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TENET テネット

『ルース・エドガー』を観たとき、また映画館通い再開かと思っていたのだが、その後新型コロナウィルスの第二波とやらのせいで劇場からまた足が遠のいてしまい、再び3か月以上間が開いてしまった。

本作はそうした意味で、また映画館で映画が観れるぞというハリウッドの希望の象徴となった。ワタシも、劇場公開にこだわるクリストファー・ノーランの執念に応えるつもりで IMAX シアターで鑑賞してきた。のだが、公開初日の金曜日は仕事の都合で行けず、翌日、奇しくも映画館が全席販売を再開する日の鑑賞となってしまった。案の定前後左右座席の予約は埋まっており、出向いたシネコンの人の多さにしばらく入るを躊躇してしまったくらい。コロナ怖い……。

さて、本編上映が終わって劇場を後にしていると、前を歩く二人組のおっさん同士で「あれ分かった? オレ全然意味分からんかったわ。時間返してほしいわ」とボヤいていて微笑んでしまった。安心しろ、ワタシも大して分かんなかったから!

いやー、それにしても早川書房から出ているようなハード SF をガチでハリウッド大作にしたクリストファー・ノーランは頭おかしいね。しかも、小説なら描写で済ませられる時間の順行と逆行が交差する場面を映像で表現する必要があるわけで、今そんなことやろうとするの彼だけじゃないか。

ノーランは、前作『ダンケルク』でも同時期の三つの異なる時間軸を一本の映画にまとめあげていたが、時間の逆行を描く点で出世作メメント』を連想させるし、最後、タイムアタック! なクライマックスは、やはり『インセプション』に近い感触があった。ただ、ガチな SF という意味で『インターステラー』のように観るべき映画ではなく、むしろノーランの『007』シリーズ、すなわちスパイアクションへの偏愛という視点で観るべきだし(マイケル・ケインの登場場面が『キングスマン』になりかけるのに笑った)、騙し合いという意味で意外にも『プレステージ』を思い出したりした。

というわけで、一度観ただけではとてもじゃないがワタシには本作を十分には理解できなかった。時間の逆行という無茶なものをガチで表現しているのだから、それを恥ずかしいとは思わないが、ロバート・パティンソンのリュックのポケットから出ている赤いケーブルの意味とか、本作のポイントについて、あれはどういう意味ですか? ここの場面を説明してください、とか『テネット』クイズを出されたら、かなりの低得点をたたき出してしまいそう(前述のケーブルについては、昨日友人から SMS で教えてもらった。そういえばロバート・パティンソンをあまり評価してなかったのだけど、本作での彼は良かったね)。

さて、本作のラストで、とある名作映画の、やはり映画史上に残る名ゼリフがもじって引用される。わけ分かんねーな、と主人公たちのやりとりを観ていたワタシはそこでホロリとなってしまった。そして自分は「映画に甘い」と思った。

「映画に甘い」とは、映画自体が好きというのもあるし、そうした過去の名作の引用にグッときてしまうところも含まれる。そして何より映画には映画にしかできない表現があり、映画にはテレビドラマとは違った何かがあると当然のように思い込むロマン主義(?)でもある。「ピークTV」という言葉ももはや過去のものとも言われるが、それでもこうした考え方は明らかに時流に合ってないし、有害とすら言えるかもしれない。

ともあれ、そういうロマンには大前提としてデカいスクリーンが必要である。ワタシの部屋の貧相な40インチ液晶テレビではダメなのだ。だからノーランが劇場公開にこだわったのは理解できるし、そのロマンを引き受け、しかも「大枠の理屈は分かるが、これおかしいだろ」としか言いようのない題材を、ジャンボ機を丸ごと建物に突っ込ませるなどまでして押し切ったという点で、ワタシは『テネット』を、そしてノーランを肯定したい。

観ている間はひたすらエキサイトするけど、終わってみると何も残らないところまで含めてノーランの映画らしいし、何度も書くけどいろいろ分かんなかったけど。

ジャロン・ラニアーの本業(?)のバーチャルリアリティ本の邦訳が出ていたのか

www.netflix.com

先日も「ケンブリッジ・アナリティカ告発本の真打クリストファー・ワイリー『マインドハッキング』と「監視資本主義」の行方」で紹介した Netflix ドキュメンタリー『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』公式サイト)を遅ればせながら観た。

まぁ、予想通り/期待通りの内容だった。GoogleFacebookTwitter などのテック大企業で実際にサービス開発を担った人たちが何人も登場して語る一方で、彼らの発言を理論的に整理する役割として、『Zucked』のロジャー・マクナミー『監視資本主義の時代』のショシャナ・ズボフ『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』のキャシー・オニールと並んでフィーチャーされていたのが「バーチャルリアリティの父」ジャロン・ラニアーである。

