当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

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センチメンタル・バリュー

ヨアキム・トリアーの名前は、前作『わたしは最悪。』が評判になったので知ったが、しかし、『わたしは最悪。』はタイミングが合わずに観れなかった。本作も事前の評価が高いので、期待して公開初日のレイトショーに観に行った。

高名な映画監督である父親と、彼に捨てられたという意識がある娘たちとの葛藤が描かれる作品で、その父親の15年ぶりの新作映画の撮影がどうなるかが映画の本筋になる。つまり、本作は家族についての映画であり、映画についての映画である。映画についての映画は点が甘くなる傾向にあるのだけど、本作はそうした感動作から慎重に距離を置いているところがポイントだと思う。

映画監督を演じるステラン・スカルスガルドが、自然と出てしまう身勝手さ、仕事相手をも見切る冷酷さ、そして独特のチャーミングさを見事に表現している。

そして、特筆すべきは娘姉妹、父親から新作の主役を打診されて拒絶する俳優のノーラ演じるレナーテ・レインスヴェも、家庭を持つ母であるアグネスを演じるインガ・イブスドッテル・リッレオースも、いずれもとても魅力的に撮られている。この二人と娘たちと父の間の葛藤や愛憎だけでなく、姉妹の助け合いが描かれているところが良かった。

あ、これがラストシーンだと気づいてからは、その後に描かれる父娘の微妙な距離と表情まで息を詰めて見つめるしかないラストシーンは好ましかったが、全体として人間的な破綻に至らないウェルメイド作品に留まってるといえるかも。

誕生から30年になるポケモンがポジティブに世界を一つにするヒット作であり続けること

www.theguardian.com

この記事は、11歳の頃、2000年にシドニーで開催されたポケモンワールドチャンピオンシップスに出場することが夢だったという著者のケーザ・マクドナルドの回想から始まる……けど、ポケモンワールドチャンピオンシップスが始まったのって2004年じゃなかったっけ?

それはともかく、ポケモンはこの人の子供時代で大きな位置を占めていたわけだ。そして、26歳の誕生日にジャーナリストとして取材するためにワシントン D.C. を訪れたときにその夢を叶えることができて深く感動した、と書いていて微笑ましい。会場には巨大なピカチュウのバルーンが天井から吊るされ、出場者と観客は、信頼、友情、そして努力というメッセージを伝えるこのゲームへの無意識的な愛で一つになっていたと書く。

1996年2月、つまりちょうど30年前にオリジナルの「ポケットモンスター 赤・緑」(アジア以外では緑じゃなくて青だったのをこの記事で知った)が発売されたが、現在までにポケモンは児童文学の巨匠たちの仲間入りを果たしたと言い切る。

ポケモンは20世紀末の流行と言われるが、テレビシリーズ、グッズ、トレーディングカード、ゲームなどで、今の方が史上最高の興行収入を誇るエンターテイメント・フランチャイズとなっている(『スター・ウォーズ』や MCU を上回ると聞くと驚くよね)。

この記事は、この世界的な現象のルーツを、ポケモンの生みの親である田尻智が1965年に生れた東京郊外の町田市にまでさかのぼる。幼い頃の田尻智は虫集めに熱中し、同級生から「昆虫博士」と呼ばれていた。

そして、記事は彼がポケモンを生み出すまでの苦闘と、その驚異の成功についての話になるが、現在、彼は隠遁生活を送っている。彼について英語圏の人間が知ることはほぼすべて、1999年にタイム誌が行ったたった一度のインタビューから来ている。

タイム誌のインタビューは無礼で人を傷つける口調が見られ、その論調は「衝撃的なほどに軽蔑的」だったとケーザ・マクドナルドは書く。ポケモンシリーズを「有害なポンジースキーム」と断じ、ポケモンが若者を犯罪などの非行に導いており、そのブームもじきに冷めるだろうてな感じで書いているのだからそう言われても仕方ない。

しかし、そういう「軽蔑的」な見方は珍しいものではなかった。ポケモンが引き起こした道徳的なパニックには、外国人排斥的な意味合いがあったと著者は分析する。ポケモンは恐ろしい日本から子供たちを誘惑するために海を渡ってやってきた邪悪なモンスターだというわけだ。この記事では、アメリカのキリスト教牧師たちの中にはピカチュウを悪魔だと断言し、テレビ番組の放送禁止を求める動きすらあったことが書かれている。

