映画『2001年宇宙の旅』は、今年公開50周年ということで、ワタシも少し前に IMAX 版を観て、オールタイムベストの一本にも関わらず、新たな感動を体験できた。
この映画については既にいろんな本が作られているが、その決定版といえる『2001:キューブリック、クラーク』が発売になった。
- 作者: マイケル・ベンソン,添野知生,中村融,内田昌之,小野田和子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2018/12/27
- メディア: 単行本
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600ページ超の文句なしの分量である(価格も五千円)。監修者を務めた添野知生氏のあとがきを読むだけでも多くの関係者の仕事をとらえた厚みのある本であることが分かるが、特に以下のくだりがぐっときた。
そして、SFファンの多くが長年おそらくそうであろうと思っていた、アーサー・C・クラークのセクシャリティについて、ここで明確に書かれたことも大きい。アラン・チューリングの死が、クラークがセイロンへの移住を考えるきっかけになったという証言は重く、クラークの楽天性を支えたものが何だったのか、もう一度考えたくなる。
https://www.hayakawabooks.com/n/na813ed5a9e22
スタンリー・キューブリックもまた『2001年』のあと、生まれ育ったニューヨーク市と永遠に訣別してイギリスに移住した。本書を読むと、それは『2001年』のプレミア上映でニューヨークが彼にした仕打ちと無関係ではないように思える。クラークとキューブリックの物語は、やはり二人の国外移住者の物語だったのかもしれない。