『監視資本主義』を観た後、気になって調べたら、ワタシが4年以上前に紹介した本の邦訳『万物創生をはじめよう』がこの夏刊行されていたのを今更知った。

この本は、ラニアーの「VRの父」としての本業(?)寄りの仕事になる。(『監視資本主義』でも紹介されてた)アンチソーシャルメディア本しか翻訳されないのはあんまりだろと思っていた人間としては嬉しいのだけど、Amazon を見ても刊行から3か月経って1つもユーザレビューがついてない。ちゃんと届くべき読者層に宣伝が届いていないのではないだろうか? 他人事ながらいささか心配になる。

これは宣伝だけど、ワタシの『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』も連載第1回目はジャロン・ラニアーの本を取り上げた「インターネットによる中流階級の破壊をマイクロペイメントが救うか」だったという縁もあり、彼のことは気になるのですよ。

スティーブ・ジョブズの愛読書30冊

mostrecommendedbooks.com

少し前から話題になっているサイトで、各界の著名人が薦める本を集積している。最近イーロン・マスクが勧める「読んでおくべき11冊の本」とかネットニュースでも取り上げられている。

news.slashdot.org

この Slashdot のストーリーで、ビル・ゲイツスティーブ・ジョブズの推薦本の比較が行われている。

読書家として知られ、そのインプットについてちゃんとこまめに文章を書いているビル・ゲイツは必然的に数が多すぎるので、ここでは30冊と紹介するのにちょうどよいサイズ感のスティーブ・ジョブズのほうを取り上げたい。

mostrecommendedbooks.com

いろんな分野の本を網羅するビル・ゲイツと比べると、スティーブ・ジョブズのほうは嗜好性がはっきり出ていて、らしい気がする。

それにしても、禅やら瞑想やら神秘主義やらスピリチュアル系な本がリストの相当割合を占めるところがこの人ならでは。

それにしてもシリコンバレー人種って本当にアイン・ランド好きよねぇ。

同じバーで収録された二本のミュージックビデオ

大したネタではないのだけど、最近公開されたばかりの二つのミュージックビデオが同じバーで収録されているという話。

前者は長崎をベースに活動するミクスチャーバンド UPPER YARD の新曲(SpotifyApple Music)、後者は長崎発のアイドルユニット MilkShake の新曲である(SpotifyApple Music)。いずれの曲も好きです、ハイ。

というわけで、共通するのは長崎ということなのだけど、これに気づいたのは MilkShake のプロデューサーである唐川真さんからのインプットがあったから。

この二つの PV の収録現場となったバーの店名はここではあえて書かないが、ワタシも一度くらい行ったことがあるはずなのだけど、確かな記憶がないのだからどうしようもない。

ジョン・クリーズが創造性、モンティ・パイソン、ポリコレについて語るインタビュー

『モンティ・パイソンができるまで』に続くジョン・クリーズの新刊は、ズバリ Creativity と題した創造性をテーマとする本で、その刊行を受けていくつかインタビューを受けている。

www.newyorker.com

新刊のテーマである創造性について、クリエイティブであるためには、クリエイティブな思考でないといけない。クリエイティブなムードに身を置く必要がある。それをどうやって実現するか? クリエイティブなムードとは、本質的に遊び心に満ちている。なんで子供はごく自然に遊べるのか? 子供は誰が夕食を作るか心配する必要がない。つまりは、日々の責任だね、とのこと。

創造性を尊敬するコメディアンの先達から学んだのかと問われ、例としてデヴィッド・フロストの名前をインタビュアーが挙げると、すかさずクリーズ先生はピーター・クックの名前を挙げて訂正している。本当にクックを尊敬しているんだなぁ。

面白いのは、インタビュアーが数年前にエリック・アイドルに聞いた、彼がジョージ・ハリスンと友達になって、モンティ・パイソンにおける自分が、ビートルズにおけるジョージ・ハリスンと同じ「free-floating radical(気ままな過激派?)」な役割を果たしていたと気づいた話を受けた、クリーズ先生の言。

私はポール・マッカートニーに共感するよ。だってジョン・レノンはちょっともてはやされ過ぎに思うし、マッカートニーに八つ当たりする人もいた。グループではエリックが一番一緒に仕事がしやすかった。彼は物事を諦めることができたから。一方でとても仕事が難しかったのはテリー・ジョーンズだった。彼はあらゆることに強い信念があって、彼の物の見方を変えることなどできなかったから。で、グレアム・チャップマンはどのみち人の話なんて聞いてなかったし。テリー・ギリアムにいたってはその場にいなかった。で、マイケル・ペイリンは、衝突するのが嫌いなものだから、誰にでも同意するばかりでね。

少しマイケルに辛辣だが、この後、「マイケルと私は自然な友達だし、どのみちずっと友達でいるだろう」とも言っている。ギリアムがその場にいなかったというのは、彼がグループの中で単独でアニメーション作りを行っていたから。

今年1月に亡くなったテリー・ジョーンズとジョンの対立はよく知られているが、このインタビューでも創作過程において二人の対立は生産的だったか、有害だったかと聞かれ、はっきり有害だったと答えている。が、『ライフ・オブ・ブライアン』の監督としての仕事を phenomenal と讃えている。『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』においても、テリーJの監督も最高だった、テリーGは画作りには長けていたが、コメディーの撮影という点でテリーJのほうが優れていた、とのこと。

