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【絶景】Windowsスポットライトに近いアングルで十年前に写真を撮っていた【十二使徒】

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来」の宣伝ばかりでも嫌がられそうなので、それから離れたちょっとした話題を。

先日、トイレから戻ってパソコンの画面を見たら、何か見た覚えのある景色が写っている。

調べてみたら、確かに自分は Windows で使われているのと近い構図で写真を撮っていた。

Windows 10 マシンで一定期間操作がないとロック画面にきれいな景色が写し出されるこの機能の名称を、実はワタシは知らなかった。これの正式名称は Windows Spotlight なんですね。

さて、今回ワタシがこの機能に注意を向ける契機となった写真について調べてみたくなったのだが、果たしてこういうのはどうやって調べればよいか分からない。しばらく考えて、この写真に写っている The Twelve Apostles で検索したらビンゴだった。

windows10spotlight.com

Windows Spotlight の写真を集めたサイトもあるんですな。このサイトに掲載されている写真と、ワタシが撮影した以下の写真を比べていただきたい。

結構構図が近くない? しかし、悲しいかな、ワタシが撮影したときは11月の雨が降ったり止んだりな天気だったため、また後述するように古い iPhone で撮影したものなので、フィルターなしでは映えが明らかに欠ける(けど、あえて加工なしでアップロード)。

上でもリンクしているが、これらの写真に写っているのはオーストラリアはビクトリア州にある The Twelve Apostles で、つまりは「十二使徒」ですね。

ワタシがここを訪れたのは2011年11月で、つまりは今年で10年になる。そのときはメルボルン郊外在住の友人を頼った旅だったが、入国審査に提出する用紙の「この国のどこに滞在するか?」の質問に堂々「メルボルン州」と書いて呆れられたのは懐かしい思い出である(バカ)。

さて、ワタシのブログの古参読者ならご存知だろうが(そんな人が実在するかは知らんが)、その友人は以下の人気エントリにも登場する。

yamdas.hatenablog.com

yamdas.hatenablog.com

個人的な話になるが、ここ数年隔年でゴールデンウィークに海外旅行をしており、その流れでいうと今年はその番で、以前は台湾かオーストラリアあたりを考えていたのだが、ご存知の通りの事情でそれは実現しない。果たしてまた観光で海外旅行に行けるようになるのはいつの話か……と思いながら見ると、「十二使徒」がまた違って見えてくる気がする。

テッド・チャンはAIでなく資本主義を恐れる

www.nytimes.com

昨年後半に Vox の編集主幹から New York Times のコラムニストに転身した気鋭のジャーナリストであるエズラ・クラインのポッドキャストに、当代最高の SF 作家のひとりであるテッド・チャンが出演している。

www.newyorker.com

そういえばテッド・チャンというと、少し前には New Yorker に、シンギュラリティなんてこないよと論じる文章(日本語訳)を寄稿しており、これが普通の作家なら、新刊のプロモーションなのかなと思うところだが、寡作で知られるテッド・チャンにそれはない、よね?

エズラ・クラインのポッドキャストに話を戻すと、アーサー・C・クラークの有名な「十分に発達した技術は魔法と区別がつかない」という言葉をテッド・チャンがお気に召さない理由に始まり、錬金術、宗教、スーパーヒーロー、自分が死ぬ日が分かるなら知りたいか?(テッド・チャンは知りたいそうだ)、自由意志、など話題は多岐に渡るが、やはり面白いのは AI と資本主義の関係についての話である。

yamdas.hatenablog.com

テッド・チャンは3年以上前にもこのあたりを論じているが、AI に対する恐れの大半は、資本主義に対する恐れであり、それはテクノロジー全般にもあてはまり、今やテクノロジーと資本主義は非常に密接に絡み合っており、この二つを区別することは難しいと語る。

そして、デンマークなど、国民皆保険があり、育児がしやすく、大学の学費は無料の国と、アメリカのような資本主義の国では、テクノロジーへの恐れの度合いは変わるのではないかと語る。アメリカのような資本主義国では、テクノロジーはコスト削減と企業利益の旗印のもとに人々を失業させ、生活を困難にするものだから。