それも今や昔、この10年は「ポケモンGO」の成功がポケモンの生命を保たせた。この記事の最後の段落は力強く、感動的ですらある。

「昆虫博士」はかつてほどは関与していないかもしれないが、彼がポケモンに吹き込んだ牧歌的な雰囲気は、この30年間を通してずっと受け継がれてきた。人間とポケモンの相互関係は、ゲーム、映画、テレビ番組の感動的な核を形成しており、その物語には環境保護主義に類似した側面さえある。ポケモンは何といっても、進化と自然界と調和をテーマとするゲームである。この1000億ドル規模のフランチャイズが露骨な冷笑主義や搾取を感じさせないのは、自然との共鳴があるからこそである。ポケモンの物語は、ビデオゲームが持つ重要な真実を語っている。それはつまり、ゲームは人々を結びつける強力な媒介であるということだ。一人の少年の自然界への愛から生まれたこの架空の生き物たちは、何百万人もの人々を結びつけている。

この記事の著者ケーザ・マクドナルドは、Super Nintendo: How One Japanese Company Helped the World Have Fun という本を今月を出している。

こういう文章を読むと、早く邦訳が出るといいなと思ってしまう。

アディ・オスマニがティム・オライリーと語る「開発者が今本当に知っておくべきこと」、そして早くも出る彼の新刊『The Effective Software Engineer』

www.oreilly.com

ティム・オライリーが、「AI を活用したソフトウェアエンジニアリングの現状について話すのに最も適した人物」としてアディ・オスマニを紹介しているが、現在から近い将来までのソフトウェア開発についていろいろ語っている。

二人とも「若者はソフトウェア業界に進むべきだ」と力強く語っており、ソフトウェア開発者の仕事はなくならないと見ているわけだ。

オスマニの「ソフトウェアエンジニアリングを始めるのにこれほど良い時期はない」、オライリーの「私は71歳で、この業界に45年携わっているが、今が一番ワクワクしている。初期のウェブやオープンソースのときよりワクワクしている」という言葉に勇気づけられる人もいるのではないか。

そうそう、オスマニといえば、昨年末に『バイブコーディングを超えて』の邦訳が出て、やはり昨年にはそれに続く本が出ている話をここでも取り上げているが、来月には The Effective Software Engineer という新刊が早くもオライリー本家から出るのをこれで知り驚いた。ホント、仕事速いな!

あと、オライリーとオスマニは、やはり来月開催される AI Codecon の共同ホストを務めるとのこと。

Polymarketなどの予測市場の有害性とニュースレター大手のSubstackからの離脱

davekarpf.substack.com

デヴィッド・カープが、ニュースレター配信プラットフォームの Substack から離脱することを宣言している。

彼は以前からその意思を示していたが、「世界最大の予測市場」を謳う Polymarket との提携の発表が最後の一押しになったようだ。

Substack がメディアの未来なら(違うけど)、メディアの未来はギャンブルになる(でも、それは悪いことだ。なんでかは分かるよね?)。

このあたりは米国のネットユーザには自明かもしれないが、日本のネットユーザーにはピンとこないかもしれない。予測市場という建前の Polymarket が投資を装ったギャンブルである、というスコット・ギャロウェイの記事が参考になるかな。

米国でスポーツにオンラインギャンブルが深く根付いており、そしてそれが社会に悪影響を与えているという記事を少し前に読んだ覚えがあるのでここで参照したいのだが、すいません、思い出せませんでした。

Substack はニュースレター配信プラットフォームの最大手だが、以前から白人至上主義を取り締まらないことなどで批判されてきた。

www.theguardian.com

これは今月の記事だが、白人至上主義やネオナチや反ユダヤ主義のコンテンツで収益を得ていることを批判されている。

それに加えて、予測市場という名のギャンブルへの傾倒で、Substack はメタクソ化するとデヴィッド・カープは見ており、以前から空気悪かったしもう耐えられんわ、ということのようだ。

空気の悪さという点では、ドク・サールズが書いていたことも関係するかもしれない。

乗り換え先は Ghost、Beehiiv、Buttondown、Patreon あたりになるが、有料になってしまうので少し検討が必要なようだ。

果たして Substack からの離脱の動きはどこまで広がるだろうか。Substack は日本語対応に積極的でないため、日本人のユーザーは少ない印象があり、その方面での影響は少ないだろうが。

『The Office』のマッケンジー・クルックが作った『Small Prophets』が素晴らしいようなので観たいのだが

www.theguardian.com

ハリウッド的には『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの義眼の下っ端海賊で知られ、ワタシ的には未だ『The Office』(本国版)のギャレス役なマッケンジー・クルックが脚本、監督、出演を務めるシットコム『Small Prophets』が好評なようで、Guardian でも激賞されている。