インタビューでは、クリーズ先生の代表作『フォルティ・タワーズ』の(一時的な)配信取り下げについても突っ込んで聞いている。これは登場人物のゴーウェン少佐がNワードを口走る場面があるからだったんですね。

当然ながらというべきか、クリーズ先生はポリティカルコレクトネスについて良い感情を持ってないようだ。

ポリティカルコレクトネスに関係するあらゆることが、コメディというものの誤解だと私は感じる。コメディは完璧な人間とは無縁のものだ。コメディとは人間の弱点、弱さに関するものなんだ。

この件については、昨年の「ロンドンはもはや英国ではない」発言も引き合いにしながらいろいろ聞かれており、クリーズ先生も応戦しているが、近年の筒井康隆に重なる感があって苦しいというのが正直なところ。

それはともかく、クリーズ先生の新刊も邦訳が出るといいなぁ。

Creativity: A Short and Cheerful Guide

Creativity: A Short and Cheerful Guide

  • 作者:Cleese, John
  • 発売日: 2020/09/03
  • メディア: ハードカバー

出版社のnote活用事例まとめ完全版(2020年9月時点)

yamdas.hatenablog.com

今年のはじめに公開したエントリだが、公開後に早速ここもあそこもあるじゃないと気づいていくつか追加したのだけど、その後になって気づいたところがいくつもあり、またこのエントリは検索サイト経由で訪問する人が多く、こんな不完全なリストを参照させて申し訳ない、と密かに心苦しく思っていた。

その後も note に参入した出版社もあり、2020年9月の現時点での完全版を作っておいたほうがよいのではないかと思った次第である。

今回ももっとも古いエントリの公開日を「開始日」として、それが古い順番に並べてみた。一方で「フォロワー数」はあまり意味がない(数を競うべきものじゃない)数字だと思い直して今回は外した。

これを出版社に入れていいのかと疑問に思うものも入れたが、出版エージェンシーや書店、あと勤務先を明かしていても飽くまで出版社の社員(社長)個人の note は外した。

