4月になり、大学の先生が選ぶ「新入生に読んでほしい本」、どこぞのエンジニアの方が選ぶ「新入社員に読んでほしい技術書」みたいなリストを目にすることがある。
ワタシも何か選んでみようかと思ったが、少し目先を変えて、文庫本になってほしかった(がならなかった)テック系読み物本という切り口がふと浮かんだ。
前記の「~に読んでほしい本」リストというのは、ある分野の世界で生きる上での教養にあたる本を選んだものではないかと推測する。そうした意味で、テック系読み物本も教養書の役割になるのかもしれないが、ワタシが選ぶのは紙版は絶版のものに限定したいと思う。
こっちの勝手な言い分を書くなら、できれば10年以上前に文庫化されて新しい読者を得ていれば、前述の教養本の役割を果たせたかもしれないということ。今ではさすがに内容が古くなったものもあるので、「文庫本が出てほしい」でなく「文庫本が出てほしかった」というのはそういうことである。
なお、出版社の正確な絶版状況などワタシが知る由もないので、単純に Amazon で単行本の新品がない本を対象にさせてもらう。
以下、だいたい初版の刊行順に並べる。
- スティーブン・レビー『ハッカーズ』(asin:487593100X)
- アラン・C. ケイ『アラン・ケイ』(asin:4756101070)
- G. パスカル・ザカリー『闘うプログラマー』(asin:4822247570)
- エリック・レイモンド『伽藍とバザール: オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト』(asin:4895421686)
- ローレンス・レッシグ『CODE(VERSION 2.0)』(asin:4798115002)
- リーナス・トーバルズ、デイヴィッド・ダイアモンド『それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実』(asin:4796880011)
- ティム・バーナーズ=リー『Webの創成 ― World Wide Webはいかにして生まれどこに向かうのか』(asin:4839902879)
- ばるぼら『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(asin:4798106577)
- Joel Spolsky『Joel on Software』(asin:4274066304)
- ブルース・シュナイアー『セキュリティはなぜやぶられたのか』(asin:4822283100)
Kindle 版が出ているもの、訳者のサイトでほぼ全文読めるものもあるので、紙版が絶版だからアクセスできないわけではないのにご注意ください。
まぁ、ティム・バーナーズ=リーは、昨年出た回顧録の邦訳が出てくれたら『Webの創成』はもういいかなと思うし、↑のリストに物言いをつけたい方はいるだろう。
今にでも「文庫本を出してほしい本」となると、ジェラルド・ワインバーグ先生の本を筆頭に挙げたいが、1987年刊行の『ライト、ついてますか』(asin:4320023684)にしろ、1991年刊行の『コンサルタントの秘密』(asin:4320025377)にしろ新品を入手可能、つまり現役で売れているのはすごい話である。ワインバーグ先生、万歳!
他にもテック系読み物本のロングセラー(で今でも新品が入手可能なもの)では、『人月の神話』、『ピープルウエア』、『デスマーチ』などが代表格でしょうか。これらはもはやテック系の教養本と呼んでもよいのかもしれない。
さて、そもそもテック系読み物本で文庫本になってるものあるのかよという向きもあるかもしれないが、早川書房や草思社は頑張っている印象があり、これからもよろしくお願いしますと書いておきましょう。