しかし、コスト削減を求めるのは(テクノロジーではなく)資本主義である。あらゆるテクノロジーが善というわけではないが、社会的セーフティネットが整った世界であれば、コスト削減と企業利益のためだけでなくテクノロジーの長所と短所を評価できるようになるのではないか。

技術革新とともに失業が避けられないという話を議論する際に、この点が検証されないままになっているように感じるとテッド・チャンは述べている。問題は資本主義であり、しかし、我々はその資本主義に疑問を抱くこと、そこから逃れることはできないというのが前提になってしまっている、というわけだ。

テクノロジーの長所と短所の評価を資本主義の枠組みから切り離して考えることができるようになってほしい、とテッド・チャンは願っており、資本主義を内面化してそれに最適化してしまうことに警鐘を鳴らしている、とワタシは解釈した。

ネタ元は kottke.org

そうそう、エズラ・クラインは昨年 Why We're Polarized を刊行して賛否両論を巻き起こしたが、これは邦訳出ないのかねぇ。日本でこの本を少しでも論じた記事は「米国の分断を加速させるサンダースの功罪」くらいしか読んだことがないが。

Why We're Polarized

Why We're Polarized

  • 作者:Klein, Ezra
  • 発売日: 2020/01/28
  • メディア: ハードカバー

息吹

息吹

息吹

息吹

ケヴィン・ケリーの新刊は3巻1000ページもの分量の『消えゆくアジア』とな

『〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則』に続くケヴィン・ケリーの新刊は、Kickstarterクラウドファンディングで資金調達し、しかもテーマがアジアだという。

一瞬、前作が中国で最初に出版され、かなり売れたことでのアジアシフトかと邪推したが、もちろんそんなものではなく、40年かけて35ものアジアの国々を旅行したケリーの豊富な経験をもとにしたもので、しかも、Vanishing Asia、つまり現在のアジアから失われつつあるものがテーマとのことで、単なるアジア礼賛ではない。

なんで彼がクラウドファンディングを利用するんだろうと思ったら、全3巻、1000ページもの分量になるとのことで、確かに三分冊を普通の商業ベースで出すのは難しかろうと納得である。西アジア中央アジア、東アジアでそれぞれ1冊ずつ、しかも東アジアの表紙が日本の花嫁衣裳の白無垢というのにオリエンタリズムを感じて、神経をとがらせる人がいるかもしれないが、この本の趣旨については本人の説明を読むなり聞くのがよかろう。

kk.org

クラウドファンディング自体は、予定金額を大幅に超えて支援者を無事獲得しており、全3巻の刊行は実現する見込み。

そういえばケヴィン・ケリーというと、今話題のデジタル資産 NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)に入れ込んでいるクリス・ディクソンが、ケリーのもはや古典的存在である「千人の忠実なファン」を引き合いに出して NFTs and a Thousand True Fans という文章を書いていたっけ(参考:NFTと1,000人の真のファンとは?)。

ネタ元は Boing Boing

柳瀬博一さんのおかげで榎本幹朗『音楽が未来を連れてくる 時代を創った音楽ビジネス百年の革新者たち』が出ているのを知る

www.joinclubhouse.com

もはや Clubhouse アプリを立ち上げることも稀になってしまったが、柳瀬博一さんのこれの告知にピンとくるものがあったので聞いてみたら、榎本幹朗さんの『音楽が未来を連れてくる 時代を創った音楽ビジネス百年の革新者たち』が2月に出ているのを知ることができた。柳瀬さんに感謝である。

榎本幹朗さんのことは、Musicman-NET での連載を読んですごく面白いと思ったし、その電子書籍化の際にもブログで取り上げている(その1その2)。

しかし、そのうち連載が Musicman-NET から消え、電子書籍もパート3は出ず、Yahoo! 個人ブログも2018年11月を最後に新しい文章の公開がなく、正直どうされているのだろうという気持ちがあった。