出版社 note 開始日 関連サイト
ナナロク社 ナナロク社 2014/04/11 ナナロク社
詩想舎 詩想舎 2014/04/28 アイカードブック(iCardbook)詩想舎
文藝春秋 文春note部 2015/12/17 文藝春秋BOOKS
きこ書房 きこ書房 2016/04/11 きこ書房
リトルモア リトルモア 2017/01/16 リトルモア
アタシ社 三崎の夫婦出版社『アタシ社』 2017/02/02 三崎の夫婦出版社アタシ社
堀之内出版 堀之内出版ブログ(公式) 2017/03/05 horinouchi-shuppan
河出書房新社 河出書房新社 2017/04/21 河出書房新社
ライツ社 ライツ社 2017/09/11 @writes_p
DNAパブリッシング 電子書籍専業の出版社:DNAパブリッシング 2017/09/19 DNAパブリッシング株式会社
運動と医学の出版社 運動と医学の出版社 2017/10/31 運動と医学の出版社
学芸出版社 学芸出版社 2017/11/15 学芸出版社
新建築社 新建築社 2018/02/16 新建築.online
英治出版 英治出版オンライン 2018/04/09 英治出版
堀之内出版 雑誌nyx&nyx叢書 2018/05/04 horinouchi-shuppan
カバルファス・ブックス KABαS BOOKS 2018/06/06 高宮聡の雑貨店
早川書房 Hayakawa Books & Magazines(β) 2018/07/05 ハヤカワ・オンライン
髪書房 美容業界誌・髪書房 2018/07/13 株式会社髪書房
ポプラ社 ポプラ社一般書通信 2018/07/17 WEB asta
クラシップ KuLaScip 2018/07/25 KuLaScip|クラシップ
幻冬舎 幻冬舎plus+ 2018/08/02 幻冬舎plus
幻戯書房 幻戯書房編集部 2018/09/10 幻戯書房
PLANETS PLANETS CLUB 2018/09/28 PLANETS
遊泳舎 遊泳舎 2018/12/17 遊泳舎
NTT出版 NTT出版 2019/01/11 NTT出版
左右社 左右社 2018/10/16 左右社
小学館 和樂web編集部 2019/01/25 和樂web
サンクチュアリ出版 サンクチュアリ出版 公式note 2019/02/04 サンクチュアリ出版
黒鳥社 黒鳥社|blkswn publishers Inc. 2019/02/12 blkswn publishers Inc.|黒鳥社
大月書店 大月書店 2019/02/21 株式会社 大月書店
書肆侃侃房 書肆侃侃房 web侃づめ 2019/03/12 書肆侃侃房
建築ジャーナル 月刊誌建築ジャーナル 2019/03/15 建築ジャーナル
博報堂 雑誌『広告』 2019/03/15 雑誌『広告』
志学 志学社 2019/04/24 志学社
KKベストセラーズ KKベストセラーズ 2019/04/28 BEST TiMES(ベストタイムズ)
オルカパブリッシング オルカパブリッシング 2019/05/04 オルカパブリッシング / Twitter
etc.books etc.books 2019/05/15 エトセトラブックス
DU BOOKS DU BOOKS 2019/05/21 DU BOOKS
ディスカヴァー・トゥエンティワン ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019/07/02 ディスカヴァー・トゥエンティワン
実業之日本社 実業之日本社_新企画編集部 2019/07/08 実業之日本社
タバブックス タバブックス 2019/08/01 タバブックス
森北出版 森北出版 2019/09/02 森北出版株式会社
ナンバーナイン ナンバーナイン公式 2019/09/09 No.9
サウダージ・ブックス サウダージ・ブックス 2019/09/22 サウダージ・ブックス Saudade Books
集英社 集英社文庫編集部 2019/10/10 web 集英社文庫
太田出版 雑誌『ケトル』編集部 2019/10/29 太田出版ケトルニュース
柏書房 かしわもち 柏書房のwebマガジン 2019/10/30 柏書房
PLANETS PLANETS 2019/10/30 PLANETS
集英社 集英社文芸・公式 2019/10/31 集英社 WEB文芸 RENZABURO
文藝春秋 文藝春秋digital 2019/11/07 文藝春秋ホームページ
共和国 Digging Deep|共和国のウェブマガジン 2019/11/12 共和国 editorial republica
金子書房 「こころ」のための専門メディア 金子書房 2019/11/17 株式会社 金子書房
ダイヤモンド社 ダイヤモンド社書籍編集局 2019/11/26 ダイヤモンド・オンライン
光文社 光文社新書 2019/12/17 光文社
新潮社 考える人|新潮社 2019/12/26 考える人
かんき出版 かんき出版 2019/12/26 かんき出版
ワン・パブリッシング ムーPLUS 2020/01/08 株式会社ワン・パブリッシング
翔泳社 翔泳社の福祉の本 2020/01/17 翔泳社の本
致知出版社 致知出版社note編集部 2020/01/21 致知出版社
世界文化社 世界文化社 公式note 2020/02/03 世界文化社
幻冬舎 幻冬舎 電子書籍 2020/02/08 株式会社 幻冬舎
マガジンハウス マガジンハウス書籍部 2020/02/19 マガジンワールド
竹書房 Takeshobo Books 2020/02/19 竹書房 -TAKESHOBO-
インプレス impress QuickBooks編集部 2020/02/20 impress QuickBooks(クイックブックス)
晶文社 晶文社 2020/02/21 晶文社
アルテスパブリッシング 小学館文化事業室 2020/02/21 アルテスパブリッシング – ページをめくれば、音楽。
国書刊行会 国書刊行会 2020/03/19 国書刊行会
スタンド・ブックス スタンド・ブックス 2020/03/19 STAND! BOOKS
未知谷 未知谷 a letter from unknown valley 2020/03/24 Publisher Michitani 未知谷のホームページ
文響社 文響社 2020/04/01 文響社
里山 里山社 2020/04/08 里山社
有斐閣 有斐閣書籍編集第2部 2020/04/14 有斐閣
KADOKAWA KADOKAWA デジタルマーケティング室 2020/04/16 KADOKAWAオフィシャルサイト
明日香出版社 明日香出版社(公式) 2020/04/23 明日香出版社
白揚社 白揚社 2019/04/24 白揚社 -Hakuyosha-
東京ニュース通信社 TV Bros. ( テレビブロス ) 2020/05/03 東京ニュース通信社
港の人 港の人 2020/05/07 出版社 港の人・MinatoNoHito
文藝春秋 本の話 2020/05/14 文藝春秋BOOKS
KADOKAWA KADOKAWAブックラブ 2020/06/01 KADOKAWAオフィシャルサイト
小学館 「100年ドラえもん」公式 2020/06/10 100年ドラえもん 小学館
工作舎 工作舎 2020/07/06 工作舎の本
ポプラ社 ポプラ社図書館部 学びの編集室 2020/07/16 WEB asta
ポプラ社 ポプラ社 こどもの本編集部(準備中) 2020/07/16 WEB asta
べレ出版 べレ出版語学編集部 2020/08/07 ベレ出版
小学館 小学館文化事業室 2020/09/07 小学館
スモール出版 スモール出版 2020/09/29 スモール出版

総数80を超えてしまった……ワタシも何か独自の情報源があるわけでもないので、抜けに気づいた方は(ブックマーク)コメントなりで指摘していただければ、今月中であれば追加します。

ケンブリッジ・アナリティカ告発本の真打クリストファー・ワイリー『マインドハッキング』と「監視資本主義」の行方

「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2020年版)」で紹介した本で最初に邦訳が出るのはステファニー・ケルトン『財政赤字の神話』である……と思ったら、10月刊行に延期されていた。それより先に今週クリストファー・ワイリー『マインドハッキング―あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア―』が出るのを知り、これが最初なのかと驚いた。

ケンブリッジ・アナリティカ告発本となると、既にブリタニー・カイザーの『告発』が昨年出ていたので、クリストファー・ワイリーの邦訳は正直難しいかと思っていた。邦題は少しだけマイルドになっているが、これは仕方ないですな(笑)。

ケンブリッジ・アナリティカ告発本が批判しているのは、まさに監視資本主義なのだけど、ショシャナ・ズボフの本の邦訳が一向に出ない間に Netflix ではズバリ『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』というドキュメンタリーまで今月公開されちゃった。

原題はちょっと違うのだけど、予告編にもある通りショシャナ・ズボフも登場するわけで、この邦題は正解だろう。

いや、でもさ、ショシャナ・ズボフ『監視資本主義の時代』邦訳、いったいいつになったら出るの?

