いやぁ、画の美しさが印象的だった。子供時代の主人公二人がデートで遊ぶ二人が顔を出すオブジェ、それとあの恐竜みたいなヤツとか、そして女の子家族が北米に移住してからもカットの美しさをところどころに感じた。
そうそう、坂の町と呼ばれる長崎で生まれ育ったワタシにしてみると、子供時代の二人が学校からの帰途のぼっていく坂道、そして、坂道の途中、女性の家の前で別れるところのカットもなんとも良かったな……と思いきや、あの家の前のカットが最後に一瞬だけ出てきたときは、映画館で一人あっと声をあげてしまった。
本作について話の大筋は知っていたが、ここまでほとんど韓国語の映画だとは思ってなかった。ようやくアメリカ人も1インチの字幕の壁を受け入れたのだなと勝手に感慨深いものがあった。
本作のストーリーについて、ワタシが書くことは特にない。本作で主人公の二人を分かつのは、いうまでもなく米国と韓国の距離であり、お互いそれぞれの人生を歩んだ時間なわけだが、なまじ Skype なんかでつながれてしまう残酷さが出ていた。
バーで主人公の男性と女性の夫が二人だけになる場面で、ジョン・ケイルの "You Know More Than I Know" が流れる。前にこの曲が映画で使われていたのは『パーム・スプリングス』だったか。アイランド時代のジョン・ケイルの曲が使われる映画に悪いものはないのだけど、本作でのこの曲は、夫側の心象を表現したものと受け取った。
そして、クライマックス、女性が住む家から韓国に帰る男性を見送り、そして戻っていく横移動のカット! あれだけ緊迫感のある横移動を観たのは『ROMA/ローマ』以来だった。