ニコラス・カー先生が Google 検索における「AIによる概要(AI Overviews)」に噛みついている。ある主題に関する権威ある文献を深く掘り下げるのでなく、最近公開された疑わしい情報源から、おおざっぱな要約を寄せ集めて作成されている、というのだ。
これでは長年 Google の検索結果の上位に検索エンジン最適化(SEO)を施したページが並んでいたのと変わりがないじゃないかというわけ。
そして、製品やサービスの購入アドバイスを検索すると、この問題はさらに深刻になる。というのも、以下の三つの情報源から抽出されたテキストのまとめになりがちだからだ。
- 製品やサービスを提供する企業が運営する宣伝サイト
- 供給元から紹介料を得ることが多いインフルエンサーのサイト
- コンテンツファームが運営する質が低い「ベスト」サイト(「2025年版、最高のオウムケージ10選!」みたいなヤツ)
これじゃ企業のマーケティングメッセージの再構成に過ぎない!
検索エンジン最適化(SEO)がネットの害悪だと考えるなら、人工知能最適化(AIO)はさらに悪質なものとなるだろうとカー先生は指摘する。Google の「AIによる概要」は、今や一般市民の主要な情報源となっているのに、決して公平でも客観的でもなく、驚くほど不正操作の余地が大きいからだ。
検索エンジン最適化(SEO)が検索エンジンとそれを出し抜こうとするいたちごっこだったように、AIO も同様ということですね。カー先生はそのいたちごっこを「猫とネズミのゲーム」と表現しているが、AIO では AI は猫でもありネズミでもある。
カー先生は「スロップ戦争にようこそ」と文章を締めているが、やはり、彼はソーシャルメディア批判でなく『AIバカ』という邦題のつく本を書くべきではなかったか。