シヴァ・ヴァイディアナサンの反Facebook本『アンチソーシャルメディア』も出る

いや、「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版)」で紹介した本の邦訳が今年出るとはね。

『グーグル化の見えざる代償 ウェブ・書籍・知識・記憶の変容』の邦訳もあるシヴァ・ヴァイディアナサンの反ソーシャルメディア(アンチFacebook)本の邦訳である。

前著がアンチ Google で、今度がアンチ Facebook という分かりやすい流れだが、かくしてクリストファー・ワイリー『マインドハッキング』に続いて、Facebook に対する告発の本の刊行が続くことになるわけですね。

Google社内で行われた講演会の動画でもっとも視聴されたトップ20に近藤麻理恵さんが入っていた

旧聞に属するが、ここでもたまさか取り上げる、Google が社内で行われた講演会の動画を公開する Talks at Google において、もっとも視聴数の多いトップ20をまとめた動画が公開されていた。

そのトップ20については上の動画にリストがあるが、タイトルにも出てくるレディ・ガガライアン・レイノルズといった音楽や映画、テレビ関係のセレブの動画は半分以上を占めている。

そういうのを改めてここで紹介しても仕方ないのでそれ以外に目を向けると、ユヴァル・ノア・ハラリケリー・マクゴニガルのように著書の邦訳のある日本でも知られた人もいる一方で、恥ずかしながらワタシも名前すら知らなかった人の講演もあって、自分のアンテナの低さを感じたりした。

ここでやはり目をひくのは、こんまりこと近藤麻理恵さんの動画がリスト入りしていること。

彼女も「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」というテレビ番組を持つ人になったわけだが、この講演は2015年、くだんの番組制作の前。講演を英語でやりきるのはさすがに辛そうだ……と思ったあたりで日本語に切り替わるのだけど、英語への通訳は飯田まりえさんではない。

Netflix 番組の2ndシーズンの収録はもう済んでいるはずだが、余剰というか生活物資のバッファの重要性が見直されたコロナ禍を受け、彼女の受容が変わるかは気になるところである。

人生がときめく片づけの魔法 改訂版

人生がときめく片づけの魔法 改訂版

今週共著の新刊が出るが、家の片づけに留まらず、働き方に話を広げていて、そのあたりを踏まえた方向転換なのかもしれない。

黒人音楽の歴史について文献をまとめたBlack Music History Libraryがすごい

ワタシは kottke.org で知ったのだが、18世紀から現在にいたる黒人音楽の歴史についての文献をまとめた Black Music History Library というデジタル図書館サイトがすごい。

blackmusiclibrary.com

これを見ていただければ分かるが、多様なジャンルごとに分類されていて、それぞれについて関係する書籍、記事、ドキュメンタリー、ポッドキャストの情報源がまとめられている。

ざざっと見ただけだが、このブログでも紹介したナイル・ロジャースの回顧録クエストラブによる『ソウル・トレイン』ヒストリー本なども入っている。

これのキュレーションを行ったのは音楽評論家の Jenzia Burgos という人なのだけど、これは立派な仕事だ。

こういった黒人音楽についての本の書き手となると、まず浮かぶのはネルソン・ジョージで、当然ながら彼の本はこのサイトのリストにすべて入っているが、邦訳で新品が手に入るのは今では『ヒップホップ・アメリカ』くらいなんだね。

ヒップホップ・アメリカ

ヒップホップ・アメリカ

高須正和、高口康太編著『プロトタイプシティ 深センと世界的イノベーション』を恵贈いただいたので感想を書いておく

高須正和さんから『プロトタイプシティ 深センと世界的イノベーション』を恵贈いただき、夏季休暇中に読み終わった。

高須正和さんの仕事としては、2018年の『世界ハッカースペースガイド』『ハードウェアハッカー』に続く本になる。またもう一人の編著者である高口康太さんの本では、昨年の『幸福な監視国家・中国』が(少なからぬ反発を感じながらも)とても優れた本でしたね。

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)

さて、今回は「プロトタイプシティ」というタイトルが実によくて、「〇〇シティ」のようなネーミングで最初に浮かぶのは「スマートシティ」だけど、かつてスーザン・クロフォードが「スマートシティ」という言葉にポストヒューマニスト的な、過度に単純化され非人間的なイメージがあるため批判的で、「Responsive City(反応が良い都市)」という言葉を書名に掲げたのを思い出す。

