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Google検索のAIモードはユーザーの好奇心を殺す?

「現在、米国における Google 検索の60%以上は、ユーザーがリンクをクリックすることなく終了している」という文章から始まるが、要は Google の AI モードの問題点を論じる文章である。

生成 AI が質問に即座に回答を返すことで、かつてインターネットを彷徨うような旅だったものが、目的地に即座に到着できるようになった。リンクを辿ったり、予期せぬページにたどり着いたり、参照情報を追ったりする、検索における「探索段階」が消えつつあるわけだ。

これは(ワタシを含む)ネット上にコンテンツを公開する人間にとって、ウェブサイトへのトラフィックが減少し、そこから収益を得るチャンスが減るので憂慮すべき事態である。

でも、質問するユーザーからすれば、信頼できる答えをより早く得られて何が問題なの? と考えて不思議でもない。

脳科学者で、かつて Google で働いていた経験もあるこの文章の著者は、質問から答えを得るまでの時間を短縮することで好奇心を損ない、(逆説的だが)我々が世界を理解する能力を脅かしていることを問題視している。

彼女が引き合いにするのは、興味深い質問への答えを探る「好奇心がある」状態にいる人は、その過程で遭遇した無関係な情報をもはるかに良く記憶するという研究である。答えを待つ間に、脳内の報酬回路が活性化され、海馬が記憶の形成を助ける準備が整うということらしい。

つまり、好奇心は脳全体を感受性が高まった状態に導くのだ。好奇心は「窓」を開き、その窓が開いている間、あらゆる分野での学びが深まるという。でも、その「窓」は、その疑問が未解決の間しか開いていない。Google が AI の要約で3秒で答えをズバリ出してしまうと、好奇心が深まる前に窓は閉じてしまう。

求めていた情報は手に入る。しかし、その好奇心を「学び」に変えるもの、つまりは関連記事や、元々の疑問から派生して追いかけたかもしれない脱線、一見関係のないアイデアのつながりといったものを失ってしまう。

研究者はこれを「偶発的学習(incidental learning)」と呼んでおり、これこそ多くの偶然の発見の背後にあるメカニズムなのである。科学的なブレイクスルーや芸術的な飛躍、何より技術革新は、既知の情報を効率的に検索することではなく、目的を定めない探求の期間において、予期していなかったものを見つける過程から生まれてきた。

ソーシャルメディアの「無限スクロール」の依存性と異なり、質問と答えの間を排除する「自由な好奇心の喪失」は、集団訴訟や規制当局の介入につながることはない。しかし、質問自体が「終着点」となり、既成の結論を抽出するのにだけ長けることに著者は危惧する。

この文章の著者の Anne-Laure Le Cunff は、Tiny Experiments という本を昨年出しており、蓮見祥子氏のブログが内容の分かりやすい要約になっている。現代の「目標至上主義」に警鐘を鳴らしているところは、この文章にも通じると言えるだろう。

ネタ元は kottke.org

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