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渇き。

深町秋生のデビュー作『果てしなき渇き』を読んだとき、これが映画化されるなんて正直想像もしなかった。原作についてワタシは「徹頭徹尾ひどい話」と書いたが、それがまともな形で映像化なんてできないだろうと思ったわけだ。

しかし、中島哲也が監督すると聞いて、彼ならやってくれるのではと俄然期待が高まった。

本作はそれに見事に応える映画である。ワタシも覚悟はしていたがホント暴力描写がひどい。この点に関して、本作を甘いとか生ぬるいと評する人はいないだろう(これだけ女子供が容赦なくボコられる日本映画はそうないのでは)。しかし、既にこの監督を嫌いな人はもっと嫌いになる作品だと思う。ワタシ自身二度と本作は観たくないとすら思っている。ヘタレと笑われるだろうが、正視できずに目を背けた場面がいくつかあった。しかし、映画としてはとてもよかったし、原作を読んだ人間として非常に満足感が高かった。

原作は埼玉の県道沿い(だったよね?)のコンビニやらファミレスやらモールが並ぶファスト風土な舞台設定で展開する。本作でも重要な舞台設定は変わっていないはずなのだが、冒頭のクリスマスの場面の都会的な描写などそのあたりちょっと違う感じがした。これは中島哲也がタイトルバックにはじまり露悪的なまでにハチャメチャやってるからというのもある。あとパーティの場面にかかるのがヒップホップなどでなくアイドルポップなのは最初なんじゃこりゃと思ったが、観ているうちにこれでよく思えてくる。

上で書いた冒頭の場面など複数の場面が交錯する作りになっていたり、登場人物の性格や展開を変えたところも多々あるものの、終わってみると主人公の元刑事が失踪した娘を捜索する話と、その3年前に加奈子に惹かれる少年が辿る過酷な話という二つの時間軸が平行しながら進む構成は、良い意味でとても原作に忠実だし、ちゃんと映像的に重なる後半の展開は特に。

主人公を演じる役所広司が着る白いジャケットからシャツが映画が進むにつれどんどん血で汚れていくところ、そしてなんといっても加奈子演じる小松菜奈のカラッポなバケモノぶりが印象的だった。

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