本書で語られるのは、とにかくたくさん手早くプロトタイプを(コードすべて書き換えになることも半ば見越したうえで)作ってみてから、その中でうまくいくものを育てていく、「まずは手を動かす」人が集まる文化が根本にある都市深圳についてよく語られており、そこに身を置いてずっとニコ技深圳コミュニティを主導してきた高須正和さんの仕事の集大成になっているように思う。

本書の最初に掲げられる「非連続的価値創造」としてのプロトタイプ駆動の定義は、もしクレイトン・クリステンセンが存命で、新たに『イノベーションのジレンマ』の続編を書くとしたら採用される話に思ったし、6段階に分けて語られるプロトタイプ駆動の流れも分かりやすかった。

また、ウォーターフォールではもちろんないし、しかしアジャイルでもない、拡張性も保守性もほとんど考慮することなくとにかく作って、その後で有望そうなものに集中して作り直すという「アドホックモデル」の解説にも、日本企業はそれできんよなと思わさせれながらも納得させられた。が、それを支える「安全な公園」の話でiモードの話が引き合いに出されるように、日本企業だってチャレンジの余地はあるはずなのだけど。

そうした意味で日本企業に属する人間にとって耳に痛い話が多いのは確かである。「プレモダン」「モダン」「ポストモダン」の文脈をある意味都合よく利用する中国企業の話など、虫のよい理論というかさすがにそこは学べないと思ってしまうところもあるのだけど、それが可能にしているダイナミズムを本書がよく表現しているのは間違いない。

第四章「次のプロトタイプシティ」はニューズウィーク日本版のサイトに転載されていて(前編後編)、自由闊達だったメディアも管理と支配の向かうというティム・ウーの『マスタースイッチ』理論が都市にも当てはまるのか(これは明らかに誤用に近い連想なのだけど)、イノベーティブだった都市がそうでなくなるサイクルというか条件があるのかが気になったので、オンラインイベントで質問させてもらったが、そのあたりの中国人のしたたかさについては第四章以外にもいろいろ記述がある。それはそうと、今年出るらしいマシュー・ハインドマン『インターネットのわな(仮)』の邦訳はなかなか暗そうで楽しみだ。

第五章「プロトタイプシティ時代の戦い方」は、ナオミ・ウーさん(セクシー・サイボーグ)と GOROman さんのインタビューだが、いずれも実践者として新しい仕事を自ら作り出したという自負を感じさせる証言で、この本が若い世代に届いてこれに力づけられるといいなと思った。「日本企業の意思決定の遅さ」の話は定番だが、ナオミ・ウーさんが語るそれとはまったく違った理由で中国企業も意思決定が遅いという話に、そういうものなのかと興味深かった。

上にも書いたように、本書は深圳を面白がりコミットしてきた高須正和さんの集大成と言える本であり、ワタシも一読をお勧めします。

リチャード・ストールマン御大が自由、プライバシー、暗号通貨について語るインタビュー(の暗号通貨に関するところだけピックアップ)

cointelegraph.com
日本語版には翻訳ないみたい。

リチャード・ストールマン御大が暗号通貨、デジタル通貨について語っているのは珍しいと思うので、その方面についての発言をざっとピックアップしておきたい。誤訳があったら指摘してください。

まず(中国の)中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)について。

デジタルペイメントシステムは、プライバシーを守るべく設計されないと根本的に危険だ。中国はプライバシーの敵だよ。中国は全体主義の監視がどんなものかを体現している。私にはこの世の地獄に思える。そこの暗号通貨を私が使わない理由の一部にはそれがある。暗号通貨が政府により発行されると、それはまさにクレジットカードや PayPal なんかがやっているように国民を監視することになるし、それはまったく受け入れられない。

暗号通貨を個人で使ったことがあるかを聞かれての答え。

答えはノーだ。私はいかなる種類のデジタルペイメントも使わないが、システムがユーザのプライバシーを尊重しないのがその理由で、ビットコインもそれに含まれる。あらゆるビットコインの取引は公開される。最初は私に紐づくウォレットが気づかれないかもしれないが、私が何度か取引に使えば、それが私のだと見当をつけるのも可能になる。十分に情報を集めれば、それも可能なのだ。私は現金を使う。それが私のものの買い方だ。

ストールマン、現金派宣言。また彼はビットコインの気に入らないところとして、容易に脱税に使えるところもあげている。

それならプライバシーに配慮して設計されたビットコインの修正版もあるけどそれはどうかと問われての答え。

まだ確信できない。いずれにしろ、GNU プロジェクトはもっとよいものを開発していて、それが GNU Taler だ。GNU Taler は暗号通貨ではない。通貨とはまったく違う。何か買うのに匿名で企業に支払いをするよう設計されたペイメントシステムだ。ブラインド署名で支払う人は匿名になる。しかし、受取側はシステムからお金を引き出すために購入のたびにそれを識別しなければならない。つまり、Taler Tokens を入手するために銀行口座を利用でき、トークンを使えるが、受取側はそれが誰か分からないということだ。

