アメリカのジャーナリスト、著述家のギャレット・グラフは、世界有数の民主主義国家として建国250周年を迎えるわずか数か月前、アメリカ合衆国は権威主義とファシズムの淵に転落したと指摘する。
多くのアメリカ人が民主主義から権威主義に移行する明確な瞬間があると誤って信じているが、実際にはあらゆる境界線が曖昧になり、規範が破壊され、大統領の独断が異議なく受け入れられるようになり、そして、ある朝目覚めると、国は既に別物になっている――それが今だと言うのだ。
グラフは以下の点で、第二期トランプ政権下でアメリカの民主主義の基盤は崩壊し、権威主義への境界線を越えたと断じる。
- 野党主導の都市の軍事占領や州への脅迫
- 政権の不正を記録しようとする市民に対する恣意的な職務質問や拘束
- 米国企業への恐喝と賄賂の要求
- 官僚の粛清
- 驚異的なスピードでの権力濫用
- 文化統制の試み
これまで長らく第二次世界大戦を研究してきたグラフは、今のアメリカの軌跡は、1933年頃のベルリン(つまりナチスドイツですね)に近いように感じられて恐ろしい、と指摘する。
元ネタは Boing Boing。
さて、この記事の著者のギャレット・グラフは、原子爆弾の誕生から使用、そしてその後の影響を取材したノンフィクション The Devil Reached Toward the Sky を先月出したばかりである。
この本については「バーンズ・アンド・ノーブルで朝食を」における書評が詳しいが、これは邦訳出るでしょう。
しかし、そんな米国においてファシズムと戦う方法はあるのか? かつてクリントン政権で労働長官を務めた経済学者のロバート・B・ライシュは、トランプのファシズムと戦う5つの方法を指南している。
といっても、その内容は極めてオーソドックスで、奇をてらったところはない。
- 議員に電話をかける
- タウンホールミーティングに参加する
- 地元の抵抗グループに参加するか、自分で組織を立ち上げる
- トランプに屈する企業や団体をボイコットする
- 地域社会で最も弱い立場の人々を守る
重要なのは、上記の行動を支えるサービスが存在すること。例えば、議員に電話をかけるのを支援する 5 Calls があるし、抵抗グループの組織化に関して、アメリカ自由人権協会(ACLU)は有名だが、それ以外にも Indivisible や 50501 が挙げられている。
こちらもネタ元は Boing Boing。
さて、ロバート・B・ライシュは著書の邦訳も多く出ており、もっとも直近では昨年秋に『コモングッド: 暴走する資本主義社会で倫理を語る』(asin:4492444858)が出ているが、今月に自伝 Coming Up Short が出たばかり。
この本についてはエミコヤマさんの書評が例によって参考になる。これも邦訳出るでしょう。



