当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2026年版)

今年も私的ゴールデンウィーク恒例企画である「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする」を公開する時期となった(過去回は「洋書紹介特集」カテゴリから辿れます)。

過去一年で本ブログでとりあげた洋書(で未だ邦訳が出ていないもの)をまとめるものだが、今回は全30冊の洋書を紹介させてもらう。というか、ちょうど30冊になるよう調整させてもらった。

既に邦訳が出ていたり、またこれから出るという情報をご存知の方は、コメントなりメールなりで教えていただけると幸いです。

ジェイク・タッパーAlex ThompsonOriginal Sin: President Biden's Decline, Its Cover-up, and His Disastrous Choice to Run Again

まぁ、こうやって取り上げておいてなんだが、この本の邦訳は出ないだろう。大統領としてのジョー・バイデン並びにドナルド・トランプの評価とは別に、狂王トランプについての本は、今もこれからも翻訳され続けるだろうが、バイデンの本はそうもいくまい。

それ自体、不幸なことなのかもしれないが、それは少なからずバイデン自身の責任でもある。

スティーブ・ウィルソン『The Developer's Playbook for Large Language Model Security: Building Secure AI Applications』

著者については@IT の(PR)記事がまとまっている。書籍版が出るまで待てない方は、オライリー本家のサイトの AI 翻訳「大規模言語モデルのセキュリティに関する開発者のプレイブック」を読まれるのがよいでしょう。

Daniel de Visé『The Blues Brothers: An Epic Friendship, the Rise of Improv, and the Making of an American Film Classic』

単体の映画についての本の邦訳は難しいと思うが、未だ好きなんだよなぁ、『ブルース・ブラザーズ』。

そうそう、『ブルース・ブラザーズ』といえば、3月には開業25周年の USJ でブルース・ブラザーズが17年ぶりに再登場なんてのもあったらしいね。

Len Noe『Human Hacked: My Life and Lessons as the World's First Augmented Ethical Hacker』

「世界初の拡張現実エシカルハッカー」とか中二病心をくすぐるじゃないですか!

この本の詳しい情報については本の公式サイトをあたってくだされ。

Sam Cole『How Sex Changed the Internet and the Internet Changed Sex: An Unexpected History』

これの邦訳はさすがに難しいかなと思うが、そういえば彼女が結婚式をあげるにあたり、結婚式についてネットで調べた途端に「ブライダル・アルゴリズム」に飲み込まれたという記事が面白かったな。

ニック・クレッグ『How to Save the Internet: The Threat to Global Connection in the Age of AI and Political Conflict』

ポジショントークそのものというべき主張とも言えるので邦訳は難しいだろうが、前にも書いたように先進国の副首相と世界有数のビッグテック企業の国際問題担当社長の両方を務めた人物となると他にいないわけでね。

なお、ニック・クレッグは今年3月、英国のデータセンター企業の NScale の取締役会に加わったとな。

ジミー・ウェールズ、ダン・ガードナー(Dan Gardner)『The Seven Rules of Trust: A Blueprint for Building Things That Last

やはりワタシは Wikipedia のジミー・ウェールズの本ということで注目するわけだが、共著者が『リスクにあなたは騙される』(asin:415050413X)、『専門家の予測はサルにも劣る』(asin:4864101663)の著者であり、また『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』(asin:476314037X)、『超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条』(asin:4152096446)と本書のような共著経験も豊富なダン・ガードナーとのことで、かっちり読みやすい本に仕上がってると思うわけです。

マーカス・デュ・ソートイ『Blueprints: How Mathematics Shapes Creativity』

ちょうど今日『世界のエリートが学んでいる数学的思考法』(asin:4815630445)が出たばかりの著者の最新刊で、これは黙っていてもいずれ邦訳が出るでしょう。結城浩さんもそうだが、数学をネタに面白い本を書ける人は強いなぁ。

Dan WangBreakneck: China's Quest to Engineer the Future

これは今、絶賛翻訳中だと期待するが、果たして今年中に邦訳出ますかね。

そうそう、少し前にジョゼフ・ヒースが「文明の2つの極:アメリカと中国は人類の未来を示しているのか」でこの本における米中の比較について、「ワンには最大限の敬意を表したいが、この比較は私には表層的に思える」と率直に書いていた。

ジーン・トウェンギ(Jean Twenge)『10 Rules for Raising Kids in a High-Tech World: How Parents Can Stop Smartphones, Social Media, and Gaming from Taking Over Their Children's Lives』

子供のスマホやソーシャルメディアの利用を年齢で制限したいという欲望は世界的潮流で、それ自体は理解できないでもない。ただ、現実には子供たちは抜け穴を見つけるし、年齢確認のために収集した情報もハッカーのターゲットになるなど問題も多いので、難しいには違いない。そうした意味で、親視点に寄り添い、指針を与えるこの本はうまいところを狙ったと思う。

Blaise Agüera y Arcas の本

彼ぐらいのキャリアの人が『生命とは何か?』、『知能とは何か?』という本質的な主題に見える本を書いたとなると内容が気になるところで、しっかりした翻訳で読みたいところである。

昨年秋に来日した彼が行った講演については、「生命はなぜ、生まれざるをえなかったのか」も参考になる。

ティム・バーナーズ=リーThis Is for Everyone: The Unfinished Story of the World Wide Web

Word Wide Web の父の本なんだから、来年には邦訳が読めると期待していいよね?

