当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

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はてなダイアリーの終焉と本ブログの対応について

遂にこの日が来てしまったのか……というのが率直な感想である。

株式会社はてなには、これだけのユーザベースが残るサービスを軽んじないでいただきたいと切に願う。

ネット界の限界集落はてなダイアリーに残る著名ユーザをまとめてみる - YAMDAS現更新履歴

今年前半にこう書いたが、残念ながらその切なる願いがかなうことはなく、はてなダイアリーの利用者は、強制移住かダムの底に沈められるかのいずれかの選択を迫られることとなった。

何しろ2003年7月に使い始めて早15年、長らく使ってきたサービスなので、個人的にはとても残念には思うし、そんならはてな匿名ダイアリーも閉鎖しろよ、と完全な八つ当たりをぶつけたくもなるが、その経済的合理性を理解するくらいにはワタシも大人である。まぁ、「ネット界の限界集落はてなダイアリー」なんて失礼なことを書いているヤツが文句言う資格はないか。

以下の、サービス・システム開発本部長の大西さんのコメントには素直に敬意を払いたい。

5年前に「はてな エンジニアブロガー祭り」というイベントに登壇し、「はてなダイアリーはやめません」と発言したこともありました。前言を翻してしまうことになり、申し訳ありません。長く開発に携わってきたはてなダイアリーは、私にとっても思い入れのあるサービスです。それ故、はてなブログへの統合という判断は、苦渋の決断でした。

2019年春「はてなダイアリー」終了のお知らせと「はてなブログ」への移行のお願い - はてなダイアリー日記

さて、今後の方針について書きたいが、その前に本ブログの位置づけについて少し書いておく。

本ブログは、「YAMDAS現更新履歴」というブログ名、そしてページトップの但し書きを見ても分かるように、本サイトである YAMDAS Project の更新履歴ページとして始まったものである。

飽くまで本サイトの更新履歴ページであり、これはブログではないとすら何度か書いていたくらいだが、そのうち本サイトを更新しなくても、それからはみ出る書きたいトピックがあればここを独立して更新するようにもなり、そのうち面倒でここをブログと認めるようになった。本サイトの更新告知であれ、そうでない場合であれ、一度に最大5つのエントリを一気に投下するスタイルで長らくきている。

現在、本サイト並びに本ブログは無期限更新停止状態である。それならば、このはてなダイアリーはそのまま放置し(=ダムの底に沈め)、また別途必要時に新たにブログを作るのが正しい在り方だと最初考えた。

しかし、はてなダイアリーを放置してもそのまま残るらしいが、新規エントリの追加や既存エントリの修正ができないのは当然として、過去エントリ全体をプライベート化などいざというときにできない操作も出てくるだろう。そして、現在はてなダイアリープラスを利用することで得られている Amazon アフィリエイトの収入が途絶えることにもなろう。これは痛い。

そうなると、やはり、素直にはてなブログに移行(=強制移住)し、有料コースを利用するのがよさそうだ。その値段にはケチなワタシ的には大いに不満はあるけれども、それなら独自に WordPress なりを立てて移住するのも、その手間と管理にかかる負担を考えるだけでものぐさなワタシはげんなりしてしまうので現実的でない。

ただ今のところインポートの集中の問題があるようだし、こちらも急ぐつもりはないので、来年3月あたりの移転を目標として、それまでははてなダイアリーを使い続けようと思う。上にも書いた通り、現在は無期限更新停止状態という扱いだが、これから告知することが出てくる予定なので、そのときはぼちぼちここを更新させてもらうつもりである。

キャス・サンスティーンの #Republic の邦訳『#リパブリック: インターネットは民主主義になにをもたらすのか』が出たぞ!

