ワタシは今週になって知ったが、先週既に日本でも話題になっていたのね。
英国人以外の82人の批評家が選んだ英国の小説ベスト100ということだが、ノンフィクションや戯曲や詩の類、また短編小説集は除外ということで長編小説から選んだものである。またジェイムズ・ジョイスなどアイルランドの作家も入らない。
批評家が挙げたのは全部で228の小説で、選はあまりばらけておらず、これはかなり精度の高いリストになっているのではないか。さて、その条件でどんな作品が入ったか。
- ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』(asin:4061976273、asin:406197632X、asin:4061976362、asin:4061976389)
- ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(asin:4003229118)
- ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』(asin:4087605353)
- チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』(asin:4309463592、asin:4309463606)
- シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』(asin:4003570022、asin:4003570030)
- チャールズ・ディケンズ『荒涼館』(asin:448002297X、asin:4480022988、asin:4480022996、asin:4480023003)
- エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(asin:4003223314、asin:4003223322)
- チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(asin:4002011003)
- メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(asin:4102186514)
- ウィリアム・メイクピース・サッカレー『虚栄の市』(asin:4003222717、asin:4003222725、asin:4003222733、asin:4003222741)
- ジェーン・オースティン『高慢と偏見』(asin:4309462642)
- ジョージ・オーウェル『1984年』(asin:4151200533)
- フォード・マドックス・フォード『かくも悲しい話を…』(asin:4882025256)
- サミュエル・リチャードソン『クラリッサ』
- イアン・マキューアン『贖罪』(asin:4102157239、asin:4102157247)
- ヴァージニア・ウルフ『波』(asin:4622045052)
- E・M・フォースター『ハワーズ・エンド』(asin:4309709478)
- カズオ・イシグロ『日の名残り』(asin:4151200037)
- ジェーン・オースティン『エマ』(asin:4003222245、asin:4003222253)
- ジェーン・オースティン『説得』(asin:4480425349)
- ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』(asin:4334751911)
- ヘンリー・フィールディング『トム・ジョーンズ』(asin:4003221117、asin:4003221125、asin:4003221133、asin:4003221141)
- トーマス・ハーディ『日陰者ジュード』(asin:4122048435、asin:4122048443)
- ドリス・レッシング『黄金のノート』(asin:4990396901)
- ゼイディー・スミス『ホワイト・ティース』(asin:4105900234)
- J・R・R・トールキン『指輪物語』(asin:4566023826)
- ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』(asin:4122053889)
- シャーロット・ブロンテ『ヴィレット』(asin:4622046253、asin:4622046261)
- モニカ・アリ『Brick Lane』
- ダニエル・デフォー『モル・フランダーズ』(asin:4003220838、asin:4003220846)
- グレアム・グリーン『情事の終り』(asin:4102110046)
- E・M・フォースター『眺めのいい部屋』(asin:4480036768)
- ケネス・グレアム『たのしい川べ』(asin:4001140993)
- カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』(asin:4151200517)
- トム・マッカーシー『もう一度』(asin:4105901079)
- アンソニー・パウエル『A Dance to the Music of Time』
- イーヴリン・ウォー『大転落』(asin:4003227719)
- ジャネット・ウィンターソン『ヴェネツィア幻視行』(asin:4152076151)
- ジュリアン・バーンズ『終わりの感覚』(asin:4105900994)
- ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(asin:4042118038)
- チャールズ・ディケンズ『ドンビー父子』(asin:4875582404、asin:4875582412)
- グレアム・グリーン『ブライトン・ロック』(asin:4151200320)
- アラン・ホリングハースト『スイミングプール・ライブラリー』(asin:4152078499)
- ヒラリー・マンテル『ウルフ・ホール』(asin:415209205X、asin:4152092068)
- サラ・ウォーターズ『エアーズ家の没落』(asin:4488254071、asin:448825408X)
- サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』(asin:415207650X、asin:4152076518)
- ローレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』(asin:4003221214、asin:4003221222、asin:4003221230)
- キングズリー・エイミス『ラッキー・ジム』(asin:B000JATGLA)
- A・S・バイアット『抱擁』(asin:4102241116、asin:4102241124)
- E・M・フォースター『インドへの道』(asin:4480028528)
- トーマス・ハーディ『テス』(asin:4480039864、asin:4480039872)
- ジョージ・ギッシング『三文文士』(asin:4879633917)
- ジーン・リース『サルガッソーの広い海』(asin:4622046695)
- ゼイディー・スミス『NW』
- ジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』(asin:4042982182)
- ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』(asin:4560071764)
- フォード・マドックス・フォード『Parade's End』
- ヘンリー・グリーン『Loving』
- アラン・ホリングハースト『The Line of Beauty』
- D・H・ローレンス『息子と恋人』(asin:410207001X、asin:4102070028、asin:4102070036)
- アイリス・マードック『海よ、海』(asin:B000J7JG54、asin:B00PPYNN6O)
- ジョージ・オーウェル『動物農場』(asin:4042334016)
- ミュリエル・スパーク『ミス・ブロウディの青春』(asin:4560072035)
- アンソニー・トロロープ『The Way We Live Now』
- ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』(asin:4480034293)
- ジェーン・オースティン『分別と多感』(asin:4480423044)
- J・G・バラード『クラッシュ』(asin:4488629121)
- アンソニー・バージェス『時計じかけのオレンジ』(asin:4151200525)
- ジョゼフ・コンラッド『ノストローモ』(asin:4480206507)
- ジョージ・エリオット『ダニエル・デロンダ』(asin:4879841277、asin:4879841293、asin:4879841412、asin:4890260374)
- ジェーン・ガーダム『Old Filth』
- グレアム・グリーン『事件の核心』(asin:4151200339)
- ペネロピ・フィッツジェラルド『The Blue Flower』
- トーマス・ハーディ『カスターブリッジの市長』(asin:4843318655、asin:4843318663)
- D・H・ローレンス『恋する女たち』(asin:B000JBBPOA、asin:B000JBCAGM、asin:B000JATY08)
- アンドレア・レヴィ『Small Island』
- サマセット・モーム『人間の絆』(asin:410213025X、asin:4102130268)
- V・S・ナイポール『ビスワス氏の家』
- フィリップ・プルマン『ライラの冒険』(asin:4105389041、asin:410538905X、asin:4105389068、asin:4105389076、asin:4105389084、asin:4105389092)
- バーバラ・ピム『よくできた女』(asin:462207561X)
- ポール・スコット『The Jewel in the Crown』
- エドワード・St・オービン『Patrick Melrose シリーズ』
- アンソニー・トロロープ『バーチェスターの塔』(asin:4875710593)
- イーヴリン・ウォー『スクープ』(asin:4560099073)
- パット・バーカー『Regeneration 三部作』
- シビル・ベッドフォード『A Legacy』
- アーノルド・ベネット『二人の女の物語』(asin:4003225228、asin:4003225236、asin:4003225244)
- エリザベス・ボウエン『心の死』(asin:4794968922)
- ジョイス・キャリー『The Horse's Mouth』
- ウィルキー・コリンズ『白衣の女』(asin:4003228413、asin:4003228421、asin:400322843X)
- ジョン・ゴールズワージー『フォーサイト家物語』(asin:4327000442、asin:4327000450、asin:4327000469)
- ステラ・ギボンズ『Cold Comfort Farm』
- ウィリアム・ゴールディング『蝿の王』(asin:4087605787)
- ジェームス・ホッグ『悪の誘惑』(asin:4336055351)
- ハニフ・クレイシ『郊外のブッダ』(asin:4120025985)
- ドリス・レッシング『生存者の回想』(asin:4891766557)
- C・S・ルイス『ナルニア国ものがたり』(asin:400204128X)
- マルカム・ラウリー『火山の下』(asin:4560099014)
- アリ・スミス『There But For The』
- P・G・ウッドハウス『ウースター家の掟』(asin:4336047618)
このリストをみてまず思うのは、女性作家の強さである。トップ20をみるとそれが際立つ。ちゃんと数えていないが、100作全体でも女性作家の作品数のほうが多いのではないか。
作品数ではヴァージニア・ウルフとジェーン・オースティンとチャールズ・ディケンズが4作ずつ入っているのがトップかな。
一番古いのは18世紀前半のロビンソン・クルーソーやガリバー旅行記あたりで、現代の作家まで満遍なく網羅されている(2010年代の作品もいくつか入っている)。やはり19世紀から20世紀前半までに書かれた古典が上位を占め、現代の作品は40位以下に多いのは仕方ないか。
こういうアンケートを日本文学を対象に行ったら、果たしてどんなトップ100リストになるか、想像してみると楽しい。のだが、日本文学に精通した日本人以外の批評家を80人以上集めるのが難しいだろうか。