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Sly & the Family Stone, There's a Riot Goin' On

There's a Riot Goin' On

There's a Riot Goin' On

Amazon980円劇場、グラミー賞スペシャル(ウソ)。

[B面]犬にかぶらせろ!で、先日のグラミー賞スライ・ストーンが登場したことを知った。長い引き篭もり生活を経て還暦に見えないモヒカンのど派手な格好で登場し、しかもほんの少しで退場して周りを煙に巻くという訳の分からなさ加減が彼らしい。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンといえば、何と言ってもこのアルバムになる(タイトルは黒人コーラスグループのコースターズのヒット曲からとられている。邦題は『暴動』(asin:B00005G47X))。このアルバム以前に既にスライはヒットメーカーだったし、ウッドストックでの圧倒的なパフォーマンスも有名だが、彼の名前が音楽史に残るのは、何と言ってもこのアルバムを作ったからである。

……というような言い回しで本作を称える文章をたまに見るじゃないですか。大学時代のワタシもそれに釣られて本作を買って聴いてえらく困惑したのを覚えている。

ワタシが当時「ファンク」という言葉から想起したイメージからあまりにも遠かったからだ。ファンクというとアッパーな音楽というイメージを持っていたわけだが、本作のブラックホールに吸い込まれるようなモコモコとした音はその対極に思えた。

そして本作はやはり紛れもなくファンクの頂点の一つである。彼の以前の作品にあった軽さは本作のニュアンスに富んだリズムにとってかわられ、全米一位に輝いた "Family Affair" の落ち込んでいく恐怖、テリー・ホールもカバーした "Runnin' Away" の白けたユーモアをはじめとして、どこまでもクールでダウナーなサウンドは、彼の混乱と薬物中毒と失望もあわせ、70年代初頭の空気を完全真空パックしている。

星条旗を模したジャケットが好きだったのでそれが変わったのは残念。

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