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音楽産業のロングテールとニール・ヤングの偉大な仕事と誤った認識

『デジタル音楽の行方』の訳者あとがきにも書いたが、この本を訳していて、「ロングテール」理論との親和性を何度も感じた。それを裏付けるように、本家 Chris Anderson が Wired に The Rise and Fall of the Hit という音楽産業のスターシステムの終焉とニッチ市場の意義についての文章を書いている。

そして、既存の音楽産業から多様性が失われているという話についても関係する話があって、Neil Young が衝動的に『Living with War』というアルバムを作り、ネット公開後リリースしたが、そのときに「若いプロテストシンガーが現れるのを待っていたが、ちっともそういう気概のある奴が出てこないので自分で作った」といったコメントを出していた。

それに対して Stephan Smith が二つの文章で反論している。

大雑把に主張をまとめると、プロテストシンガーはいっぱいいる(例えばオレ)けど、そうした人の音楽は企業により統制されるメインストリームのラジオでは絶対かからないし、メジャーレーベルと契約もできないからニール親父の耳に届かないんだよというもので、ワタシはニール・ヤングの衰えない活動には常に敬意を払っているし、確か『デジタル音楽の行方』のアーティスト訳注でも最も長い行数を費やした記憶があるが、現状認識としては Stephan Smith のほうが近い。

しかし、彼にしてもニール・ヤングにしても頼る先としてインターネットがあるという認識は同じで、レコード産業の死は音楽産業の死ではないと書く『デジタル音楽の行方』につながるわけである。

それはともかく、『Living with War』については全曲の日本語訳を公開しているページがあるのでそちらを参照いただきたい。

Living With War

Living With War

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