ワタシが知らなかっただけでマッケンジー・クルックは優れたコメディドラマの作り手に成長していたようで、『Small Prophets』は『Detectorists』以来最高の英国コメディだと称えられており、その『Detectorists』も彼の手によるもの。

ワタシが『Small Prophets』が気になったのは、なんといってもマイケル・ペイリン先生が出演しているからだが、彼は以前からクルックのドラマに出演しており、彼の手腕を認めているのだろう。

二人でテレビのインタビューも受けている(今、こんな感じで自動的に日本語吹替が入る設定にもできるのか)。

ワタシの周りで『Small Prophets』を観てるのは kingink さんくらいだが、これ日本で観れるようにならないかなぁ(ワタシ的には、できれば Netflix で)。

そういえば少し前の中尺思考で、ブレイディみかこさんが「Z級ゴシップライター」だった頃について語られていて懐かしかった。思えばワタシが彼女のデビュー作『花の命はノー・フューチャー』を読んだのは20年以上前になるが、当時彼女は英国のテレビ番組についても、リアリティ番組を中心にバシバシ書かれていたっけ。

今、英国のテレビ番組について日本語で精力的に書かれている方をご存じありませんか?

WirelessWire News連載更新(AIによる民主主義の巻き返しは可能か)

WirelessWire Newsで「AIによる民主主義の巻き返しは可能か」を公開。

最初、この文章のタイトルを「Is There Still Anything That AI Can Do (for Rewiring Democracy)」にするつもりで、これを思いついて笑ってしまったのだが、怒る人もいるかなと思い直して自重した。

実は今回の文章は、一週間前に公開してしかるべきものだった。しかし、一週間前はちょうど衆議院選挙の結果が出たばかりのタイミングである。

今回の文章は政治がテーマなのだけど、日本の政局には基本的に関係なかったりする。衆議院選挙の結果には思うところがあるし、もちろんワタシも投票しているのだけど、こっちとしては無関係な意識で書いた文章が雑にそのあたりに結び付けられることへの忌避感があり、公開をおよそ一週間先延ばしにした。

『Rewiring Democracy』について書くにあたり、通り一遍の内容紹介ではつまらないので、「みんなかえってクソして寝るまでの希望」のときと同じく、批判的書評を取り上げて論じている。

最近もフランス政府による国産ツールの「Visio」の取り組みとかヨーロッパで独自のデジタル決済システムを推進する動きが報じられているが、これもデジタル主権や経済検閲の問題へのリアクションなんですね。

『Rewiring Democracy』はアメリカ人著者による本なので、そのあたりについての意識は特に強くないのでワタシが補足させてもらって今回の文章の結論になった。

あなたの生涯で最大の発明はインターネット?

om.co

ベテランジャーナリストのオム・マリクが、「あなたの生涯で最も重要な発明は何か?」という問いについて書いている。

そもそも発明とは何か? 最初に浮かんだのはマイクロプロセッサで、いや、PC かな、いやいや、スマートフォンかなと考えたが、1966年生まれの彼が物心ついた後、10代以降に発明されたものを選ばなければと思いを巡らせた後、やはりインターネットだという結論にいたっている。

インターネットが発明されたのが何年かによってはマリクの条件に合わない気もするが、ともかく、彼は車輪、蒸気機関内燃機関と同じくインターネットが時間と距離を圧縮したことを評価している。

なので、そう、インターネットこそまさに我が時代の最大の発明である。それは今、種としての我々の中心にある。そして、それ以外のすべての発明も、何らかの形でインターネットを通過したものである。

ネタ元は Scripting News だが、デイヴ・ワイナーもマリクに同意している。

「物心ついた後の10代以降に発明されたもの」を条件にすると、ワタシの場合、インターネットは選べないことになる。そうなると、ワタシの時代における最大の発明は……ワールド・ワイド・ウェブかなぁ?

エリーザー・ユドコウスキー『AIの進化が続けば、我々は絶滅する』が4月に出る

yamdas.hatenablog.com

エリーザー・ユドコウスキーの新刊を取り上げたのは昨年の9月だが、それから半年あまりで邦訳『AIの進化が続けば、我々は絶滅する』が出るのを知る。

早川書房、仕事速いねぇ~。

この本については、スティーブン・レヴィも「「誰かがつくれば、みんな死ぬ」──AIが人類を絶滅させると主張する終末論者たち」という記事を書いているので参考まで。

「AI 加速主義者も AI 破滅論者も同じ穴の狢」とか「LessWrong は合理主義カルト」とか言ってるワタシはこの本の良い読者ではないだろうが、邦訳が出るべき本なのは間違いない。どういう反応を得るのか気になるところではある。