なので、氏の文章がこうしてまとまった形で本になったのを知り、とても嬉しい。

www.musicman.co.jp

刊行を記念したインタビューで、そのあたりの沈黙の理由も語られているが、なかなか迫力のあるインタビューだな。

「水のような音楽」を謳う訳書『デジタル音楽の行方』が出て15年以上経ち、ここまで来たんだなぁと思ってしまう。

ノマドランド

帰省時に少し時間ができ、映画に出向いたのだが、『花束みたいな恋をした』と『ノマドランド』のどちらを観ようか悩むこととなった。実は前者にしたかったのだが、その日の後の用事に影響が出るのを恐れ、終映時間が早い後者を選んだ。

本作は、2008年のリーマンショック以降に顕著になった、自家用車で寝泊まりし、全米各地を移動しながら働き続けざるをえない高齢者たちの姿を描いたものである。

上の概要を聞いただけだと悲惨で救いのない話に思えるが、そのように描いていないのが興味深い。例えば、本作には主人公たちの働き先としてアマゾンが何度も登場するが、何かしらの告発のトーンはほぼ皆無である。ケン・ローチのような映画を期待すると肩透かしにあう。

「自分はハウスレスだけどホームレスではない」という主人公の台詞もあるが、同じ境遇の人たちとの互助精神とアメリカ人らしい DIY 精神が先に来ていて、見ていて暗くはならない。出演者の多くが、原作にも登場している「ノマド」の人たちなのもその裏付けになっている(その中の一人がタトゥーに書き込んでいるスミス/モリッシーの歌詞が本作によく合っていた)。

そしてやはり、主人公を演じるフランシス・マクドーマンドの演技の力も大きい。ワタシは彼女のことを昔から当代きっての名女優と評価しているが、『スリー・ビルボード』に続いて、本作の演技も見事だった。

もちろん、本作でも彼らの暮らしのしんどさはちゃんと描かれていて、ただ主人公の生き方を肯定するだけではない。前述の通り、主人公は「自分はハウスレスだけどホームレスではない」と言い切るが、ノマドな生き方は昔の開拓者のようでアメリカの伝統だという彼女の妹の気遣いの言葉に、主人公はいら立ちの表情を隠せない。

日本に住むワタシから見れば、高齢者にもなって定住もできず、就寝も排泄にも苦労がある車上暮らしはとてもではないが憧れの対象にはならない。互助精神を発揮して一種の共同体を構成する主人公の仲間たちは意外にも女性が多い。これをホワイトトラッシュの女性版と考えるのは間違っていて、その証拠に本作に登場するノマドたちは主人公をはじめとして貧困層出身でない人も多く、それなりの学歴を感じさせる人が多い。

さらに書けば、主人公の仲間たちは明らかに白人が多い。これは「『ノマドランド』が男女格差を描いた女性映画でもある理由」にもあるように、有色人種(の女性)であれば車上生活すらままならず、警察に睨まれるというアメリカ社会の分断、なによりセーフ―ティーネットの底が抜けた社会の闇を感じずにはいられない。

本作は映し出されるアメリカの自然風景は、マジックアワーを活かした撮影もあり、微妙な美しさを湛えている。しかし、とてもではないがワタシはそれにうっとりとなる心持ちにはなれなかった。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その43

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、考えてみればこれってはある種の「秘密」がある本だよね、と今更思い当たってツイートしたところ、既に感想をいただいている方々からコメントをいただいた。ありがたいことである。

フレンチのコース料理の後に北京ダックが丸ごと!(笑)

ここまでやればお得感を感じてくれる、と思ったところが著者の貧乏人根性なのかもしれない。

そうなんですよ、なにより「開かれたウェブ」という本題についての濃厚な本なのです。

さて、以下のようなコメントもいただいている。

ありがたいことである。ただ実際には特別版という名の物理本も売っていたりするのだが、言いたいことはよく分かります。本家電書版、Kindle 版、特別版の内容の違いについては、過去エントリの表を参照いただきたい。

そうそう、Kindle 版についても感想コメントをいただいている。

この本単体で閉じるのではなく、読者の興味に応じてそこからの広がりがある本を目指しており、いくつものトピックでそれに足るトスをあげていると思うので、こういう感想は嬉しい。

ビル・ゲイツもAI分野の必読書と推した『マスターアルゴリズム』邦訳が原著刊行から5年以上の時を経て出る

www.kamishima.net

ペドロ・ドミンゴスの『The Master Algorithm』は、ビル・ゲイツが AI 分野の必読書に挙げていたので注目し、ワタシも何度か文章の中で引き合いに出している。

そして、邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2017年版)でも取り上げているが、この原著が刊行されたのは2015年である。それから5年以上経ち、もうこれは邦訳の話は流れてしまったかと半ば諦めていたところ、『マスターアルゴリズム 世界を再構築する「究極の機械学習」』の邦題で刊行される。ワオ!

