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キング・クリムゾンの来日公演に2日行ってきた

キング・クリムゾンのライブは、1996年、2003年、そして2015年と見ているのだが、3年ぶりの来日公演行ってきました。出不精のワタシがライブに行くこと自体まれなので、感想を書き残させてもらう。日本でのすべての公演が終わったので好きに書かせてもらう。

今回は2回行ったのだが、これは実ははじめからそのつもりではなかった。(前回2015年のときもそうだったのだが)チケットの発売日をうっかり忘れていて、慌てて予約をしたら意図しない日のチケットを押さえてしまい、後でそれに気づいて元々行くつもりだった日も予約をした。

意図しない日のチケットは合法的に売り払うつもりだったが、それも面倒くさくなり、それに今回が最後かもしれないじゃないか(前回も同じようなことを書いているが……)、ロバート・フリップ先生の雄姿を目に焼き付けようとスケジュールを調整して二日続けて行くことにした。

以下、箇条書き。

12月9日、グランキューブ大阪セットリスト

  • 何しろ結成50周年のバンドであり、基本的に客は自分より年長なのがデフォなのだが、意外に自分よりも若い人が多かった。実は新陳代謝している?
  • メンバーがステージに登場し、『アイランズ』ラストの SE が流れる中楽器を軽く鳴らし、1曲目は「太陽と戦慄パート1」で、これは3年前に観た大阪公演とまったく同じ。メル・コリンズが途中で「君が代」を挟むのも同じで、思わず失笑(誤用)
  • 60年代、70年代の曲を多くやるようになった3年前のライブでも期待できなかった『リザード組曲、というか「ボレロ」をやってくれたのが嬉しかった
  • ジャッコ・ジャクスジクがヴォーカルをとるようになり、80年代以降の曲は前回の来日公演は皆無だったが、今回やってくれた「インディシプリン」もどうも違和感しかないなー、と思っていたら、最後の「I like it!」がまったく違うフレーズになっていて、なんだ? と思ったら、「イイね!」と日本語でシャウトしてたのに気づいて脱力。Facebook かよ
  • ずっとライブで聴きたいと願っていた、クリムゾン史上もっとも美しい曲だと今も思う「アイランズ」を聴けた
  • 40年以上たって昔のバンドに再加入と書くとなかなかすごいメル・コリンズは、3年前のライブでもよくやってると思ったが、今回は一曲の中でもフルートやサックスをとっかえひっかえ吹きまくり、まれに入りを間違えたりしていて存在感を発揮していた
  • この日は一階席のほぼ最後尾だったためライブ中は気づかなかったのだが、「コンストラクション・オブ・ライト」の途中、フリップ先生が文字通りお手上げのポーズをとったらしい。フリップ先生でも演奏できなくなることがあるんだ
  • クリムゾン・キングの宮殿」は当然盛り上がり、大歓声……と思ったら、通常省略することが多いコーダ部分をやったのに驚いた
  • フリップ先生のギターから始まるものだから、最初よく分からなかったラディカル組曲から「レベル5」改め「太陽と戦慄パート5」が竜巻のようなすさまじい演奏で、曲が終わったときに客席から「おおっ……」と声がもれていた。ここで本編終了
  • アンコールは「スターレス」1曲だけだったが、これがこの曲があるべき壮絶さだったので満足
  • 終わってみれば、「太陽と戦慄パート2」「レッド」「21世紀の精神異常者」という定番曲をやってないのだが、それでこの満足感はすごいことである。しかし、思えば「太陽と戦慄パート2」「レッド」をやらないライブって長らくなかったのでは
  • ライブが始まる前に何人もの係員が脅迫的に「スマホの電源をオフにしろ」と延々繰り返すので、ワタシは意地でも従わないのだが、演奏が終わってトニー・レヴィンがカメラを取り出す瞬間からスマホでの撮影が可能になるという理不尽な設定である。前述の通り最後尾の席のため、トニーがカメラを取り出したのがよく分からずに撮影するタイミングを逃してしまった

12月10日、グランキューブ大阪セットリスト

  • ステージで前列にドラムキットが3つ並び、それ以外が後列という構成は前回同様だが、今回は後列組にビル・リーフリンが加わり人数が奇数になったのに、リードボーカルをとるジャコを中央にせず飽くまで自分の隣に置いておくフリップ先生(多分)は強情だ
  • 2曲目でいきなり「ディシプリン」が聴けて満足。あとは「Fracture」におけるフリップ先生の運指運動が見れれば言うことなかったのだが、残念ながらそれはかなわず
  • 「太陽と戦慄パート2」が始まる際に「トーキング・ドラム」のコーダ部分を SE で流していて、逆に違和感があった。「21世紀の精神異常者」のイントロも SE を使っていたが、これはあまりよいことと思わない
  • 昨日は第2部のラストだったラディカル組曲で第1部が終わったのだが、フリップ先生が退場する際に客席に向かって指で「それはやるな」という感じの合図をしたのが気になった。誰かスマホで写真でも撮ったのだろうか(伏線)
  • アンコールは「21世紀の精神異常者」だったが、間奏部でメル・コリンズがまだソロをとっているのにフリップ先生がいきなりヒステリックなまでのけたたましいギターを弾き始めてびっくりしたのだが、よほどエキサイトしていたのか
  • この日は終演後の撮影タイムでちゃんと写真が撮れた。これでも前日よりは遥かに前の席だったのである


  • ワタシは気づかなかったのだが、この撮影タイムに最前列の席に結構な器材を持ち込んで録音していた爺さんがセキュリティに3人がかりで取り押さえられていたらしい。その話を知り、第1部終了後のフリップ先生のジェスチャーの意味が分かった。あれだけ脅迫的にライブ中の録音撮影録画はやるなと大連呼されるライブでやらかすジジイの神経が分からんよ
  • ライブが終わって気づいたのだが、完全インプロビゼーションの「Providence」を除くアルバム『レッド』の全曲をやってくれたことになる。これは貴重なライブかも
  • 前日はやらなかった「太陽と戦慄パート2」「レッド」「21世紀の精神異常者」をやってくれたので、前日と補完関係にあるこの日の選曲だった。あとは「Fracture」さえ聴けていたら……

今回は20分の途中休憩を含む3時間のライブとは聞いていたが、2日間ともオンタイムに始まり、80分したら第1部終了、20分の休憩、そしてその後アンコール含め80分とかなりきっちりしていた。休憩時間を除いても2時間半のライブ、またその中では各人のソロパートも含むライブでこの時間管理は驚異とすら言える。

そういうわけで思わぬ形で2日連続でライブに行くことになったが、上述の通り2日セットで満足できる内容だった。高校二年生の夏休みにアルバム『太陽と戦慄』を聴いて衝撃を受け、以来キング・クリムゾンを聴き続け、またライブに行けて本当によかった。

Meltdown: King Crimson, Live In Mexico (3CD+Blu-Ray)

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