速水健朗さんの新刊『機械ぎらい 機械音痴のテクノロジー史』が来月出るぞ

shirasu.io

ワタシはこの動画の無料部分しか見ておらず、そこでは新刊についてはまったく触れられていないのだが(笑)、速水健朗さんの新刊『機械ぎらい 機械音痴のテクノロジー史』が来月出る。

これは集英社新書プラスでの連載「21世紀のテクノフォビア」を基にしていると思われるが、この連載を毎回面白く読んでいたので楽しみである。

「2年ぶりの新刊」とのことだが、前作はポッドキャストの書籍化なので、その前となると単著としては『1973年に生まれて』になるんだな。

21世紀でもっとも過小評価されている映画50選

time.com

TIME が21世紀でもっとも過小評価されている映画を50本選んでいる。

こういうのは気になるので、リストを紹介しておく。以下、順不同ですね。

やはり、観たことない作品ばかりですな。観たことあるのは5本ぐらいだが、中には「ちゃんと評価されてるよね?」と思うものもある。Netflix 配信作は観ないといかんなぁ。

ネタ元は kottke.org

Kieferのライブに行ってきた

livepocket.jp

Kiefer の来日公演があること自体、しかもその中に福岡公演が含まれることを柳樂光隆さんによるインタビューを読んで初めて知った。

一昨年にトム・ヨークの福岡公演に行ったときにも散々愚痴っているが、洋楽アクトの来日公演に福岡が入らなくなって久しい。

たまにそういう機会があっても、こちらの都合が合うとは限らない。例えば、先月 Mei Semones の福岡公演があったのに行けなくて悔しく思っていたので、Kiefer の福岡公演と聞いて、半ば仕事をぶっちして行ってきた。

もちろんハコの関係もあろうが、福岡公演が SOLD OUT と聞くと客の側も嬉しいよね。

今のところもっとも最近のアルバムとなる『Something for Real』を聴いて、Kiefer って結構喋る人だなという印象があったのだが、このライブでも曲間にいろいろ喋ってくれ、彼の陽性の人柄が伝わってよかった。

本編が少し短いかなという感じだったが、アンコールを2回やってくれて、全体として満足いくライブだった。

ワタシはジャズを語るボキャブラリーを持たないので、福岡でいいライブ観れて良かったー、といったレベルでしか書けないのだが、本当にありがたく思った。"Be Encourged" とか良かったな。

フォーブスが毎年選ぶ「30歳未満の30人」は「刑務所へのパイプライン」なのか?

techcrunch.com

毎年フォーブス誌が「30歳未満の特筆すべき30人」を選んでいて、2026年版も既に選出されている(2025年の日本版)。

しかし、この TechCrunch の記事で、「30歳未満の30人」リストについて、「その選出者の多くが後に詐欺罪で起訴されることで今や悪名高い存在になっている」と書いていて笑ってしまった。

この記事で取り上げられているのは Kalder の創業者で CEO の Gökçe Güven が証券詐欺や個人情報窃盗などの罪で米司法省に起訴された件だが、「選出者の多くが後に詐欺罪で起訴される」話を少し前にどこかで読んだ気がする……と記憶を辿ったら、「シリコンバレーの技術解決主義を斬る『フィンテック・ディストピア』」で取り上げたヒラリー・アレン『フィンテックディストピア』の第1章だった。

メディアは時々「フォーブスから刑務所へのパイプライン」と揶揄するが、バンクマン=フリードは2021年にフォーブスの「30歳未満の30人」リストに選ばれていた。FTX 傘下のヘッジファンド「アラメダ・リサーチ」の CEO を務めていたキャロライン・エリソンも、2022年の同リストに名を連ねていた(エリソンは一時期バンクマン=フリードと恋愛関係にあった。FTX 崩壊の予期せぬ副産物として、私たちは皆、ポリキュールという関係性を知る羽目になった)。エリソンは2022年に詐欺罪で有罪を認め、バンクマン=フリードのぼさぼさの髪とカーゴショーツの風貌が、彼をいいヤツに見せるため意図的に作り出されたものだったことも認めた。2023年末、フォーブスは「恥の殿堂:30歳未満の30人リストに選ばれた史上最も疑わしい10人」と題した反省記事を掲載した。バンクマン=フリードとエリソンの両名が、記事に名を連ねた。

やはり、サム・バンクマン=フリード方面でこの評判は決定的になってしまったんでしょうな。そして、今回の Kalder もフィンテック企業なんだよね。フィンテックディストピア

でも、Forbes が反省記事をちゃんと出したのは偉いと思う。

あと、↑の引用中に出てくる「ポリキュール」って何? と思ったが、港区女子のことらしい(違います)。

これを書くために Wikipedia の Forbes 30 Under 30 のページを見てみたら、ちゃんと "Forbes-to-fraud pipeline" という小見出しがあった(笑)。これを読んで、エリザベス・ホームズが意外にも「30歳未満の30人」に選ばれていないのも知った。

ネタ元は Slashdot

高須正和さんらの論文がIEEE Xploreに掲載されている

高須正和さんが告知している通り、彼が筆頭著者である論文が、IEEE が提供する電子ジャーナルのプラットフォーム IEEE Xplore に正式掲載されている。ワオ!

