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ミッション:インポッシブル/フォールアウト

本作について、とにかくトム・クルーズがやりたいアクションを優先して撮影し、後から脚本のつじつまを合わせたという無茶な話を聞いていたので、そうした整合性は期待しなかったが、前作『ローグ・ネイション』からの継続性と『オデュッセイア』という枠でなんとかつなぎとめていた感じである。『ゴースト・プロトコル』には劣るが、そういう比較をしてもしょうがない気になるアクションの連続だった。

本作でトム・クルーズが挑む、彼をかっこよく見せるよりも危険に晒すことが優先されているような、年齢を超越したアクションを見るにつけ、昔柳下毅一郎さんが、アーノルド・シュワルツェネッガーの主演作の傾向を評して、シュワルツェネッガーは深刻なアイデンティティクライシスの問題を抱えているのではないか、と書いていたのを思い出した。

当時、柳下さんの文章を読んだワタシは、いやぁ、シュワちゃんが大暴れするのに設定上のギャップがあったほうが際立つという計算で出演作を選んでいるだけなんじゃない? と思ったものだが、危険極まりないアクションにスタントなしで挑むトム・クルーズの没頭は、一種の自殺願望のあらわれではないだろうか? とすら思ったのである。

昔からアクターアスリートと評したくなる人ではあるが、他の人がツイッターに書いていた表現を借りると、「このアクションは、むしろ CG であってくれ」とまで思ってしまう本作は尋常ではない。このシリーズにおける主人公の右腕役となった感のあるサイモン・ペッグが、「もう少し現実というものを味わってみるもの良いのかなと思うこともあります」と語るのも、そうした危険を感じているから……でないならよいのだけど。

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