2017年は実はキャス・サンスティーンの年だったと昨年末に書いたが、邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2017年版)で邦訳を待望した、#Republic の邦訳が出ている。
#リパブリック: インターネットは民主主義になにをもたらすのか
- 作者: キャスサンスティーン,Cass R. Sunstein,伊達尚美
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2018/08/31
- メディア: 単行本
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原題は『#Republic: Divided Democracy in the Age of Social Media』で、副題は直訳すると「ソーシャルメディア時代における分断された民主主義」なので、邦訳の副題「インターネットは民主主義になにをもたらすのか」はちょっと違うというか、「ソーシャルメディア」と「分断」をちゃんと入れてくれと言いたくなる。が、おそらくは『インターネットは民主主義の敵か』を意識しているのだと思う、とフォローしておこう。
- 作者: キャスサンスティーン,Cass Sunstein,石川幸憲
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2003/11/01
- メディア: 単行本
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『インターネットは民主主義の敵か』の原題は『Republic.com』で、その続編である『Republic.com 2.0』が出たのが2007年で、『#Republic』はその10年後の2017年に出ている。
つまりは、今回の『#リパブリック』は『インターネットは民主主義の敵か』の続々編というわけである。思えば、エコーチェンバー、サイバーカスケード、サイバーバルカン化などの言葉は『インターネットは民主主義の敵か』を契機に広まったわけで、サンスティーンの影響力は大きい。当時からインターネットと民主主義の関係を、危機感をもってしっかり論じた人となると、サンスティーンとローレンス・レッシグくらいだったのではないか。
あと、2001年に「ドットコム」、2007年に「〇〇 2.0」、そして2017年に「ハッシュタグ」と、一般層に膾炙したぐらいにこの手のテック系タームを書籍の題名に使うあたり、素直にうまいなぁと思う。
そのサンスティーンだが、来年には別の本の邦訳が出るそうで、本当にこの人はは多作ですな。