ハードウェア分野、特にマイコンボード市場における開発者中心のアプローチ(これを toDtoB:to Developer to Business と呼ぶのか、知らなかった)の有効性について、日本市場における M5Stack と Arduino の販売・利用データを比較して評価し、ソフトウェア分野で長年実証されてきた開発者ファースト戦略が、アジャイルな製品リリースとコミュニティエンゲージメントと組み合わせることで、産業用ハードウェアの採用促進にも寄与し得るという結論を示唆している。

高須正和さんというと、スイッチサイエンスでオープンソースハードウェア M5Stack に携わってきた人だが、とにかくメイカーフェアのために世界中を飛び回っている人という印象が強い。その彼がこういう論文もちゃんと形にしているのはすごいと思う。

著者の並びに『感電上等! ガジェット分解のススメ HYPER』の共著者である秋田純一金沢大学教授もいますな。

高須さんといえば、彼へのインタビューを記事化した「だからトヨタ、ユニクロ、無印良品は何が起きても強い…日本人が気づいていない「日本メーカー」の世界の評価 「PDCAの病」が日本の停滞を招いている」も読んだばかりだが、お元気そうで何よりである。

Literary Hubが選んだこの10年における最高の書籍カバー

lithub.com

ブックカバーデザイン(本の装丁)についての記事をここでも何度か取り上げてきたが、文学ウェブサイトの Literary Hub が毎年選んできた最高のブックカバーを10年分、全75冊をまとめている。

上記の通り、このサイトは文学寄りなので、ワタシが買ったことのある本はまったく入っていないのだが、見ていくと何冊か日本文学の本(の英訳)が入っていておっとなった。

まずは2019年に First Place として選出されているのが小川洋子『密やかな結晶』(asin:4065214645)の英訳『The Memory Police』。なお、この本は全体の Second place にも選ばれている。

続いては2020年に First Place として選出されている柳美里『JR上野駅公園口』(asin:4309415083)の英訳『Tokyo Ueno Station』。

同年には、小山田浩子『穴』(asin:4101205418)の英訳『The Hole』も Second Place として選出されている。

The Hole

The Hole

Amazon

なるほど、こういうデザインが良いものとされてるんだな、と納得するものもあれば、例えば柳美里『Tokyo Ueno Station』など、そんなに良いデザインか? と思うものもあったりする。

ネタ元は kottke.org

HELP/復讐島

サム・ライミといえば、高校時代に『死霊のはらわた2』を観てノックアウトされて以来、好きな監督である。「ホラー映画ベストテン」に『死霊のはらわた2』を選んでいるが、『ダークマン』や『スパイダーマン』シリーズはもちろん、『シンプル・プラン』のような映画も好きだ。

しかし、思えば彼の監督作を観るのは『スパイダーマン3』以来で、これは主に彼が2010年代主にプロデューサー業中心だったからだが、随分間隔があいたことになる。

本作についてとても良いという評判を小耳に挟んでいたので、公開二週目だが口コミ効果で客が増えてないかなと思ったが、レイトショーはワタシ含め3人での鑑賞だった。洋画厳しいっすね。

飛行機事故に離れ小島に流されてしまった男女、これが昔なら必ず入るであろうラブコメ要素は排除されていて、それが今どきである。

構図的に、権力にふんぞり返るディラン・オブライエン演じる社長に侮辱されてきたレイチェル・マクアダムス演じる女性主人公を応援したくなるのだが、単純にそういう構図で女性が男性権力者に復讐するだけの映画になってない。自己啓発書大好きな女性の主人公にも実に意地悪な視点が光っている。

ディラン・オブライエンというと、Netflix 映画の『ラブ&モンスターズ』では好青年だった彼が、ここでは俺様なパワハラ社長を演じている。

それよりレイチェル・マクアダムス『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』でヒロインを演じていた彼女が、『ヘレディタリー/継承』トニ・コレット……まではいかないが、振り切った顔芸をやっていて、それだけでも一見の価値がある。

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