2017年は実はキャス・サンスティーンの年だったと昨年末に書いたが、邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2017年版)で邦訳を待望した、#Republic の邦訳が出ている。

#リパブリック: インターネットは民主主義になにをもたらすのか

#リパブリック: インターネットは民主主義になにをもたらすのか

原題は『#Republic: Divided Democracy in the Age of Social Media』で、副題は直訳すると「ソーシャルメディア時代における分断された民主主義」なので、邦訳の副題「インターネットは民主主義になにをもたらすのか」はちょっと違うというか、「ソーシャルメディア」と「分断」をちゃんと入れてくれと言いたくなる。が、おそらくは『インターネットは民主主義の敵か』を意識しているのだと思う、とフォローしておこう。

インターネットは民主主義の敵か

インターネットは民主主義の敵か

『インターネットは民主主義の敵か』の原題は『Republic.com』で、その続編である『Republic.com 2.0』が出たのが2007年で、『#Republic』はその10年後の2017年に出ている。

つまりは、今回の『#リパブリック』は『インターネットは民主主義の敵か』の続々編というわけである。思えば、エコーチェンバー、サイバーカスケード、サイバーバルカン化などの言葉は『インターネットは民主主義の敵か』を契機に広まったわけで、サンスティーンの影響力は大きい。当時からインターネットと民主主義の関係を、危機感をもってしっかり論じた人となると、サンスティーンとローレンス・レッシグくらいだったのではないか。

あと、2001年に「ドットコム」、2007年に「〇〇 2.0」、そして2017年に「ハッシュタグ」と、一般層に膾炙したぐらいにこの手のテック系タームを書籍の題名に使うあたり、素直にうまいなぁと思う。

そのサンスティーンだが、来年には別の本の邦訳が出るそうで、本当にこの人はは多作ですな。

ファントム・スレッド

ここからは、ブログ休止中に観た映画の感想など。

ポール・トーマス・アンダーソンの新作なので、観なきゃと思いながら観に行けなかった映画だったのだが、帰省した際に、故郷に唯一残るアートシアター系映画館で国内時差(?)を利用して観ることができた(昨年は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』や『パターソン』をそうやって観ている)。

2018年に観た映画の中で、映画としての格調が段違いだった。そこらへんの映画と比べるのがおこがましいくらいの格の、しかもかなり怖い作品である。

ただ、本作を許せない人もいるだろうな、とも思った。本作はジョナサン・デミに捧げられていて、それは本作制作中に彼が亡くなったという時期的な意味合いが大きかったと思うのだが(多分)、そうした意味で(ロバート・アルトマンなどに感謝が捧げられていた)『レイチェルの結婚』を思い出したが、デミ当人が本作を観ていたら、「俺の映画の女性とは違う……」と言ったかもしれないね。

ところで、この映画では主人公が車を走らせる場面は妙に騒々しく演出されていて、それこそ『時計じかけのオレンジ』を思い出したくらいだが、これはなんでだろう。

30年後の同窓会

30年後の同窓会 [Blu-ray]

30年後の同窓会 [Blu-ray]

これも帰省時に(『ファントム・スレッド』を観た翌日に)観に行った。

リチャード・リンクレイターが『さらば冬のかもめ』の続編を作りたいと言ってたのは知っていたが、これだったんだね。ただ本作は正式な続編ではなく、主要三人の人物設定が近いという精神的な続編ということだが。

さらば冬のかもめ』自体は、昨年 BS プレミアムで初めて観たのだが、今我々日本人が観るとちょっと微妙なところもあって、ちょっとピンとこないところもあった。

しかし、逆に言えば、それが当時受けたのは、『さらば冬のかもめ』が1970年代のアメリカ、具体的にはベトナム戦争後の痛みをうまく表現していたからだろう。そうした意味で、本作はおっさんたちのほのぼのロードムービーなどではなく、イラク戦争後のアメリカの痛みを確かに表現している。

やはり主役三人の演技がそれぞれ味わい深かった。

スターリンの葬送狂騒曲

スターリンの葬送狂騒曲 [Blu-ray]

スターリンの葬送狂騒曲 [Blu-ray]

公開前から楽しみにしていた映画だが、期待通りの出来だった。原作(asin:4796877347)は例によって未読である。

スティーヴ・ブシェミのコメディアンぶりが堪能できるし、当時のソ連における粛清の恐怖がブラックユーモアのドタバタ劇に昇華されている。個人的には、『危険な動物たち』以来20年ぶり(!)の本格的な映画出演となるマイケル・ペイリンが、顔見せ程度の出演かと思いきや、しっかりパイソン的な笑いに貢献していて嬉しかったな。

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