刊行はおよそ一月後だが、上でリンクした訳者の方のサイトで、各章の概要や訳者あとがきが一足早く読める。未翻訳ブックレビューも参考まで。

デヴィッド・ボウイはドラマ『ハンニバル』に主人公の叔父役で出演予定だった

screenrant.com

マッツ・ミケルセンハンニバル・レクター博士を演じたドラマ『ハンニバル』はワタシも好きで全部見ているが、デヴィッド・ボウイが出演するかもしれなかった話は知らなかったな。

ボウイにオファーされたのは、ハンニバルの叔父であるロバート・レクター伯爵役で、このキャラクターはトマス・ハリスの原作では『ハンニバル・ライジング』に少し出てくるだけのようだが、このドラマのショーランナーであるブライアン・フラーはこのキャラクターを膨らませる構想を持っており、その役にデヴィッド・ボウイを考えていたというのだ。

ボウイも乗り気だったようだが、最終的には音楽制作で忙しいのでキャンセル、後のシーズンでの登場を検討、となった。ブライアン・フラーは後に、ボウイの出演がオファーされた 2nd シーズン制作時点で、既に彼は病を抱えていたため、出演が本決まりにならなかったのではないかと回想している。

ドラマ『ハンニバル』は評価は高かったものの、なにせあれだけ猟奇殺人が描かれる作品だったため、結局 3rd シーズンで打ち切りになってしまい、ボウイも2016年はじめに遺作とともに鬼籍に入ってしまった。あのドラマのファンだった人間としては、マッツ・ミケルセンとボウイの共演が実現していたら最高だったと思うが、残念なり。

ネタ元は Boing Boing

今になってピンク・フロイドのネブワースライブがリリースされる意義

nme-jp.com

このニュースに関する記事をいくつか見たが、なんでこのライブが重要な理由というか核心にどこも触れてないのか不思議になる。

具体的には、なんで誰もクレア・トリーに言及しないんだ?

ニック・メイスンはキャンディ・ダルファーとマイケル・ケイメンの参加に言及しているが、いやいや、そうじゃないでしょう。

間違いなく彼女は一曲のみの参加で、その曲は "The Great Gig in the Sky"(邦題は「虚空のスキャット」)に決まっている。そう、ピンク・フロイドの最高傑作『狂気』収録のオリジナルでこの曲を歌っている人である。彼女がピンク・フロイドのライブでこの曲を歌ったのは、これが最初で最後ではないかな?(違ったらすいません。ロジャー・ウォーターズのライブでは何度か歌ったことがあるはず)

そんな貴重な機会が実現したライブなのに、それに触れないのはおかしい。

amass.jp

と思っていたら、ちゃんとピンク・フロイド公式の YouTube チャンネルでクレア・トリー参加の "The Great Gig in the Sky" が公開されている。やはりこれが目玉なんですよ。

この映像自体は以前から YouTube にあがっていたのだが、やはりこれは1990年のネブワースライブでの映像だったのだな。

この曲のレコーディングでは、ピンク・フロイドが作った音が見事すぎて、録音時歌手が歌えなくなったとかいう逸話を昔なにかで読んだことがある。クレア・トリーはアラン・パーソンズの紹介でこの曲に参加したが、普通の歌ではなく、声を楽器のように使うのが最適と分かるまで時間がかかったというのが実際のところのようだ。

歌入れは2テイク行われ、その後デヴィッド・ギルモアがもうワンテイク要求したが、3テイク目は途中でクレア・トリーの声が止まってしまい、結局はその3テイクをつなぎ合わせてこの曲は完成している。

