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あなたを抱きしめる日まで

あなたを抱きしめる日まで [DVD]

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ワタシが住む街での上映時は都合がつかず観に行けなかった映画だが、実家に帰省時に観ることができた(時差か!)。

ワタシ的に本作は、日本では『24アワー・パーティ・ピープル』の主演で一部でおなじみスティーヴ・クーガンが、主演、脚本に加え製作も兼ねた勝負作だったので観たかったのだ(彼の代表作である「アラン・パートリッジ」シリーズって日本のテレビで放映されたことってあったっけ?)。

本作は、クーガン演じるブレア政権から放逐され失職してしまったマーティン・シックススミスが、50年前に息子を産んだものの修道院によって引き離されてしまったジュディ・デンチ演じる女性と知り合い、彼女の息子探しに付き合う話である。

クーガンが脚本なので随所にコメディ的なくすぐりがあって、失職による失意もあり時に辛辣にもなり、どこか心あらずといった感じがクーガンによくあっている。

母親のフィロミーナ役を演じるのはジュディ・デンチで、この人しかいないという感じの堂々たる演技なのだが、彼女だとスターとしての威厳がありすぎるのだが、ざっくばらんな感じもちゃんと出している。

同時期に作られた『ダラス・バイヤーズクラブ』と同じく、本作も80年代のレーガン政権のエイズに対する無策が背景にあるのは偶然か。

アメリカ人夫妻に引き取られた息子の行方を辿るうちに二人は、最終的に元の地点に戻ることとなる。若い女性を奴隷のようにこきつかい、彼女らが産んだ子供たちの権利を放棄させてアメリカ人に売り渡し、しまいには証拠隠滅や偽証までやるカトリック教会の腐敗にシックススミスは怒りを爆発させるが、そこでのフィロミーナの言葉は重い。

ワタシ自身形式的にはカトリックだが、心情的には遥かにシックススミスに近いワタシも、とてもではないがフィロミーナのようには言えない。この言葉はやはりジュディ・デンチだからこそ説得力があるのか。息子が故郷であるアイルランドのことをどう思っていたか知る場面は切なかった。

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