昨年9月に「Rustこそがシステムプログラミングの未来(で、C言語はもはやアセンブリ相当)なら、Rustで書かれたドライバのコードをLinuxカーネルは受け入れるべきなのか?」という話を書いているが、その続きというか、今年こそ Linux カーネルに Rust が入る年になるかという話で、実際 LKML でも議論が行われている。
面白いのは、少し前に行われた Open Source Summit North America における VMWare の最高オープンソース責任者 Dirk Hohndel とリーナス・トーバルズとの対談(昨年この組み合わせで、「私はもうプログラマーではない」とリーナスが語ったことがあったっけ)で Rust について触れているところ。
Hohndel が「今じゃ新しいプロジェクトはどれも Go やら Rust やら聞いたこともない新しいプログラミング言語で書かれている。我々は2030年代には COBOL プログラマみたいになるリスクはないだろうか?」と問いかけると、リーナスは「いや、もう誰も C で書かないというのが本当とは思わないな。どれでも統計を見れば、C は今でもトップ10言語のひとつだと思うよ」と答えた後で、以下のように Rust に言及している。
それが Rust じゃないかもしれないけど、カーネルを書くのに今とは違うモデルを採用する可能性はあるよ。C 言語が唯一の選択肢にはならない。つまり、現時点では C やアセンブリーで書かれているけど、大部分の人はアセンブリーの部分には誰も触りたがらないわけで。私はおそらくこの任には不適切な人間で、ドライバ全般のメンテナのグレッグ(・クロー=ハートマン)がそれにかかわっている。でも、進行中ではあるが、長い時間がかかるよ。カーネルに他の言語を統合し、開発者にそうした他の言語を信頼してもらう必要がある。それは大きな前進だよ。
少なくとも彼に C++ のような拒否反応はないようだ。
ネタ元は Slashdot。

- 作者:増田 智明
- 発売日: 2020/03/25
- メディア: 単行本