後にクレア・トリーは裁判を起こして楽曲の作曲クレジットを獲得しているが、彼女は歌詞なしの歌唱、しかも1曲のみでロックの歴史に名前を刻んだわけで、そんなのこの人くらいではないだろうか。

Live At Knebworth 1990

Live At Knebworth 1990

  • アーティスト:Pink Floyd
  • 発売日: 2021/04/30
  • メディア: CD

Dark Side of the Moon-Experience Edition (2 CD)

Dark Side of the Moon-Experience Edition (2 CD)

  • アーティスト:Pink Floyd
  • 発売日: 2011/09/26
  • メディア: CD

『メーキング・オブ・モータウン』は幸福なテックスタートアップの話みたいだった

コロナ禍と個人的な事情のアレコレで、観たい映画はいくつもあれども、なかなか映画館に足を運ぶ都合がつかない。ある時期から、家で観た新作でない映画についてはブログで取り上げなくなったのだが、本作は昨年の公開時には映画館で観れずに悔しい思いをしたけど Netflix に入ったおかげで観れて嬉しかったので例外的に取り上げたい(公式ページ)。

モータウンというと、ファンク・ブラザーズに光を当てた『永遠のモータウン』という優れたドキュメンタリー&ライブ映画が存在するが、こちらはベリー・ゴーディ社長とスモーキー・ロビンソン副社長を主な語り手として、モータウンのタレントたちも続々登場する正史に近いものである。

面白いことに映画の内容は、ベリー・ゴーディのヴィジョン、スモーキー・ザ・ポエット、会議の多い会社、ファンク・ブラザーズ、ソングライター同士の競い合い、辣腕バーニー・エイルズ、アーティスト・ディベロップメント、ロスへの移転――とピーター・バラカン『魂(ソウル)のゆくえ』モータウンの章に書いている話に極めて近い(もちろんベリー・ゴーディの搾取話はない)。

そういえば、『魂(ソウル)のゆくえ』は一昨年に新版が出ているんですね。

新版 魂(ソウル)のゆくえ

新版 魂(ソウル)のゆくえ

新版 魂のゆくえ

新版 魂のゆくえ

面白そうといろんな人たちが引き寄せられてそれぞれが才能を開花させ、激しく競争し合いながらも家族意識があり、良いサイクルが回っていくところなど、テックスタートアップの話みたいとワタシは思った。

しかし、音楽は分かりやすい。テックスタートアップのすごさを見せるのにそのサービスの画面を出したところで迫力不足だが、音楽はそれを良いタイミングで鳴らすだけでよい。しかも、本作の場合、それが綺羅星のようなモータウンのヒットチューンなのだ!

ワタシがテックスタートアップの話を連想したのは、ソングライター/プロデューサーでもあったベリー・ゴーディが、コードが書けるテックスタートアップの創業者と重なって見えたから。

70年代に入ると、各自の自己主張がモータウンの枠を超えて人が離れだし(スモーキー・ロビンソンがロスへの移転に大反対だったというのは興味深い)、特にスティーヴィー・ワンダーマーヴィン・ゲイのようにベリー・ゴーディのヴィジョンを完全に超えてしまう人も出てくる。マーヴィン・ゲイが歌うベトナム戦争や環境問題、あとドラッグ使用を歌う「クラウド9」に難色を示すゴーディに対し、創造性を発揮しろといったのはあんただろう、という感じで教え子たちに押し切られてしまう構図をテックスタートアップに置き換えてみるとどうなるだろうか。

しかし、アメリカのドキュメンタリーを見ていて感心するのは、ちゃんと古い映像を残しているところ。

本作でもデビュー前のマイケルが歌い踊る映像があるが、なんといってもスープリームスの最初のヒット曲のレコーディングで、ダイアナ・ロスが面白くなさそうにしている映像が残っているところがすごい。

あと以前からモータウンについて疑問に思っていたことがあり、これもピーター・バラカンの本で読んだ話かは思い出せないが、モータウンにはスモーキー・ロビンソン作の社歌があるという話。

この映画のエンドロールがまさにその疑問の答えになっており、出演者が一様に「オレに歌わせるなよ」「もう覚えてない」と笑い、思い出そうとした人も歌詞が出てこない中で、ベリー・ゴーディスモーキー・ロビンソンの二人だけがノリノリで歌う姿にワタシは不覚にも涙してしまった。