そういえば、この本についてはニコラス・カー先生が辛辣な書評を書いていて、カー先生らしいなと思ったものである。

Hagen Blix、Ingeborg Glimmer『Why we fear AI: On the Interpretation of Nightmares』

これはブライアン・マーチャントによるインタビューが異様に面白かったので俄然読みたくなった本だが、さすがに邦訳は難しいですかねぇ。

マイケル・ペイリンMichael Palin in Venezuela

いや、正直、今更マイケル・ペイリンの旅行本は邦訳が期待できないことくらい分かっていた。が、今年のはじめに米国がベネゼエラを攻撃し、マドゥロ大統領を拘束というビックリな事態になってみると、途端に彼のベネゼエラ旅行本が注目されるのではという気になったわけである。実際、番組撮影中にマイケルは撮影クルーと共に武装民兵に拘束されるといういかにもトラブルに巻き込まれている(なにせ、世界で最も一人旅が危険な国だから)。

しかし……その後、ドナルド・トランプがあっちゃこっちゃと世界にトラブルを引き起こし続けてしまうと、ベネゼエラへの注目も失せてしまった。残念な話である。

ビル・マッキベン(Bill McKibben)『Here Comes the Sun: a Last Chance for the Climate and a Fresh Chance for Civilization』

ビル・マッキベンというと、『ディープエコノミー 生命を育む経済へ』(asin:4862760295)以降15年以上邦訳が出てないが、まさかまた彼の仕事が注目されることになるとはね。しかし、資源に乏しい日本で再生可能エネルギーを巡る状況は明るくないというのは不幸な話に違いない。

デーヴィッド・マークス(W. David Marx)『Blank Space: A Cultural History of the Twenty-First Century』

デーヴィッド・マークスの本となれば、いずれは邦訳が出るのだろうが、まぁ、来年以降でしょうな。

ティム・ウー(Tim Wu)『The Age of Extraction: How Tech Platforms Conquered the Economy and Threaten Our Future Prosperity』

本来ならこの本の邦訳は、コリイ・ドクトロウ『Enshitification』との比較で論じられてほしいので、両方が同じ時期に出てほしいのだが、そう都合よくはいかないだろうな。しかし、『Enshitification』の邦訳の話もまだ聞かないなぁ……。

Keza MacDonald『Super Nintendo: How One Japanese Company Helped the World Have Fun』

著者は Guardian のゲーム担当記者で、任天堂本社に取材して書かれた本ということで邦訳を期待したくなる。ワタシが引用した箇所も感動的ですらあったし。

ジーン・キム、Steve Yegge『Vibe Coding: Building Production-Grade Software With GenAI, Chat, Agents, and Beyond』

書名が直球すぎてたじろいでしまうが、Anthropic のダリオ・アモデイが序文書いているというのもすごいよな。

ただ、この本の邦訳が出るとして、その頃に「バイブコーディング」の意味合いがどうなってるかまったく読めないのはあるわね。

Cindy Cohn『Privacy's Defender: My Thirty-Year Fight Against Digital Surveillance』

ローレンス・レッシグ、ブルース・シュナイアー、エドワード・スノーデンといったこのブログでもおなじみの面々が推薦の言葉を寄せているが、彼女の仕事を考えれば当然ともいえる。

Paul Fischer『The Last Kings of Hollywood: Coppola, Lucas, Spielberg - And the Battle for the Soul of American Cinema』

これいかにも面白そうな本なのだが、「ハリウッド最後の王たち」が全員生きている間に邦訳が出てくれるかどうか。

コリイ・ドクトロウ『The Reverse Centaur's Guide to Life After AI: How to Think About Artificial Intelligence—Before It's Too Late』

発売は今年6月なので、まだ内容は分からないのだが、そりゃ彼に AI 本の注文は行くわね。でも、それより何より『Enshitification』の邦訳が出てくれ!

Gaia Bernstein『Unwired: Gaining Control over Addictive Technologies』

これは本のテーマ的にとても現在的で重要だと思うのだが、この本についての日本語情報がまったく見当たらないんだよな……。この本については、著者のサイトのページを参照ください。

David Pogue『Apple: The First 50 Years』

ワタシが就職した30年前、Apple Computer はかなり厳しい状態だったわけで、まさか30年後にこうなるとは夢にも思わなかった。その Apple の多くの関係者に取材しながら書かれたその50年史は、人物伝や権力闘争よりもプロダクトを語るものになってるようで、邦訳が期待される。

この本については書籍の公式ページを参照くだされ。

それでは、皆さん、楽しいゴールデンウィークをお過ごしください。

[追記]:

以下、ここで取り上げた本の邦訳が出たのを紹介するエントリをはりつけておく。

yamdas.hatenablog.com

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2026 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)