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アド・アストラ

最初、「ブラッド・ピット主演のSF大作」と言われても、正直気持ちが動かなかったのだが、『2001年宇宙の旅』が引き合いに出されるのを聞いて興味を持った。ただ日本公開されると、なんだか賛否両論というか、ワタシの観測範囲では「否」のほうの声が大きいのでどうかと思ったが、ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が良かったので、また彼に会いたくなった。

行くまでは、『2001年宇宙の旅』が引き合いに出されるのだからハード SF っぽい作りで、あと題材的に『インターステラー』や『コンタクト』みたいな感じなのかなと予想していたのだが、ズバリ『地獄の黙示録』、というか『闇の奥』でしたね。本作は演出にホラー的な味付けを感じたが、それも良かったかも。

作品のテーマは「孤独」である。「孤独は人をおかしくさせるから、家族を大事にしましょう」と書いてしまうといきなりお説教になってしまうが、孤独の痛みを抱えながら宇宙飛行士としての仕事を冷静確実にこなすブラッド・ピットが、当然ながら『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とはまったく違った、でも感情を抑えた好演をしている。

正直、ワタシは SF 者ではないので、本作における宇宙の描写が科学考証的に正しいのかは分からない。天体物理学が専門のロチェスター大学教授の方によると本作に対する批判を知ると、そうなんですかと思うだけなのだが、本作は「静けさ」をよく表現していたように思うし、むしろ本作はブラッド・ピットが孤独の痛みを表現する内宇宙 SF でもある、と書くとさすがに大げさかもしれませんが。

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