ゴーディが「自分が作るなら、この映画はスモーキーとオレだけだ。あとは抜きで」とはじめのほうで宣言する理由がよく分かる。

あと個人的には、ニール・ヤングさんがモータウンに所属したことのあるミュージシャンとして普通に在籍時の話を話していたのが可笑しかった。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その42

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、言及を Twitter で見かけて嬉しくなったので紹介させてもらう。

なるほどねぇ、もはや「レトロフューチャー」の域に達しているという見方もあるわけか。

「インターネットの自由という夢」に幻想持っている人はもはや少ないだろうが、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の追加コンテンツ「付録A インターネット、プラットフォーマー、政府、ネット原住民」では、その現状を踏まえた上でそれに抗する論を取り上げており、その一つにティム・ウーの(当時の)新刊の内容を取り入れているのだが、ここで彼の名前を挙げた理由は次のエントリを読んでください(笑)。

www.amazon.com

さて、これは『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応ではないのだが、エゴサーチをしていて、Kindle 版が Amazon.com 本家をはじめ、日本以外の Amazon 各国版で普通に買えるのに気づいた。

考えてみれば不思議ではないのだけど、いや、やはりちょっと不思議な感じ。レビューの数が日本版よりも1個少ないのはどういう理屈だろう。

それはともかく、『This is Not the End of the Open Web』という英語題は著者の意図を反映したもの、というか正確に書けばこのタイトルの元ネタを踏まえたものだったりする。

「GAFAの天敵」ティム・ウー&リナ・カーンのバイデン政権入りとティム・ウー『巨大企業の呪い ビッグテックは世界をどう支配してきたか』刊行

news.yahoo.co.jp

「ネット中立性」という言葉の発明者として知られるコロンビア大学教授のティム・ウーのバイデン政権入りには、彼がテック大企業への独占禁止法適用論者であり、Facebook 解体を強く主張していることを考えると驚いたわけだが、その意義について日本語圏のネットでちゃんと書いている人というと平和博さんくらいしかいなかった。

New York Times の記事にもあるように、ティム・ウーはおよそ10年前にも政権入りしており、再度のチャレンジと言える。

www.nikkei.com

ティム・ウーに続いて Amazon の天敵リナ・カーンまで政権入りするというニュースには、これはバイデン政権は GAFA に代表されるテック大企業の独占に本気でメスを入れるつもりかと思わせる。

リナ・カーンはコロンビア・ロー・スクール准教授だが、まだ30代前半で、その若さで抜擢されるところなど日本を見ていると羨ましい。彼女の発言がフィーチャーされている日本語圏の記事って Wired の「テック企業への個人情報の集中による、新しい「独占資本主義」の始まり──規制の動きが欧米で活発に」くらいしか読んだことがないが、彼女の名前を一躍とどろかせた Amazon’s Antitrust Paradox はどこかに訳されてるのかな。

yamdas.hatenablog.com

さて、2018年にティム・ウーのテック大企業への独占禁止法の適用を論じた新刊が出たときはもちろん取り上げている。彼の本って『マスタースイッチ』は出たが、それに続く『The Attention Merchants』は結局邦訳が出なかったので、今回も厳しいかと思ったら邦訳が出るのを Twitter で教えていただいた。

著者の連邦政府入りと刊行のタイミングが重なったのは多分偶然だろうが、これは良い宣伝文句ができたんじゃないかな? しかし、この本に限ったことじゃないけど、Amazon にページができているのに版元の朝日新聞出版のサイトにページができていない。こんなんだから、あんたら Amazon においしいところを持っていかれるんだよ。

機械学習分野の求人面接でもっとも聞かれる20の質問(と答え)

www.datasciencecentral.com

確か Facebook で知ったページだが、機械学習分野の求人面接でもっとも聞かれる20の質問と答えといったところか。とりあえず質問(と答え)をざっと訳してみる。ワタシはその筋に特に通じているわけじゃないので、誤訳があったらゴメン!

