2年以上前のエントリになるが、そこで紹介したマックス・チャフキンによるピーター・ティールの伝記『The Contrarian』の邦訳『無能より邪悪であれ ピーター・ティール シリコンバレーをつくった男』が今月出ていたのを知る。
原書は「逆張り屋」という意味だが、邦訳は「シリコンヴァレー随一のヴィラン(悪役)でカリスマ」なピーター・ティールに相応しい(笑)邦題がついたものですなぁ(版元のサイトに個別ページがまだできていないのはなんで?)。
しかしさぁ、「シリコンバレーをつくった男」っていくらなんでも盛りすぎだろ。マーガレット・オメーラ『The CODE シリコンバレー全史 20世紀のフロンティアとアメリカの再興』を読めば(いや読まなくても)、ティールが生まれた時点でシリコンバレーは既にテックセクターの集積所だったことが分かるっての。
それはともかく、なにしろ「逆張り屋」なんて原書タイトルの本ですから、ピーター・ティールという今やシリコンバレーを代表する「テック・オリガルヒ」の、一筋縄にいかない、時に明らかに矛盾しているように見える彼を批判的に論じる本書が出てよかったと思います。
原書は2021年に出ているので、その後3年ばかり経っているが、彼の場合、あまり人目を引くタイプではないので、その点、イーロン・マスクと異なり、落差は少ないだろう。