには読者登録が必要なはずである。

エアボードはワタシも2000年の CEATEC で見て、鮮烈な印象を受けた製品である。その開発の裏にいろんな苦労が隠されていたのを知ることができた。

前田氏は反対したものの部下の熱意に押される形で POBox が導入されたこと、そもそも「エアボード」という製品名のネーミングを高城剛が行ったことなど知らない話ばかりでそういうのも面白いが、なんといってもソニーの内部事情についての記述が興味深い。社内の壁を何とか乗り越えて優れた新製品を作ろうとしていたのですね。

この連載を読み、まったく別の見方を示す関係者ももちろんいるだろうが、前田氏の当時のカンパニー長、現在の経営陣に対する舌鋒はとても鋭い。以下、長めに引用させていただく。

 次回の連載に進む前に、少しだけ別の話題に触れさせていただきたい。最近のソニーに関する報道を見ると、「ソニーらしさ」という言葉が随所に出てくると感じる。私自身、エアボードを発表した際に、メディアの方やお客様から、新たな生活スタイルを提供する商品であることが「ソニーらしい」と賞賛を受け、大変うれしく思ったと記憶している。

 ただし当時のソニー社員の中に、「ソニーらしい」ものを生み出すために製品を開発した技術者はいなかった。純粋に、「今まで世の中になかった便利なモノを作ろう」との思いで完成させた結果として、社外の人から「ソニーらしい」とお褒めの言葉をいただけたに過ぎない。

 翻って最近のソニーは、トップ自ら「ソニーらしさ」というキーワードを掲げているが、これ自体が全くソニーを理解していないといえる。長期間にわたって世の中にない新商品を生み出せていないだけに、ソニー再生に向けた道は険しいと言わざるを得ない。加えて、「ソニーのDNA」と発言することそのものも、おこがましいとすら感じてしまうのだ。

「エアボード」「ロケーションフリー」開発秘話(第1回)(3ページ目) | 日経 xTECH(クロステック)

このようにとても面白い連載だが、ワタシ自身はこれを読みながら顔が歪むのを感じた。その理由はここには書かないが、あれから10年経つのかと思うと、また空が暗くなる。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)