ストールマンは電子決済システム GNU Taler に多いに期待しているようだ。

taler.net

Facebook の Libra プロジェクトについて水を向けられると、それについては調べていないが、Facebook につながれば、Facebook は監視を行う。Facebook にはユーザはいない。Facebook が人々を利用してるんだ。だからだまされてはいけない。Facebook に利用されるな、とまぁ、予想通りのお答えである。

暗号通貨について何か最近心変わりしたことあります? という質問についても御大はゆるぎない。

私の暗号通貨批判は何も新しいものではない。はじめて見たときからずっとそう感じてきたことだ。今は、私は暗号通貨に反対はしていない。その撲滅キャンペーンをやってるわけではないが、特に利用したいと思わないだけだ。ビットコインソースコードを調べてみた限りでは、まぁ、研究対象としてかなり面白いプログラムだと思うが、やることがありすぎて、好奇心でプログラムのソースコードを研究する時間が私にはない。

やはり暗号通貨全般について懐疑的なようで、上にも書いたようにストールマンを知る人にとってはだいたい予想通りな受け答えではあるが、実際ソースコードを見てみたというのがストールマン先生らしいですな。

ネタ元は Slashdot

プログラミング・ビットコイン

プログラミング・ビットコイン

  • 作者:Jimmy Song
  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

はてなブックマークページから大量のブックマークが消える現象が再現していた(解決済み)

yamdas.hatenablog.com

映画『ボヘミアン・ラプソディ』公開時に書いた文章で、とても評判が良かったエントリである。

で、このエントリのはてなブックマークだが、本文執筆時点で 4users である……って、はぁ?

そんなわけはない。今週のはてなブログランキング〔2018年12月第1週〕にランキング入りもしているくらいで、その時点のブックマーク数は 294users である。

さらに Wayback Machine を調べてみると、2019年9月5日時点で、ブックマーク数が 303users なのが分かる。

いったいどうなってんだ? 落ち目の定評があるはてなだから、ユーザ数の減少もあるだろう。意識的にブックマークを外したユーザもいるかもしれない。しかし、10や20じゃなく、およそ300減るなんてべらぼうな話だ。

本件についてははてなに通知済で、6月15日にただいま調査中の報告を受けているが、いまだ回復していない。

そして、先日もっとすごい事例を見つけた。

yamdas.hatenablog.com

これはワタシのブログで最大のはてなブックマーク数を誇るエントリである。いや、「である」でなく「だった」と過去形にすべきだろう。なぜなら、本文執筆時点のはてなブックマーク数は 3users なのだから。

これは壮絶である。このエントリははてなブログランキング 2月17日版で1位に輝いたエントリで、その時点でブックマーク数は 938users だった。それが今は 3users(笑)。

こちらも Wayback Machine を調べると、2019年4月10日時点で 951users である。見る影もないとはこのことである。

このエントリは前述の通り、ワタシのブログの中で最大のはてなブックマース数だったから気づいたが、同じように数百単位でブックマークが消える現象が他のエントリについても起こっているかもしれない。もちろんワタシ以外のユーザの皆さんにも。

はてなブックマーク数が多かろうが少なかろうがどうでもいいともいえる。数が多かったらワタシにお金が入るわけでもないし、逆にそれが激減したからといって、それに応じて読者の数が激減するわけでもないだろう。

しかし、(ワタシは利用していないが)ブログのサイドバーにそのブログにおけるはてなブックマークの人気エントリを表示させているユーザがいる。そのブログにとって代表作といえるエントリがそこにあるべきなのになかったら、はてなはユーザに損害を与えていると言えないか。

少し前にもはてなブログからのはてなダイアリーへのリンクの飛び先がおかしい現象はてなブログで asin 記法が正しく機能していないところがある話を報告させてもらったが、不具合でははてなブックマークも負けていないのかもしれない。

今のはてなの技術陣にこの問題の解決は期待できないが、現象の再現を見つけたので良い機会としてブログでとりあげさせてもらう。

さて、以上とは関係ないが、はてなの創業者のことをボロクソに書いた文章を含む電子書籍『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』も絶賛発売中ですのでよろしくお願いします。

[2020年08月18日追記]:本エントリのブックマークページを見ると明らかに間違ったことを書いている人がいるので念のため。本ブログがはてなダイアリーからはてなブログに移行したのは2019年1月のことで、その時点から HTTPS 対応にしていたと記憶する。上で例に出した2つのエントリとも、2019年秋の時点で(HTTPSの)はてなブログの URL にちゃんとブックマークが付いており、それ以降のいずれかの時点ではてなブックマークが消えて(正確にははてなダイアリーのほうに戻って)いる。ダイアリー→ブログの移行、HTTPS 化の対応のいずれも本現象には関係ない(関係しているなら、この現象が他の2018年以前のエントリにも軒並み発生しているはずである)。

