この文章の後半に書かれる、Vice の経営陣が最後あたりに考えた「ウェブサイトを捨てて」「ソーシャルメディアで発信する」という新しいビジネス戦略(?)の逆をやったのが、「Googleからウェブサイトへのトラフィックがゼロになる日」で取り上げた The Verge の「ホームページに多額の投資をし、ウェブサイト自体をダイナミックな目的地とすることを目指した大規模な再設計」だったのだなと思い当たる。
これは8月に公開されたポッドキャストだが、目を通したのは WirelessWire News 原稿を書いた後だった。インターネットを代表する風刺サイト、嘘ニュースサイトとして知られる The Onion が所有者を転々とした後、ある意味 404 Media のように当事者たちの手で復活し、紙メディアにまで再進出するという驚きの話が読める。
当然ながらというべきか 404 Media など、ワタシの文章でも取り上げた「新たなオルタナメディア」への言及がある。具体的には Dropout がサブスクリプションで成功しているのに言及した後である。
それに彼らだけではない。このモデルの先駆者だったのが、Defector や Aftermath や 404 Media だ。我々も、購読者にかなり依存して、彼らを本当に喜ばせ、メールで何か送ることができるが、他のことだってできる。動画を作ってもよい。昔ながらのやり方で広告を売ることもできる。それが我々がやろうと決めたことだ――人々をだまして始終何かをクリックさせるのじゃなくて、我々のコンテンツを純粋に好きな人たちを基盤にする会社を立ち上げることで、そこが我々の現在地なんだ。
The Onion も Defector 以降の独立系メディアのモデルを多いに参考にしているわけだ。
そして、FOSS の理念は弱体化しているのかもしれないと Byfield は書く。2006年から2007年にかけての GNU GPLv3 の議論をしていた頃がフリーソフトウェア財団(FSF)の権威のピークであり、その後リチャード・ストールマンが解任されたし(後に理事に復帰)、Linux Foundation は元から企業重視で、FSF の代わりにはなれない。
私は怒った。給料のスクリーンショットをツイートした。それからジェイソン、サム、エマニュエルと私は、新しいアイデアについて話を始めた。もし自分たちで責任をもって持続的に成長できる調査報道のエンジンとなるメディア企業を作ったらどうだろう。ジャーナリストが責任者となり、自分たちの仕事を最優先する。その結果が 404 Media であり、その基盤には有料購読者がいる。
しかし、ここにも書いているが、ワタシはオアシスの全アルバムを買ってたんだよね。アルバムを全部持ってたバンドって、(ストーン・ローゼズのようにアルバム2枚とかそういうのは別として)ワタシの場合、オアシスしかいないのである(ま、『Standing on the Shoulder of Giants』と『Dig Out Your Soul』はもう売り払ってしまったけど)。
その後語られる、ロック・バーの「ローリング・ストーン」来店時、皆がセックス・ピストルズやキンクスやフーの曲をリクエストしてるのに、そのトニー・マッキャロルが「リヴ・フォーエヴァー」をリクエストしてギャラガー兄弟が呆れた事件だが、当時その店で DJ をやっていた梯一郎が、このときのオアシス御一行の話を後に本文原稿で書いていた覚えがある(わざとブラーの「ガールズ&ボーイズ」をかけると、リアムが『ファック!』と叫んだとか)。
この方は API エンドポイントについてちゃんとドキュメントを書いており、POST リクエストの送り方が分かれば、どんなプログラミング言語でも問題なく使えるはずだった。でも、実際にサポートチャンネルに「僕の取引ボットが動かないんです!」と助けを求める利用者のコードを見ると、ほとんど問題ないのに、一目おかしい間違いがある。多くの場合、存在しないエンドポイントにアクセスしようとしていたり、存在しない API レスポンスからプロパティを読み取ろうとしている。
つまり、プログラミング経験がほとんどないと思しき顧客は生成 AI を使ってコードを作成したが、そのコードにハルシネーションが紛れ込んでしまってるというわけ。簡単なスクリプトならハルシネーションを修正してあげるのだけど、多くの顧客は複雑なアプリケーションを想定しており、そうなるとプロの開発者を雇ってくださいと言わざるをえない。ひどいのになると、最初は単純なのでハルシネーションを直してあげると、どんどん顧客が期待するロジックが複雑になり、こっちが無制限の無料サポートをやってくれると期待されてしまうこともあった。
ここまでの話も SaaS ビジネスのサポートではよくある話なのだろうが、AI プログラミングツールがこの問題を悪化させているというのがこの方の見解である。顧客の課題解決を支援すること自体はとてもやりがいのあることだ。が、顧客に基本的な課題解決能力がなく、ソフトウェアエンジニアリングを AI に委ねてしまうと、AI が生み出すバグを修正する開発者が必要となり、その役目を自分が負わされるのは真っ平ということだ。
この方も何度も書いているように、利用者が増えることでサポートの負担が増す話自体は昔からずっとあるものだけど、その主役というか問題の源が AI プログラミングツールというところが2024年なんでしょうな。
One of the most tedious (but critical tasks) for software development teams is updating foundational software. It’s not new feature work, and it doesn’t feel like you’re moving the experience forward. As a result, this work is either dreaded or put off for more exciting work—or… pic.twitter.com/MJvsqNxgiT
一つ前のエントリとは違った生成 AI アシスタントの威力を見せつけているが、この投稿とほぼ同じくして AWS のマット・ガーマン CEO が、いずれ AI が仕事を引き継ぐので、ほとんどの開発者はコーディングを止めるだろうという予測を社内で語った音声がリークされて話題となったが、アンディ・ジャシー CEO の投稿もそのあたりを踏まえたものなんだろうな。