  1. 機械学習技術の手法を3つ挙げてください(教師あり学習教師なし学習強化学習
  2. 教師あり学習が扱う問題には何があるでしょう(分類問題、回帰問題)
  3. 教師あり学習教師なし学習でもっともよく使用される技術をいくつか挙げてください(重回帰分析やロジスティック回帰など)
  4. 分類や回帰の技術を適用する必要があるかどうやって決めますか?
  5. 機械学習における次元削減とはなんでしょう?
  6. データセット上で次元削減を行う手法を挙げてください(因子分析や主成分分析など)
  7. NLP とは何でしょうか。NLP機械学習の関係を説明してください(NLP自然言語処理(natural language processing)のこと)
  8. 機械学習不均衡データをどう扱いますか?
  9. 最小二乗法(Ordinary Least Square:OLS)で回帰を行う際の前提はなんでしょう?
  10. 機械学習ディープラーニングの違いを説明してください
  11. データセットにおける欠測データをどう処理しますか?
  12. 機械学習ソリューションを終わらせるために終端を構築するもっとも一般的なステップをいくつか挙げてください
  13. 機械学習アルゴリズムの現実世界での応用をいくつか挙げてください
  14. データマイニング機械学習の違いはなんでしょうか?
  15. 機械学習の分野であなたが直近に読んだ本や研究論文を教えてください
  16. 機械学習アルゴリズムにおける F1 スコアの重要性を教えてください
  17. 決定木アルゴリズムにおける枝刈りはなんでしょう、またどうやって決定木を剪定するのでしょうか?
  18. なぜアンサンブル学習が利用されるのでしょうか?
  19. どんなときにアンサンブル学習を行うべきでしょうか?
  20. アンサンブル手法における二つのパラダイムを教えて下さい

これくらいの質問にスラスラ答えられるようにならないといかんのかねぇ。大変だ。

ちょこっとだけ回答まで手を出しているが、詳しい回答については原文をあたってくだされ。

プライバシーとセキュリティ面でもっともセキュアな6つのLinuxディストリビューション

linuxsecurity.com

普段利用する Linux ディストリビューションは、特に事情がなければ Ubuntu なり Fedra なり Debian なり、使い慣れたものを使えばよいのだろうが、ペネトレーションテストを行うような人であればプライバシーやセキュリティに特に配慮されたセキュアなディストリビューションを選択する必要がある。

この記事はそうしたセキュリティ特化型 Linux ディストリビューションを以下の6つ選んで紹介しているが、恥ずかしながらこのあたりについてワタシの知識は古いので、こういう記事は参考になる。

それぞれの選定理由と優れたところは原文をあたったくだされ。

ワタシ自身がまともに使ったことあるのは、ペネトレーションテスト(の疑似環境)の用途で Kali Linux だけだったりする。

そういえば Qubes OS については何かで読んだことあったなと記憶を辿ったら、山形浩生がインストールガイドを書いていたエドワード・スノーデン推奨とのことだが、彼はもう Tails は使ってないのかな?(スノーデンの自伝を読んでないのがバレるが)。

ネタ元は Slashdot

ホワイトハッカー入門

ホワイトハッカー入門

  • 作者:阿部ひろき
  • 発売日: 2020/10/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

テレビ番組司会者のジャーナリストと量子物理学博士号をもつサイエンスライターのコンビが人気映画を科学的に考察する本の第二段が出ていた

www.newsweekjapan.jp

おーっ、ジャーナリストで人気テレビ番組司会者のリック・エドワーズと、量子物理学の博士号をもつサイエンスライターのマイケル・ブルックスのコンビによる人気映画を科学的に考察する本の第二段『ハリウッド映画に学ぶ「死」の科学』が1月に出てたんだな。知らなかった。

yamdas.hatenablog.com

ワタシはこのコンビの前作にあたる『すごく科学的 ―― SF映画で最新科学がわかる本』の原著をブログで紹介していたんですね。

さて、今回の新刊は「死」の科学がテーマで、(原著はコロナ禍前に刊行されたにも関わらず)第1章で論じられているのが映画『コンテイジョン』というのはナイスよね。

他にも『アルマゲドン』『トゥモロー・ワールド』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』など有名ホラー映画以外もいろいろチョイスされていて今回も面白そう。

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