「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版)」で取り上げた本の邦訳が最近2冊出ていたのを知って驚いたので、紹介しておく。
まず、一冊目。ジェイソン・ブレナン『アゲインスト・デモクラシー』の邦訳が勁草書房より先月出た。以前に Twitter で告知されていたので分かってはいたが、めでたい。上巻、下巻併せて相当な値段となるが、それでも出す価値のある本だろう。
この本は、日本における危険思想研究の第一人者、人間的な好き嫌いはまったく別としてその仕事に常に敬意を払っている八田真行さんが紹介していて知った。
英国におけるブレグジット、米国におけるトランプ大統領の誕生といったあたりで醸成された、「民主主義ってもう機能してないんじゃね?」という疑問にクリアヒットする本だったわけだが、個人的にはこの状況だけ見て安易に権威主義を推す人をまったく信用しない。それはそれとして、時代はもうネオ封建主義、テクノ封建主義なんじゃね? というところまできており、2022年の今もアクチュアリティがある本なのではないでしょうか。
さて、もう一冊はジューディア・パールとダナ・マッケンジーの『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』である。こちらは出たばかり。
人工知能分野を含む計算機科学における大物の本なので、すぐに出るだろうと思っていたら2022年にようやくである。『マスターアルゴリズム』ほどではないが、随分待たされたことになるが、逆に言うとこれはそう簡単には古びない本なので、ちゃんと邦訳が出てよかった。