かつて第2回将棋電王戦についての感想で、優れた観戦記をたくさん読むことができたことこそが、将棋電王戦のあまり語られない最大の成果だと書いたことがあるが、今回の菅井竜也五段 vs 習甦のリベンジマッチについても、なぜかはてな匿名ダイアリーで熱い観戦記を読むことができた。
もちろん将棋電王戦についてこれまで観戦記が掲載されてきた週アスや SPA! のサイトにも観戦記が公開されている。
今回の菅井竜也五段の無謀な戦い方を見て、将棋の内容とは別のところで思うところがあった。
昭和初期の阪田三吉と木村義雄の南禅寺の決戦は持ち時間30時間という破格のルールだったが、基本的にその後一貫して対局の持ち時間は短縮化を続けて現在にいたっている。
しかし、今回の菅井竜也五段の戦いをみて、持ち時間を長くするような方向に進む可能性もあるのではと思ったりした。こればかりはスポンサーの都合があるので現実には難しいだろうが、人間に死力を尽くさせるという意味で、人間の棋士にとことん時間を与えてはどうかと思うのだ。
だが、そこまで考えて、コンピュータ将棋と人間の棋士が戦うのは、既にそれほどに過酷なことになっているのかと愕然ともするのである。
河口俊彦『大山康晴の晩節』の解説に、将棋電王戦、並びに人間がコンピュータ将棋に勝てなくなった後のことを盛り込めたのは幸運だったと今になって思ったりする。
- 作者: 河口俊彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/12/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (13件) を見る