[2020年08月20日追記]はてなサポートより修正対応を行った旨のメールをいただいた。本エントリにおいて例として出した二つともブックマーク数は元に戻っている。

ルー・リードが(なぜか少し上機嫌に)ジャーナリストを「最底辺の生き物」と断言する恐怖のインタビュー動画

faroutmagazine.co.uk

この Far Out Magazine は、ファンがいるのかルー・リードのちょっと面白い話や過去映像をよく引っ張り出してくるのだが、これはケッサクだった。

彼のジャーナリストに対する当たりの強さは有名で、血祭りにされた人も数多い。

ルーの「おい、ちゃんと注意して聞けよ!」という威圧に満ちた第一声で始まる2000年に行われたこのテレビインタビューも、最高度のホラーインタビューである。が、このインタビューが面白いのは、ルー自身が機嫌を害することなく状況を楽しんでいるところである。

この動画、実際のルー・リードのインタビュー映像と、スウェーデン人インタビュアーの回想が交互に入るのだが、インタビュアーがひきつった顔でまず言うのが「このインタビュー映像を見直せるまで何年もかかりました」というのに苦笑い。もはや PTSD の域だ。

ぼくは極度に緊張していました。脚が震えていました。吐きそうでした。

実はこのインタビュー、インタビュアーがルー・リードのことを何も知らない22歳の若造だったのだ。

有名人にホテルの部屋でインタビューするのは、このときが初めてだったんです。

ルーも、当時関わっていたロバート・ウィルソンのミュージカル「タイムロッカー」の話をして、「ロバート・ウィルソン知ってるよな?」と問いかけ、「いえ、知りません」の即答に少し「えっ?」という顔になってるのがおかしい。

最悪でした。彼の質問への答えはとても短くて、15個くらい質問を用意していったんですが、すぐに尽きちゃったんです。彼の質問への答え方はまるで感嘆符でした。

ルー・リードお得意の、質問に対して鉄槌をくだすような答え方が炸裂してたわけだ。

たぶん彼も、よくいる音楽ジャーナリストが来ると予想してたと思うんですよ。ルー・リードのことならなんでも知ってるみたいな。しかし、現実は彼のことを何も知らない22歳の男が、目の前で恐怖に震えているわけです。

当然ながらインタビューは終始かみあわないのだが、この日はルー親父の機嫌がよかったのか、彼なりの辛辣なユーモアをまじえながら(でも、インタビュアーにはほとんど通じていない)その状況を楽しんでいる気配がある。

突然、彼の方がぼくに質問を始めたんです! ぼくの英語はあまり達者じゃありませんし、こっちは用意していった質問で手一杯でした。でも、彼は気ままに話し出すんです!

インタビュアーを見切ると彼の方から質問を繰り出す、というのも彼らしい血祭りの流儀である。そして、目の前の恐怖に震える若造が本当にジャーナリストとして未経験なのを聞き出すのである。

ぼくがその時願ったのは……このインタビューが終わってくれということでした。ジャーナリストなら、ルー・リードに半時間でもインタビューしたいと思うものでしょうが、あの時のぼくには実に時間が長く、何時間にも感じました。まるで時が止まってしまったかのような。

インタビューのクライマックスで、ルー・リードはインタビュアーの目をじーっと見据えたまま、「俺はジャーナリストが好きじゃない。軽蔑してるよ。とてもむかつく存在だ。キミは例外だが。キミは、例外だ。主にイギリス人。あいつらは豚だ」と言葉のハンマーを振り下ろす。そして、その後のやり取りの中で、この動画のタイトルにもなっている「最底辺の生き物」とジャーナリストを呼んでいる。ルー・リード、ここにあり。

15分くらいして、彼はぼくのことを好きになり始めたんじゃないかと思います。でも、その頃にはぼくは完全にズタボロ状態で、それに反応できなくなってました。

早くインタビューを終わらせたくて、もう質問はありませんと言うと、ルー・リードは呆れた感じで笑い出している。前に引用した言葉でも「キミは例外だ」と言っているように(もちろん皮肉込みだろうが)、インタビューとしてのひどさにもかかわらず、この若者のことを結構気に入っていたようだ。

しまいには、インタビューを終わらせたくて、ぼくはただ「はい、はい」と言い続けました。とにかくその場を立ち去りたかったんです。

このインタビュアーの方、回想しながらも表情がとにかく辛そうで、失礼ながらそれもまたいとおかし。

ルー・リードというと『New York』のデラックスエディションが来月出る。ワタシの人生航路にすら影響を与えたアルバムなので、思わず買おうかと前のめりになったが、LP は再生環境を持たないため、場所の無駄だよなと思い直した。CD+DVD だけだったら買っただろうな。

New York

New York

  • アーティスト:Lou Reed
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: CD

NEW YORK (デラックス・エディション)

NEW YORK (デラックス・エディション)

映画『2001年宇宙の旅』のラストを自宅で再現した『2020年隔離の旅』が面白い

ニューヨークのデザイナー Lydia Cambron が、映画『2001年宇宙の旅』のラストを自宅で(!)再現した 2020: an isolation odyssey が良かった。

まぁ、見てくださいな。12分の動画だが、実質8分である。

これはお見事。これもコロナ時代ならではの試みだけど、個人的には Zoom 演劇なんかよりこういうののほうが楽しい。

ネタ元は kottke.org

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: Blu-ray

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